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AI動画革命で企業PRが劇的に進化

~低コスト・高品質な動画制作とブランド力強化を実現~

柏村 祐

目次

1.企業PR動画とは

企業PR動画は、企業の製品・サービス、理念、企業文化などを効果的に伝えるために制作される映像コンテンツである。企業が自社の価値を顧客や社会に対して発信し、ブランド認知度を高め、共感を得るための重要なマーケティングツールとして位置づけられている。

たとえば、観光業界では地域の魅力的な風景や史跡などを映し出し、視聴者があたかもその場にいるかのような臨場感を演出する映像を通じて、訪問意欲を喚起している。また、企業セミナーやイベントでは、企業理念や事業内容を印象的な映像と音楽で表現することで、参加者の記憶に残るメッセージを届けている。テレビCMやウェブ広告においても、製品の特徴や使用シーンを魅力的に描き出すことで、視聴者の興味を引き、商品やサービスへの理解を深めている。

従来は、企画立案から撮影・編集まで、専門的な知識や技術をもつクリエイターチームが、時間と労力をかけて企業PR動画を制作してきた。そのため、制作にかかるコストや時間の制約、また制作者の経験や感性に大きく依存するという課題もあった。

そこで近年、生成AIや映像編集AI、音声合成AIなどの最新技術を活用した効率的な動画制作が注目を集めている。AIは、高度な画像認識と生成技術により、企業の要望やターゲット層に合わせた魅力的なコンテンツを生成できる。さらに、一貫した品質での動画制作と、人間のクリエイターでは難しい大量のバリエーション制作も可能となっている。

本レポートでは、AIを活用した企業PR動画制作の革新的な事例を検証することで、AI活用による動画制作プロセスの変革と、それにもとづくマーケティング戦略の高度化について明らかにしていく。これにより、企業がAIを活用した動画制作をどのように導入し、視聴者の心に響く魅力的な映像表現と効果的なブランドコミュニケーションを実現できるかについての示唆を得る。

2.AIによる企業動画作成の実態

企業PR動画は、情報を効果的に伝達するために、導入部、メインコンテンツ、エンディングという3つの重要な構成要素で構築されることが多い。導入部は、視聴者の興味を瞬時に引き付け、企業の第一印象を決定づけ、視聴継続意欲を高める役割を担う。メインコンテンツは、企業の価値提案を具体的に表現し、製品・サービスの特徴を説明し、企業の強みを論理的に提示する機能を果たす。エンディングにおいては、視聴者へのコールトゥアクション(行動喚起)、記憶に残る企業メッセージの提示、具体的なアクション方法の案内が展開される。

AIによる企業PR動画の作成プロセスは、従来の制作方法に比べ極めて簡便かつ効率的である。わかりやすい具体例として、代表的なAI動画制作サービスの利用手順を見ていく。動画制作においては、まず企業のウェブサイトURLをAIに読み込ませることで、サイト内のテキストや画像から企業の特徴や主要メッセージを自動的に抽出し、動画の基本構成を組み立てる。次に、用意された多様なデジタルアバターの中から企業イメージに合致するキャラクターを選択し、ナレーターとして設定する。その後、複数の音声オプションの中から企業の雰囲気に適した声質を選び出し、アバターに割り当てる。これらの設定が完了した後、作成ボタンを押すだけで、AIが自動的に企業情報を魅力的な動画コンテンツへと変換し、わずか数分で完成度の高い企業PR動画が生成されるのである。

第一生命経済研究所の企業PR動画制作を例として、AIによる動画制作を具体的に見ていくと、生成された動画は導入部、メインコンテンツ、エンディングの3つの構成で効果的に情報を伝達していることがわかる(図表1)。AIによって生成された台本は、研究所の役割から具体的な活動内容まで、論理的な展開で構成されている。

図表1 AIによる企業PR動画の台本生成画面
図表1 AIによる企業PR動画の台本生成画面

次に、ナレーションを行うアバターの選択に移る。アバター選択画面では、Professional、Casualなどのカテゴリーごとに複数のアバターが用意されており、それぞれのアバターには異なる表情や姿勢のバリエーションが備わっている(図表2)。なお、用意されているアバターだけでなく、自社の社員や経営者の写真をアップロードし、パーソナライズされたアバターとして登録することも可能である。これにより、より一層企業の個性を強調した動画を制作できる。今回の動画のナレーターとなるアバターの選択では、経済研究所という専門性の高い組織のイメージに合わせて、Professionalカテゴリーから黒いスーツ姿の男性アバター「Fernando」を選択し、9つの異なるポーズや背景の中から、落ち着いた雰囲気で説明を行うのに適したポーズと、洗練された印象を与えるオフィスの背景を選択した。

