株高不況 株高不況

インフレ退治の「被害想定」が拡大

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均は先行き12ヶ月28,000程度で推移するだろう。
  • USD/JPYは先行き12ヶ月137程度で推移するだろう。
  • 日銀は現在のYCCを少なくとも2023年4月までは維持するだろう。
  • FEDは23年3月までにFF金利(誘導目標上限値)を5.25%へと引き上げるだろう。
目次

金融市場

  • 前日の米国株は下落。NYダウは▲0.4%、S&P500は▲0.6%、NASDAQは▲0.8%で引け。VIXは21.1へと低下。
  • 米金利カーブは中期ゾーンを中心に金利低下。債券市場の予想インフレ率(10年BEI)は2.193%(▲5.4bp)へと低下。実質金利は1.278%(+2.9bp)へと上昇。
  • 為替(G10)はUSDが中位程度。USD/JPYは135後半で一進一退。コモディティはWTI原油が77.3㌦(+1.9㌦)へと上昇。銅は8516.5㌦(+19.5㌦)へと上昇。金は1807.5㌦(▲6.4㌦)へと低下。

図表1
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図表2
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図表3
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図表4
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図表5
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注目点

  • 12月FOMCでは大方の予想通り50bpの利上げが決定され、利上げ幅は直近4会合の75bpから縮小。FF金利(誘導目標レンジ上限値)は4.50%とされた。声明文にほとんど変更はなく「インフレ率を2%に戻すべく十分に制約的な(sufficiently restrictive)金融政策態度を実現するためには、FF金利の継続的な引き上げ(ongoing increases)が適切になる」との中核的な文言は維持された。

  • 注目のドットチャートは2023年末(中央値)が5.25%となり9月から50bp上方修正された。過去数ヶ月、インフレ率は鈍化しているとはいえ、労働参加率が高まらず、労働需給が著しく逼迫する中、賃金上昇圧力は依然として燻ぶっていることから、インフレ率の持続的低下には政策金利を「高く・長く」保つことが必要であるとの判断だろう。2023年中は金融引き締め的な領域で政策金利を据え置くことがFOMC内部の共通認識になっており、ドットの分布は5.25~5.50%に集中した。FF金利先物は2023年に50bp(25bp刻み)を織り込んでいるが、パウエル議長は「利下げはインフレ率が明確に低下している根拠がない限り検討しない」、「(物価安定の)任務を完了するまで現在の軌道を維持する」との見解を維持し、利下げ観測に牽制球を投じた。

図表6
図表6

  • 2024年末は4.25%となり1%程度の利下げが示唆された。インフレ率が2%台に低下することを前提に複数の参加者が利下げを支持し中央値は低下した形だが、ドットの形状は縦長になっており「共通認識」や「コンセンサス」という言葉が馴染む姿にはなっていない。この構図は2025年も同様で、2024-25年は参考値程度に過ぎないと筆者は考えている。

  • 今回のFOMCで筆者が注目したのは、2023年の失業率見通しと実質GDP成長率(4Q前年比)の悪化方向への改定。前回9月の見通しから失業率は0.2%pt上方改定され4.6%となり、実質GDP成長率は+0.5%へと0.7%ptも下方改定され、辛うじてプラス成長を維持するという見通しになった。これはインフレ退治に伴う「被害想定」が拡大したことを意味する。インフレ退治の代償としてこの水準まで経済が冷え込むことをFedが予め想定しているのであれば、そこに達する(ことが濃厚になる)までは景気に配慮してハト派に傾斜する可能性は低下すると考えられる。以上を踏まえ筆者は2023年2月に50bp、3月に25bpの利上げを実施し、それがターミナルレート(5.25%)になると予想する。

図表7
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藤代 宏一


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