- Market Flash
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2022.12.14
金融市場
マーケット見通し
株価
為替
金利
1,日銀短観の改善は業績見通しの上方修正を示唆 2,予想通りのインフレ率低下(米CPI)
藤代 宏一
- 要旨
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- 日経平均は先行き12ヶ月28,000程度で推移するだろう。
- USD/JPYは先行き12ヶ月137程度で推移するだろう。
- 日銀は現在のYCCを少なくとも2023年4月までは維持するだろう。
- FEDは23年3月までにFF金利(誘導目標上限値)を5.0%へと引き上げるだろう。
金融市場
- 前日の米国株は上昇。NYダウは+0.3%、S&P500は+0.7%、NASDAQは+1.0%で引け。VIXは22.6へと低下。
- 米金利カーブはブル・スティープ化。債券市場の予想インフレ率(10年BEI)は2.247%(▲3.2bp)へと低下。実質金利は1.249%(▲7.7bp)へと低下。
- 為替(G10)はUSDが全面安。USD/JPYは135後半へと下落。コモディティはWTI原油が75.4㌦(+2.2㌦)へと上昇。銅は8497.0㌦(+123.0㌦)へと上昇。金は1813.9㌦(+33.4㌦)へと上昇。
経済指標
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11月米CPIは予想以上に減速。総合CPIは前月比+0.1%、前年比+7.1%へと伸び率鈍化(10月は前月比+0.4%、前年比+7.7%)。食料が前月比+0.5%とやや落ち着き、エネルギーは▲1.6%と低下傾向が続いた。注目のコアCPIは前月比+0.2%、前年比+6.0%であった(10月は前月比+0.3%、前年比+6.3%)。コア財は前月比▲0.5%と2ヶ月連続マイナス、コアサービスは+0.4%と過去数ヶ月のペースから小幅に減速した。コアサービスを押し上げた家賃(前月比+0.7%、前年比+6.6%)は、先行指標の住宅価格指数(ケース・シラー、ZIllow)が明確に下方屈折していることから判断すると2023年入り後に下落が予想される。物価水準そのものは依然として高く、また労働コスト増加に起因するインフレ圧力はなお強く残存しているが、エネルギー、コア財そして家賃に起因するインフレ圧力は大幅に和らいでおり、先行きのCPIは一段の減速が予想される。
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今回の結果は12月FOMCにおける利上げ幅縮小(75bp→50bp)の観測をより一層支持するものであった。次月以降もインフレ率が鈍化していけば2023年2月FOMCにおいて利上げ幅が25bpへと縮小し、3月の追加利上げ(25bp)を以って利上げが終了する蓋然性が増す。
注目点
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日銀短観が発表された。指標の評価に入る前に再確認しておきたいのは、日銀短観が「単体」の業況等を問う調査であること。よって11月までの急速な円安が単体(国内事業)ではマイナス、海外子会社との連結ではプラス(外貨建て資産の評価益増加等)に効いていた場合、短観の業況判断は下押しされる一方で企業収益は増加する結果になる。また事業計画の前提となっている想定為替レート(2022年度USD/JPY、全規模・全産業)は130.75円と現状対比で大幅な円高水準であり、その乖離が単体の収益にマイナス影響を与えた可能性は必ずしも否定できないが、短観の結果を以って「円安は日本企業にマイナス」などと結論付けることは難しい。なお想定為替レートは飽くまで「事業計画の前提となっている想定為替レート」であり、業績見通しを作成する際などに用いられた数値に過ぎない。企業が「予想」した為替レートとは区別する必要がある。
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日銀短観(12月調査)によると業況判断DIは、大企業製造業が+7と前回調査対比1pt低下した(市場予想+6)。内需の回復に伴い国内向けの出荷が回復した反面、中国のゼロコロナ戦略が続いた下で、欧米経済の急減速によって輸出の増勢が鈍化したことが効いたとみられる。反対に大企業非製造業は+19へと前回調査対比5pt改善し市場予想(+17)も上回った。夏場はコロナ感染第7波の影響から対面型BtoC業種の回復が頓挫したものの、秋以降はインバウンド再開を含むレジャー・外食需要の持ち直しが効いた。先行き判断DIは大企業製造業が+6と現況対比で小幅改善を見込み、大企業非製造業は+11と現況対比で慎重な見通しであった。

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大企業製造業は自動車(9月調査:▲15→12月調査:▲14)の回復が鈍く、その影響もあって鉄鋼(+18→+18)、はん用機械(+31→+31)の改善が一服し、化学(+14→+8)や生産用機械(+33→+30)などが低下した。また世界的なIT関連財需要の一服を受けて電気機械(+20→+18)は小幅悪化。他方、業務用機械(+27→+30)、非鉄金属(+3→+6)などは回復。当面は自動車生産の回復とIT関連財の市況鈍化が綱引きする構図が続きそうだ。
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大企業非製造業は対個人サービス(+2→+20)、宿泊・飲食サービス(▲28→0)へと大幅改善。人手不足(全規模・全産業では▲28→▲31)は障壁となったとみられるが、客足の回復が業況回復に直結した形。この間、通信(+21→+14)はやや大きめの低下を示したが、不動産(+27→+27)、対事業所サービス(+36→+35)、情報サービス(+36→+40)は何れも高水準を維持。また予想されたとおり個人消費の回復を受けて小売(+3→+8)と卸売(+21→+27)が改善した。

- TOPIX構成銘柄と属性の近い大企業全産業の業況判断DIは+13と前回調査対比2pt改善。TOPIXの予想EPSと密接に連動する売上高経常利益率の年度計画は8.26%へと上昇し、企業業績の更なる回復を示唆した。素原材料費は高止まりするものの、円建て輸出価格の上昇が製造業の収益を押し上げたとみられ、マージンは回復傾向にある。先行きは欧米諸国の景気減速が重荷になりそうだが、少なくとも直近まで企業収益は改善していた可能性が高い。
※ なお日銀短観の調査は、前月からの変化を問うPMI等と異なり、比較時点を問わない形式である。企業は回答にあたって自社の収益計画を参照していると考えられ、それを満たしていれば「良い」「さほど良くない」「悪い」の3択から良いを選択するはずである。したがって業況判断DIの改善は業績上方修正の余地と考えることができる。短観とアナリスト予想の方向感が一致するのはそうした背景があるとみられる。

藤代 宏一
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。











