金融市場

• 前日の米国株は上昇。ＮＹダウは+0.2％、S&P500は+0.1％、NASDAQは+0.1％で引け。ＶＩＸは16.80へと上昇。
• 米金利カーブは小動きも10年は1.594％へと1.2bp低下。予想インフレ率(10年BEI)は2.448％(+0.9bp)へと上昇。債券市場の実質金利は▲0.862％(▲2.2bp)へと低下。

• 為替（G10通貨）はUSDとJPYが何れも強く、USD/JPYは109後半で一進一退。EUR/USDは1.22近傍で推移。コモディティはＷＴＩ原油が66.3㌦(▲0.5㌦)へと低下。銅は10258.0㌦(+37.0㌦)へと上昇。金は1902.5㌦(+6.8㌦)へと上昇。ビットコインは下落。

経済指標

• ４月米名目個人所得は前月比▲13.1％と２ヶ月ぶりに減少。３月に支給された現金給付（一人あたり1400ドル）が反動減を引き起こした形だが、４月は賃金が前月比＋1.0％と回復基調を強めており、マクロの家計収入は2020年１月水準を＋11.7％上回っている。給付金や失業給付等を除いたベースでみても2020年１月対比＋4.0％と強い。４月の名目個人消費支出は前月比＋0.5％と２ヶ月連続の増加。耐久財が＋0.5％と強さを維持するなか、サービスが＋1.1％と回復基調が続いた。貯蓄率は14.9％へと低下するも、水準はコロナパンデミック発生前から飛躍的に上昇した状態にあり、なお消費の余力は厚いと判断される。先行きは賃金が回復基調を強める下で、消費者が楽観を取り戻し、消費は加速力を増していくだろう。

注目ポイント

• 日本の４月鉱工業生産は前月比＋2.5％と２ヶ月連続増産。水準はコロナパンデミック発生前の2020年１月を概ね回復した。生産の先行きを読むうえで有用な生産予測調査に基づくと、５月は▲1.7％、６月は＋5.0％と均してみれば増産計画にある。経産省がバイアス補正した試算値に基づくと５月の生産計画は▲2.5％であった。５・６月を通じてみると、半導体不足に直面する輸送用機械工業が微増、半導体製造装置の需要好調が続く生産用機械、電子部品・デバイス工業が増産基調を維持する計画となっている。
• ４月は出荷が前月比＋2.6％、在庫が▲0.1％、在庫率が▲1.8％であった。出荷と在庫の前年比変化率の差分をとって算出した出荷・在庫バランスは＋25.1％ptへと急上昇。ベースエフェクトによってプラス幅拡大が誇張されている面はあるが、企業が不良在庫を抱えていないことに鑑みれば、新規受注（≒出荷）が伸びやすい状況にあると考えられる。通常の景気後退局面では、需要見通しの下方修正が遅れることで、生産調整が追い付かずに不良在庫が発生するが、コロナ禍においてはその発生初期段階において将来の需要減少が明白だったことから、生産に急ブレーキがかかり、不良在庫の積み上がりが抑制できた形だ。先行きは国内外の景気回復が続く下、増産傾向を維持すると思われる。

• 株式市場と関連の深い電子部品・デバイス工業に目を向けると、４月の生産は前月比＋5.8％と強く伸び、３ヶ月平均でも＋0.8％と４ヶ月連続増産となった。５Ｇ、ＡＩ、ＩＯＴといったテーマの下で集積回路（ＩＣ）、固定コンデンサ、電子回路基板、水晶振動子、コネクタ等の生産が高水準にある。電子部品・デバイス工業の出荷・在庫バランス（３ヶ月平均）はプラス幅を拡大。在庫循環図の位置取りは、在庫が減少するなかで、出荷が増加基調を強める状況にある。当面は製品価格が上昇しやすく、同セクターの業績回復が顕著になろう。同じく株式市場との関連が深い半導体製造装置（←生産用機械に分類される）の生産は前月比＋47.7％、３ヶ月平均で＋2.6％となり、水準は過去のシリコンサイクルのピークを遥かに凌駕。半導体関連の需要が如何に旺盛であるかを物語っている。