図表2 AI動画生成のためのアバターとポーズ選択画面
図表2 AI動画生成のためのアバターとポーズ選択画面

設定から約5分後、長さ2分45秒の企業PR動画が完成した(図表3)。生成された動画は、構成、視覚的要素、音声の面で高い完成度を示している。構成面では、研究所の概要説明から具体的な活動内容、そして視聴者への呼びかけまで、論理的な流れで情報が展開されている。専門用語の使用を抑えたわかりやすい説明と、データにもとづく分析や政策立案への貢献を強調することで、一般視聴者にも理解しやすく、かつ信頼性の高い内容となっている。視覚的な要素としては、窓からの景色とシンプルなカーテンという落ち着いた背景設定により、プレゼンターの説明に集中しやすい環境が整えられている。また、スーツの着用や適切な照明設定、安定したカメラワークにより、プロフェッショナルな印象が効果的に演出されている。音声面では、AIナレーターの明瞭な発声と適度な話速、終始維持されるカメラ目線により、視聴者との良好なコミュニケーションを実現している。

図表3 AIで生成された企業PR動画のスクリーンショット
図表3 AIで生成された企業PR動画のスクリーンショット

このように、AIによる企業PR動画は、作成にかかわる時間短縮とコスト削減につながるだけでなく、内容面・映像面でも視聴者への効果的な訴求を果たすよう制作させている。特に、感情的な共感を引き出す構成、視覚的なインパクト、そして企業ブランドの効果的な表現において、従来の制作手法に匹敵する、あるいはそれを上回る成果を挙げているといえる。

3.AIによる企業PR動画の可能性

AIによる企業PR動画作成がもたらす「低コスト」「簡便性」「スピード」という業務面での革新に加え、「カスタマイズ性」「一貫した品質」「魅力的な映像表現」という内容面での革新は、企業の情報発信に新たな可能性を開くものである(図表4)。従来の動画制作では、企画立案から撮影、編集まで、専門家チームによる数週間から数か月の制作期間と、数十万円から数百万円規模の予算が必要とされてきた。一方、AIによる動画制作では、わずか数分の操作で完成度の高い動画を数千円程度で作成することが可能となっている。さらに、企業の要望に応じたアバターのカスタマイズや、一貫した品質での映像表現により、企業ブランドの効果的な発信も実現している。

図表4  AIによる企業PR動画の可能性
図表4  AIによる企業PR動画の可能性

この革新的な変化は、特に中小企業のデジタルマーケティングに新たな展開をもたらす。具体的には、以下の3つの戦略的活用が考えられる。第一に、ソーシャルメディアにおける顧客接点の強化である。静的なウェブサイトの情報に加え、製品やサービスの特徴を視覚的に訴求する動画をSNSに定期的に投稿することで、より豊かな顧客体験を創出できる。特に、若年層の顧客獲得において、動画コンテンツは従来の文字情報以上の効果が期待できる。

第二に、季節性や時事性を取り入れた機動的な情報発信が可能となる。新商品の発表、季節限定キャンペーン、イベント告知など、タイムリーな情報を動画形式で発信することで、顧客の興味関心を継続的に喚起できる。AIによる動画制作では、一貫したブランドトーンを保ちながら、複数の動画を効率的に生成できるため、計画的なコンテンツ展開が可能となる。

第三に、採用活動における企業価値の効果的な伝達手段として活用できる。特に中小企業における人材確保の課題に対し、企業文化や職場の雰囲気を動画で表現することで、より魅力的な企業イメージを構築できる。また、社員インタビューや業務紹介など定型的な採用コンテンツについても、AIの活用により低コストで制作することができる。

このように、AIによる企業PR動画の制作は、単なるコスト削減や業務効率化を超えて、企業のマーケティング戦略に質的な転換をもたらす。特に、デジタル化が進む現代において、動画コンテンツを活用した戦略的な情報発信は、限られた経営資源でも実現可能な、効果的な差別化要因となり得るのである。

企業は自社の強みや発信したいメッセージを明確にしたうえで、AIによる動画制作を戦略的に活用することで、より効果的な情報発信を実現できるだろう。

柏村 祐


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。

柏村 祐

かしわむら たすく

ライフデザイン研究部 主席研究員 テクノロジーリサーチャー
専⾨分野: AI、テクノロジー、DX、イノベーション

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