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- 内外経済ウォッチ『米国~FRBの利上げ停止が近づくも利下げは遠い~』(2023年3月号)
FRBは利上げ幅を縮小も利上げ継続の姿勢
米国では、FRBが政策金利のターミナルレートを慎重に見極める段階に入った。一方、金融市場では早くも23年の50bpの利下げを織り込んでいる。
23年1月31日、2月1日に開催されたFOMCで、FRBは予想通り利上げ幅を25bpに縮小し、政策金利であるFFレート誘導目標レンジを4.50~4.75%に引き上げることを全会一致で決定した。FRBは、労働市場の過熱が続いているものの、インフレが低下し始めたこと、政策金利の大幅な引き上げの効果にタイムラグがあること、消費、生産活動が鈍化していることを受け利上げ幅を縮小した。
FFレート誘導目標レンジは4.50~4.75%まで引き上げられたが、声明文では前回同様「委員会はインフレ率を徐々に2%に戻すのに十分に抑制的な金融政策スタンスを実現するためには、目標レンジの引き上げを継続することが適切だとみている」と引き続き利上げが必要であるとの見方を維持した。
12月のPCEデフレーターが前年同月比+5.0%、PCEコアデフレーターが同+4.4%とピークから低下しているものの、FRBの目標である+2%を大幅に上回っている。パウエルFRB議長は「財や住宅の分野では価格上昇圧力は緩和しているか、あるいは間もなく緩和する見通しである」との見方を示したが、「食料、エネルギー、住宅を除いたインフレは根強い」と依然インフレ圧力が強いことを指摘した。そのため、議長はインフレに対して「勝利宣言やもう大丈夫との見方は極めて時期尚早であり、仕事は完全に終わっていない」と慎重な見方を維持した。そして、議長はまだ政策金利が十分に景気抑制的ではないとして「今は利上げを停止する時ではない」と追加利上げが必要との考えを示した。

23年に利上げ停止も利下げは否定
もっとも、金融政策のフォワードガイダンスに関する声明文が前回の“利上げ幅”から今回“政策金利の水準”を示す「利上げの程度」に文言が変更され、インフレが目標に達していない中でも、これまでの大幅利上げの累積的な効果、経済活動やインフレに遅れて顕在化する影響、景気動向や金融環境の引き締まりなどを考慮して、利上げを停止する方針を示した。3月に公表されるFOMC参加者の経済・金利予想では、インフレ見通しが足元の低下を映じて小幅下方修正され、ターミナルレートは5.00%に下方シフトし、FRBは5月のFOMCで様子見に転じよう。
一方、利下げに関して、議長は「経済成長が予想通りなら、年内の利下げは適切でない」との認識を示し、「時期尚早な金融緩和への切り替えを控えるべきなのは過去の例を見れば明白」と拙速な利下げに対する警戒を示した。良好な雇用情勢の継続、世界経済見通しの上方修正等を背景に、プラスの経済成長予想が維持されるとみられることから、FRBは23年に利下げを行わない公算が大きい。

桂畑 誠治
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 桂畑 誠治
かつらはた せいじ
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経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済
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