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- 内外経済ウォッチ『米国~FRBは持続的な成長のため労働市場をより重視~』(2025年8月号)
FRBは様子見継続もデータ次第
米国では、トランプ関税等によって不確実性が高まり、インフレの上振れや労働市場の悪化リスクが警戒されている。このような中、FRBは25年6月にかけて4会合連続で政策金利を据え置いた。
パウエルFRB議長は、7月1日の講演で「米経済が堅調である限り、もう少し様子を見ながら影響を見守ることが賢明と考えている」と米経済が堅調な間は、関税等の影響を確認する余裕があると認識。インフレでは、「何が表れるか、表れないかを特に注視する」と価格転嫁の動きを注視すると説明した。労働市場について「予期せぬ弱さの兆候を特に慎重に観察する」とより慎重に判断する姿勢を強調した。
不確実性の高いなか、景気は減速
6月時点での景気情勢は、ISM景気指数で製造業が49.0(前月48.5)と拡大縮小の分岐点である50を4ヵ月連続で下回った一方、非製造業が50.8(前月49.9)と上昇し、再び50を上回った。製造業部門が縮小を続けるなか、非製造業部門は鈍化しており、米景気の減速を示している。一方、仕入指数の上昇など事業コストの増加が示唆されている。
雇用情勢では、6月の非農業部門雇用者数が前月差+14.7万人(前月同+14.4万人)と加速したものの、企業の慎重な業況判断を背景に民間部門は同+7.4万人(同+13.7万人)と大幅に鈍化した。また、6月の失業率は、4.1%(前月4.2%)と低下したが、労働市場からの退出者の増加がなければ、失業率は4.3%に上昇していたことから、6月も労働市場は軟化を続けたと判断される。
インフレについては、2月以降の関税賦課の影響が駆け込み輸入や在庫の大幅な積み増しにより限定され、5月のPCEデフレーターは3ヵ月前対比年率+1.7%(同+2.9%)と短期的なインフレ圧力の抑制を示している。しかし、6ヵ月前対比年率+2.9%(同+2.8%)、前年比+2.7%(前月同+2.6%)と中長期では下げ渋りの状況を示している。


FRBは労働市場の軟化で早期大幅利下げ実施へ
FRBは、インフレで高い不確実性が残存していても、失業率の上昇など労働市場の軟化が示されれば、9月にも利下げを実施すると予想される。
関税によるインフレの上昇が一時的か否か判断できるまで待った場合、深刻な景気後退に陥り、労働市場が大幅に悪化する可能性が高い。労働市場の回復には、多大な時間とコストがかかるため、インフレの低下よりも労働市場の回復を優先させ、FRBは年内に大幅な利下げを実施しよう。
早期の大幅利下げによって、経済成長率が高まり、労働市場が改善するとみられ、FRBは26年に再び様子見姿勢に転じる公算が大きい。
桂畑 誠治
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 桂畑 誠治
かつらはた せいじ
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経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済
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