内外経済ウォッチ『米国~FOMC参加者は慎重な利上げを想定~』(2021年11月号)

桂畑 誠治

目次

11月FOMCでのテーパリング決定を予告

米国では、新型コロナウイルスのデルタ変異株による感染拡大の景気への影響などが警戒されるなか、景気拡大や労働市場回復が続いているが、インフレが高止まりしている。この状況を受け、長期金利が水準を切り上げるなど金融市場では金融政策の正常化前倒しへの警戒を強めている。

9月21、22日に開催されたFOMCで、FRBは政策金利であるFFレート誘導目標レンジの0.00~0.25%への据え置き、月額最低1,200億ドルの資産購入の継続のほか、政策金利と資産購入に関するフォワードガイダンスの維持を全会一致で決定した。しかし、声明文に「概ね予想通りの進展が続けば、委員会は資産購入ペースを緩めることが近く正当化される可能性があると判断する」とFRBの目標に向けて経済が改善したことを受け、経済・金融情勢に大きな変化がなければ次回11月FOMCでテーパリングを決定することを示唆した。

また、パウエル議長はFOMC後の記者会見で、「参加者は来年半ば頃に完了する緩やかなテーパリングプロセスが適切となる可能性が高いと考えている」と22年半ば頃のテーパリング終了がFOMC参加者のコンセンサスになっていることを明らかにした。

図表
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ドットは利上げ前倒しも慎重な政策運営を示唆

ドットチャートでは、24年末にかけてのFOMC参加者の利上げの道筋が示された。FOMC内で22年末までに米国経済が正常化し、雇用と物価の目標を達成できるとの見方がやや増えたことを背景に、22年末のFF金利誘導目標(中央値)が小幅上方シフトした。その結果、ドットチャートでの利上げ開始が前回の23年から22年に前倒しされた。ただし、22年は9人が据え置き、9人が25bp以上の利上げと見方が拮抗しており、22年利上げ開始がFOMCのコンセンサスとなっているわけではない。

FOMC参加者の経済予測では22年10-12月期に失業率が均衡失業率である4.0%を下回り、24年まで継続する。また、インフレ率は24年にかけて前年比+2%を上回り続ける。このようなもと、適切なFF金利誘導目標予想の中央値は24年末で1.8%と中立金利である2.5%を大幅に下回っており、実質FF金利がマイナスにとどまる緩和的な金利水準が適切と予想されている。利上げ回数は22年0.5回、23年3回、24年3回。FRBは目標達成後も金融政策の正常化を忍耐強く、慎重に行うことが適切になると予想している。このシナリオの実現可能性が高いと認識され続ければ、利上げ局面でも長期金利急騰や株価暴落などが長期化することは回避されよう。

図表
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桂畑 誠治

桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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