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- 内外経済ウォッチ『米国~利下げはより慎重なペースとなる可能性も~』(2024年3月号)
利上げ打ち止めも早期利下げは否定
FRBは、利上げ政策を終了した。今後は、拙速な利下げと遅すぎる利下げのリスクを評価し、利下げ開始のタイミングを探る姿勢だ。ただし、現時点で3月利下げには否定的であり、24年に25bpの利下げ3回が適切とのFOMC参加者予想を示している。
24年1月30、31日に開催されたFOMCで、FRBは予想通り政策金利であるFFレート誘導目標レンジを5.25~5.50%に据え置くことを4会合連続、全会一致で決定した。また、保有資産の圧縮を現在のペースで継続することを決定した。
今後の金融政策について声明文では追加利上げの可能性を維持してきた文言を政策金利の「調整」と方向性を示さない文言に変更した。パウエルFRB議長は「政策金利はサイクルのピークに達した可能性が高い」と利上げ打ち止めの見方を示した。
同時に、「委員会はインフレが持続的に2%に向かっていると確信を深めるまでは、FFレート誘導目標レンジの引き下げが適切ではないと考えている」と早期の利下げの可能性が低いことを強調した。パウエル議長は「インフレは依然高すぎる」としたうえで、現時点で「3月のFOMCまでにインフレが目標である前年比+2%に向かっていると確信を深めるような経済情勢となる可能性が低い」と3月の利下げを否定した。

利下げを急げば景気過熱・インフレ再上昇の恐れ
23年10-12月期の実質GDP成長率(1次推計)は個人消費主導で前期比年率+3.3%(前期同+4.9%)と高い成長を維持した。23年間の実質GDP成長率は、前年比+2.5%(22年同+1.9%)と加速し、潜在成長率と推測される+1.8%成長を上回る高い経済成長となった。労働市場では、1月の非農業部門雇用者数が前月差+35.3万人(前月同+33.3万人)と加速し高い伸びとなったほか、6ヵ月移動平均でも前月差+26.2万人(前月同+26.0万人)と加速し、中期的に堅調な増加ペースを維持した。また、失業率は3.7%と自然失業率と推測される4.1%を下回ったままである。PCEコアデフレーターは12月に前年同月比+2.9%と2%のインフレ目標を大幅に上回っているが、低下を続けている。
パウエル議長は、インフレが+2%に達する前に利下げを開始するとしており、景気・労働市場が堅調さを維持するなかで、インフレの低下傾向を評価して利下げを開始する可能性がある。大幅な利下げ期待が高まり、市場金利の低下、株高などによる金融環境の緩和を受け、景気が過熱し労働市場の逼迫した状況が強まることで、インフレが再上昇する恐れがある。金融政策の期待の変化による金融環境の緩和と引き締まりを繰り返すなかで、FRBの利下げは年3回よりも慎重なペースとなる可能性がある。

桂畑 誠治
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 桂畑 誠治
かつらはた せいじ
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経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済
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