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- 内外経済ウォッチ『米国~早期利下げ期待が利上げの長期化を招く~』(2023年2月号)
FRBは利上げペース鈍化も早期利下げを否定
米国では、FRBが23年の利下げを否定し続けているにもかかわらず、景気後退懸念の強まり、インフレの若干の低下を受け、金融市場では23年の利下げが予想されている。
FRBは、22年12月13、14日に開催されたFOMCで、政策金利であるFFレート誘導目標レンジを4.25~4.50%に引き上げることを全会一致で決定した。FRBは、労働市場の過熱、高いインフレが続いていたため、50bpの大幅利上げを決定したが、政策金利の水準が大幅に上昇したこと、消費、生産活動の鈍化が示されたことで利上げ幅をこれまでの75bpから50bpに縮小した。一方、今回FOMC参加者のターミナルレート予想は、5.1%と前回の4.6%から上方シフトした。
FRBは、データ次第ながら景気にも配慮し23年に25bpの利上げペースでターミナルレートを探る方針とみられる。パウエルFRB議長は、「今年前半は迅速な利上げが重要だったが、現時点では利上げペースの速さはそれほど重要ではない」としたうえで、「最終的な金利水準がより重要」との認識を何度も示してきた。インフレが高止まりを続ける中で、利上げペースの鈍化が直ぐに利上げ打ち止めを示唆するものではないことを強調し続け、金融引き締め効果を過度に弱めることなく、利上げ幅縮小を実現し易い市場環境の醸成を目指している。

米景気減速も労働市場の逼迫と高インフレが継続
12月の企業景況感では、PMI統計が企業活動の縮小を示したほか、ISM統計は企業活動の拡大ペース鈍化を示しており、米国景気の減速が継続している。一方、労働市場では、11月に失業率が3.7%にとどまり、自然失業率と推計される4.0%を依然下回っているうえ、非農業部門雇用者数は3カ月移動平均で前月差+27.2万人(前月+28.2万人)、6ヵ月移動平均で同+32.3万人(前月+34.4万人)と減速傾向を辿っているが、依然堅調なペースを維持しており、労働市場逼迫の緩和ペースは緩やかなものとなっている。一方、インフレは11月のPCEデフレーターが前年同月比+5.5%、PCEコアデフレーターが同+4.7%とピークから低下しているものの、FRBの目標である+2%を大幅に上回っている。
このような中、10年国債利回りは、22年10月21日につけた4.33%をピークに23年の利下げ期待を映じて12月7日に3.4%まで低下した。23年1月5日時点でも3.7%程度と政策金利を大幅に下回る水準にとどまっている。また、ドル高にも歯止めがかかるなど、利上げによる金融環境の引締め効果が弱まっている。金融当局と市場の認識ギャップによるこのような金融市場の動きが続き、インフレの低下ペースが鈍いものになれば、FRBは利上げを長期化せざるを得ない。ターミナルレートが上方シフトすることで、深刻な景気後退に陥る恐れがある。

桂畑 誠治
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 桂畑 誠治
かつらはた せいじ
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経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済
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