- 要旨
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- 日経平均は先行き12ヶ月28,000程度で推移するだろう。
- USD/JPYは先行き12ヶ月128程度で推移するだろう。
- 日銀は、現在のYCCを少なくとも2023年4月までは維持するだろう。
- FEDは、2022年は毎FOMCで利上げを実施。利下げは23年後半以降だろう。
金融市場
- 前日の米国株はまちまち。NYダウは+0.5%、S&P500は+0.3%、NASDAQは▲0.3%で引け。VIXは25.6へと上昇。
- 米金利カーブはベア・スティープ化。債券市場の予想インフレ率(10年BEI)は2.449%(▲3.2bp)へと低下。実質金利は0.800%(+9.4bp)へと上昇。
- 為替(G10)はUSDが独歩高。USD/JPYは140を突破。コモディティはWTI原油が86.6㌦(▲2.9㌦)へと低下。銅は7597.0㌦(▲204.5㌦)へと低下。金は1699.6㌦(▲17.3㌦)へと低下。
経済指標
- 8月ISM製造業景況指数は52.8と市場予想(51.9)を上回り7月と同水準を維持。内訳は生産(53.5→50.4)が低下した反面、新規受注(48.0→51.3)は50を回復し、雇用(49.9→54.2)も強く伸びた。7月時点で正常化領域まで低下していたサプライヤー納期(55.2→55.1)は概ね横ばい、この間に在庫(57.3→53.1)は圧縮された。生産活動の先行指標として有用な新規受注・在庫バランスも改善しており、全体として安心感をもたらす結果であった。とはいえ、高インフレによる経済の混乱とそれを沈静化するための金融引き締めが需要を削ぐ可能性は高く、当面は企業景況感の停滞が予想される。ISM製造業は一旦下げ止まったが、製造業PMIの低下に追随するのではないか。
注目点
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8月雇用統計は景気やインフレの軌道を読む上で非常に重要な指標である反面、市場参加者にとって最大の関心事であるFedの金融政策を予想する上ではさほど重要ではない。インフレが収まらない限りは、雇用統計の結果が強くても弱くても金融引き締めの理由が変わるに過ぎないためだ。強い雇用統計は「経済が金融引き締めに耐性を有している」、冴えない雇用統計は「(インフレを沈静化するためには)乏しい労働供給に見合うレベルに需要を調整する必要がある」という理由でいずれにせよ利上げを正当化する材料になる。Fedがインフレ退治を最優先とする構えを固持している以上、インフレが沈静化しない限り、物価以外のデータがFedの意思決定に与える影響は限定的と考えられる。9月FOMCの利上げ幅は75bpの可能性が高いと思われる。
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8月雇用統計の市場予想は雇用者数が29.8万人増加、失業率は3.5%で横ばい、平均時給は前月比+0.4%、前年比+5.3%と高止まり(7月は前月比+0.5%、前年比+5.2%)、労働参加率は62.2%へと0.01%ptの上昇となっている。注目すべきは雇用数の増加も去ることながら平均時給と労働参加率。労働参加率が停滞したままであれば人手不足は解消せず、著しい賃金上昇圧力が残存し、賃金インフレが加速する現在の状況が続く。パンデミック発生時に落ち込んだ労働参加率は、当初コロナが終息し失業手当や給付金など手厚い支援措置が終了した段階で元に戻ると期待されたが、少なくとも現時点では断層が埋まっておらず、依然として人手不足は深刻で賃金上昇圧力を高めている。労働参加率の回復なくして平均時給の低下、すなわち賃金インフレ沈静化は考えにくい。特に注目すべきはパンデミック発生前後の断層が大きい55歳以上の労働参加率。25-54歳が概ね元の水準に回帰している一方、55歳以上の人々は資産価格の上昇などもあって戻りが鈍い。インフレ解消にはこうした歪な構図が解消に向かうか否かが最も重要だろう。

- 労働参加率の回復を阻害している要因として資産価格上昇もある。コロナ下で著しく増加した持ち家の含み益と豊富な金融資産が人々の労働意欲を削いでいるとの指摘は多く、そのしわ寄せが高インフレという形で低所得者に向かっている現在の問題をFedは放置できないだろう。資産価格下落は今やFed内部で歓迎すべき事象になっている可能性すら考えられる。たとえば、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁はジャクソンホール講演後の株価下落について「パウエル議長のジャクソンホール講演の受け止められ方を見てうれしく思う」、「インフレ率を2%まで押し下げるというわれわれの決意の真剣さが理解された」、6~8月中旬の株価上昇について「素直に喜べなかった」と率直に回答した。雇用統計の通過後、もし金利が低下したり株価が上昇したりすればFed高官の苛立ちを誘うのではないか。
藤代 宏一
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