いま注目されるデキュムレーション

~米英豪のデキュムレーション政策の動向から考える~

奥田 宏二 、 重原 正明 、 村上 隆晃 、 鄭 美沙 、 河谷 善夫 、 福澤 涼子 、 谷口 智明

要旨
  • デキュムレーション(decumulation)とは、資産形成期に積み上げてきた金融資産を退職後に計画的に取り崩し、生活費などに活用していくプロセスである。資産寿命を長く保ちつつ、充実した高齢期を送るために欠かせない。日本ではNISAなど資産形成支援策が充実してきた一方で、取崩し局面では支援が手薄な状態である。団塊の世代が全員後期高齢者となり、資産の取崩しはこれから本格化していくと考えられる。

  • 長寿化やインフレ、金融市場の変動など、高齢期を取り巻く不確実性は高まっている。そうした中、退職金や企業年金、確定拠出年金(DC)は一時金で受け取るケースが多く、退職後の資産管理は個人任せとなっている。その結果、資産が尽きてしまうリスクがある一方、資産枯渇への不安から必要以上に取り崩しを控え、老後の生活の質を十分に高められないという課題も生じている。

  • 海外では、米国やオーストラリアなどは、終身年金などを活用したデキュムレーション支援が進められており、英国でも制度の見直しが進んでいる。日本においても、資産運用立国の次の一手として取崩し時の政策的な支援が必要になるのではないか。

  • 高齢期は個人の状況とライフスタイルによって望ましい資産の取崩し方が大きく異なるという大前提がある。単一の答えを示すのではなく、年齢や資産額などに応じた取崩しのガイドライン整備や資産アドバイザーの育成などが重要になる。

  • 具体的な支援策として①取崩局面の「ガイドライン・アドバイザー・簡易シミュレーター」の整備②長寿リスクに対応する年金機能の強化③DCの取崩し「標準パターン化」の三つを柱に整備すべきと考える。

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本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘等を目的としたものではありません。作成時点で、第一ライフ資産運用経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針等と常に整合的であるとは限りません。

奥田 宏二

おくだ こうじ

政策調査部 主席研究員
専⾨分野: 資産運用、社会保障

重原 正明

しげはら まさあき

政策調査部 シニア研究員
専⾨分野: 社会保障・保険・年金、リスク管理・保険数理、会計・開示

村上 隆晃

むらかみ たかあき

政策調査部 フェロー
専⾨分野: Financial Well-being、資産形成・運用、金融経済教育

鄭 美沙

てい みさ

政策調査部 主任研究員
専⾨分野: 金融リテラシー・ライフデザイン

河谷 善夫

かわたに よしお

政策調査部 シニア研究員
専⾨分野: コーポレート・ガバナンス、金融資本市場

福澤 涼子

ふくざわ りょうこ

政策調査部 副主任研究員
専⾨分野: 資産形成

谷口 智明

たにぐち ともあき

政策調査部 フェロー
専⾨分野: 社会保障、資産形成・運用

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