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2024.06.20
アジア経済
アジア経済見通し
中国経済
インド経済
四半期見通し『アジア・新興国~中国は引き続き不動産が足かせに、インドは期待を超えられるかの岐路に~』(2024年7月号)
西濵 徹
不動産問題は引き続き中国経済の足かせになる
足下の中国経済は供給サイドをけん引役に底打ちしている。一方、需要サイドは若年層を中心とする雇用不安や不動産市場を巡る懸念が内需の足かせとなり、外需にも不透明感がくすぶる状況が続く。こうしたなか、当局はインフラ投資の拡充をはじめとする内需喚起を図る動きをみせてきた。さらに、不動産セクターを巡る問題解決を目的に地方政府が『妥当な価格』で買い取り低所得者層向けの安価な住宅への転用や土地の買い戻しを認める方針を明らかにしている。中銀も規制緩和や新規の貸付制度を創設しているが、昨年末時点の住宅在庫が6000万戸、総額で17.6兆元に達すると試算されるにも拘らず、支援額は5000億元に留まり、一連の対策で事態打開に向かうかは見通しが立ちにくい。
他方、習近平指導部が主導する『新質生産性』にしたがって供給サイドを中心に景気底入れの動きが促されているものの、10月の米国大統領選に向けて米国や欧州などは中国に対する警戒感を強めている。米国は中国製EVなどに対して関税を課す方針を明らかにしているほか、EUも同様の措置に動く可能性が高まっており、中国の対抗措置も予想されるなど、米中摩擦は不可逆的に進行していくことが予想される。よって、先行きは外需を取り巻く環境の悪化は避けられない。年明け早々は良好なスタートダッシュを切ったとみられるものの、先行きの景気は徐々に頭打ちの様相を強めるであろう。

インドは期待を超えられるか否かの岐路に立つ
中国以外のアジア新興国においては、中国経済に対する依存度が高いASEANやNIEs諸国では引き続き中国景気の動向が景気を左右する展開が続く。他方、サプライチェーン見直しの動きは、対内直接投資の受け入れ拡大を通じて景気を下支えしており、当面はこうした動きが続く可能性は高い。ただし、足下のインフレ率は一見落ち着きを取り戻しているが、食料品やエネルギーなど生活必需品を中心とする物価上昇が続いており、米ドル相場を巡る不透明感も影響して各国中銀は金融緩和に動くことができない状況が続く。よって、先行きは利上げの蓄積効果が内需の足かせとなる懸念がくすぶるなか、当面の景気はインフラ関連をはじめとする公的需要が景気を支える展開が続こう。
なお、中国に次ぐ世界経済のけん引役になることが期待されるインドだが、総選挙ではモディ政権を支える与党連合が勝利するも議席を大幅に減らしており、政策の行方に不透明感が高まっている。モディ政権は3期目入りを果たしているものの、ここ数年は内向き姿勢を強める動きをみせてきたなか、今後は一段とそうした傾向が強まることが予想される。よって、期待された構造改革もスピード感の低下や後退していく可能性も考えられる。向こう数年以内に経済規模は日本、ドイツを抜いて世界第3位になると見込まれるが、1人当たりGDPは依然2500ドル程度に留まるなか、経済成長を押し上げる政策運営ができるか否かが注目される。

西濵 徹
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 西濵 徹
にしはま とおる
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経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析
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