- HOME
- レポート一覧
- ビジネス環境レポート
- 環境月間に考える
- Illuminating Tomorrow
-
2024.05.30
SDGs・ESG
環境・エネルギー・GX
サーキュラー・エコノミー
生物多様性
環境月間に考える
~自分のできることから行動変容していこう~
加藤 大典
- 要旨
-
-
環境問題は私たちに密接した社会課題の一つと言えよう。本稿では、環境月間(6月)の位置づけや私たちの環境に対する意識等を再確認するとともに、環境に対して私たちは何をすればよいかを考えるための視点をいくつか提示したい。
-
環境省は、2024年度も引き続き、国民一人ひとりが環境への理解を深め、日々の暮らしの中で行動に移していくことを目指し、「令和6年度環境省重点施策」「科学的な知見の身近なレベルでの理解」「環境政策・取組への理解と参加」といった観点に重点を置き、各種行事等を実施するとしている。
-
そもそも「脱炭素社会」「生物多様性」「サーキュラーエコノミー」について、「言葉は知っている・聞いたことがある」は、それぞれ83.7%、72.6%、25.2%となっている。「言葉の意味も知っている」になると、おおよそ半減する。今後、報道等で見聞きするキーワードについて、少しずつ調べてみてはどうか。
-
環境省は、各都道府県のCO2排出量データや「自治体排出量カルテ」を公表している。カルテをみると、自身の住む自治体の実態がより一層理解できるだろう。
-
私たちはいろいろな顔と役割をもって生活し、活動している。行動の仕方次第で、環境負荷を直接的・間接的に低減させることができる。ポイントは「日常の私たちのさまざまな立場で、少しだけ、環境を意識してみよう」ということである。
-
私たち一人ひとりが行動変容することは、実は大きな力となる。企業に対し、消費者や個人投資家をつなぎとめるための商品・サービスの改良や、環境取組に関する情報開示等を促すことができる。国や地方自治体に対しても、有権者や納税者として声を届けることで、環境関連政策の立案・実施を後押しすることができる。
-
地球環境の今と未来のカギを握っているのは、私たち一人ひとりである。環境月間では、環境について見聞きする機会も増えよう。「私一人くらい、別に…」というのではなく「私も、ちょっとやってみようかな」と、無理なく身近なところから、行動を変えてみよう。
-
- 目次
1.はじめに
私たちの暮らしは、衣食住や通勤・通学・レジャーなど、さまざまな要素で成り立っているが、いずれも環境問題と関わりがある。環境問題は私たちに密接した社会課題の一つと言えよう。そこで本稿では、6月が「環境月間」であることを機に、環境月間の位置づけや私たちの環境に対する意識等を再確認するとともに、環境に対して私たちは何をすればよいかを考えるための視点をいくつか提示したい。
2.6月は環境月間
わが国は、1991年度から環境省(当時は環境庁)が主導し、6月の1か月間を「環境月間」とし、全国でさまざまな行事を行っている。1973~1990年度までは、6月5日を初日とする「環境週間」として取り組まれていた。
環境の日・環境月間は、1972年6月5日からストックホルムで開催された「国連人間環境会議」に由来する。国連は、日本の提案を受けて6月5日を「世界環境デー」と定めた。日本では1993年11月に制定した環境基本法において、事業者及び国民の間に広く環境の保全についての関心と理解を深めるとともに、積極的に環境の保全に関する活動を行う意欲を高めるため、6月5日を「環境の日」と定め、国、地方公共団体等において、この趣旨にふさわしい各種の行事等を実施することとしている。世界各国でも、この日に環境保全の重要性を認識し、行動の契機とするためさまざまな行事が行われている。環境省は、2024年度も引き続き、国民一人ひとりが環境への理解を深め、日々の暮らしの中で行動に移していくことを目指し、「令和6年度環境省重点施策(資料1)」「科学的な知見の身近なレベルでの理解」「環境政策・取組への理解と参加」といった観点に重点を置き、各種行事等を実施するとしている(資料2)。


3.環境に関するキーワードを調べてみる
環境月間の趣旨である「環境への理解を深めること」に関し、そもそも、私たちの環境に関するキーワードの認知度はどの程度なのだろうか。
環境政策における三本柱である、炭素中立(ネットゼロ)、自然再興(ネイチャーポジティブ)、循環経済(サーキュラーエコノミー)のそれぞれに関連する「脱炭素社会」「生物多様性」「サーキュラーエコノミー」という言葉の認知度を見てみると、「言葉は知っている・聞いたことがある」は、脱炭素83.7%(43.8%+40.0%)(資料3)、生物多様性72.6%(29.4%+43.2%)(資料4)、サーキュラーエコノミー25.2%(12.1%+13.1%)(資料5)となっている。「言葉の意味も知っている」になるとおおよそ半減し、脱炭素4割、生物多様性3割、サーキュラーエコノミー1割程度に留まる。
環境月間にあたり、これらのキーワードの意味(資料6)を再確認するとともに、今後、報道等で見聞きする環境関連の言葉について、少しずつ調べてみてはどうか。なお、筆者が所属する第一生命経済研究所のHPでは、環境分野を含め、注目のトレンドワードやキーワードを解説した「1分でわかるトレンド解説」というレポートがある。適宜参照いただき、役立ててもらえれば幸いである(注1)。




4.各都道府県のCO2排出量と削減率の現状を知る
次の視点として、「脱炭素社会」に関連し、環境省が算出・公表している各都道府県別のCO2排出量の現況推計値を見てみる(資料7)。

最新の公表データを見てみると、2013年度から2021年度の削減率は全国平均で23.2%となっている。日本の2050年ネットゼロ目標(基準年度:2013年度)から考えると、100%÷37年=約2.7%/年(2013年度比)の削減がおおよその目安となる。2013年度からの8年間では2.7%/年×8年=21.6%となり、全国で見れば、概ね順調な削減率と考えられる。一方で都道府県別に見ると、佐賀県の41.7%から三重県の12.7%まで、削減率に幅があることもわかる。
環境省は、「自治体排出量カルテ」という、都道府県・市区町村の部門別CO2排出量の現況推計等の時系列データをわかりやすく可視化した資料も提供している(資料8)。例えば佐賀県が2022年度、各世帯への太陽光発電の導入比全国一であること等も知ることができる(資料9)。このカルテを確認してみることで、地域的な違いも含め、自身の住む自治体の実態がより一層理解できるだろう。


5.さまざまな立場で考えてみる
私たちは、社会においていろいろな顔と役割をもって生活し、活動している。常に環境問題と接点があるが、私たちがさまざま立場でとる行動の仕方次第で、環境負荷を直接的・間接的に低減させることができる(資料10)。

ポイントは、「環境のために、特別な何かをしなければいけない」ということではなく、「日常の私たちのさまざまな立場で、少しだけ、環境を意識してみよう」ということである。
私たち一人ひとりの行動が少し変わること=少しでも行動変容することは、実は大きな力となる。例えば、企業に対しては、消費者や個人投資家をつなぎとめるための商品・サービスの改良や、環境取組に関する情報開示等を促すことができる。国や地方自治体に対しても、有権者や納税者として声を届けることで、環境関連政策の立案・実施を後押しすることができる。
6.環境月間をきっかけに行動変容しよう
最新の科学は気候変動の原因について「人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」としている(注4)。また言うまでもなく、人は生態系の一員である。つまり、環境の今と未来のカギを握っているのは、私たち一人ひとりである。
「2.6月は環境月間」で触れたように、環境月間では、国や地方自治体等が環境関連の各種イベント等を実施するので、環境について見聞きする機会も増えよう。「私一人くらい、別に…」というのではなく「私も、ちょっとやってみようかな」と、無理なく身近なところから、行動を変えてみよう。
【注釈】
-
第一生命経済研究所HP「1分でわかるトレンド解説(音声読み上げ機能付き)」
-
環境省・消費者庁・農林水産省が呼びかける飲食店での食品ロス削減アクションのこと。
https://www.env.go.jp/recycle/food/motteco.html -
エコマークやFSC認証等のエコラベルがついた製品を選択する等が考えられる。農産物についても、農林水産省が2024年3月に、農産物の生産段階における温室効果ガス削減への貢献と生物多様性保全の取組を星の数で評価する等級ラベル表示をスタートさせている。
https://www.env.go.jp/policy/hozen/green/ecolabel/
https://www.dlri.co.jp/report/ld/336662.html
加藤 大典
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。

