武器になる経済指標 武器になる経済指標

米国 賃金インフレの兆候に乏しい 利上げを急ぐ必要は?(JOLTS 統計)

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均株価は先行き12ヶ月72,000円程度で推移するだろう

  • USD/JPYは先行き12ヶ月155円程度で推移するだろう

  • 日銀は政策金利を12月に1.5%とした後、27年末までに2.25%とするだろう

  • FEDはFF金利を、年内は4.0%で据え置くだろう

  • 現在、Fedの関心は「雇用<物価」であり、その点において労働市場データの注目度は高くない。本日公表されたJOLTS統計は、全体の評価として「やや弱い」と判断される。目先の金融政策に与える影響は限定的であるが、今後、物価上昇率が落ち着く兆候が増してくれば、Fedの「様子見(利上げ見送り)」を正当化する材料になり得る。

  • 2026年8月のJOLTS統計によると、求人件数は前月比▲3.5%の708万件であった。市場予想(722万件)を下回る弱い結果であり、3ヶ月平均値でみても同▲2.1%、720万件と反落した。それでも3ヶ月平均値は今年に入ってから5%程度の増加を維持している。企業の採用意欲は持ち直し傾向にあると判断される。

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  • Fedが注目していた失業者一人あたりの求人件数は1.01となり、節目の1を5ヶ月連続で上回った。大きくみれば、2024年以降は求人件数と失業者数は共に横ばい状態にあり、そうしたもとで失業率は低位で安定している。

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  • 解雇率は1.03%へと低下し、小数点2桁ベースでは2025年3月以来の低水準となった。これは過去数ヶ月において新規失業保険申請件数が低位で安定していることと整合的で、企業の労働需要がなお底堅いことを示している。

  • 次に平均時給の先行指標として注目される自発的離職率に目を向けると、1.93%と概ね横ばいであった。自発的離職率の高まりは、労働者が待遇改善を求めて転職活動を活発に行っていることを意味し、賃金インフレの兆候と理解される。目下、離職率が低位で推移していることは、賃金由来のインフレ圧力がなお限定的であることを示している。原油高に起因するインフレの二次的波及の脅威は現在のところ恐れるに足らないと考えられる。

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  • なお、ウィリアムズ・NY連銀総裁は9月29日に「FRBは9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策措置を決定したため、(現在は)性急に行動する必要はない」「エネルギー価格が過度な上昇要因にならないなら、インフレ率は低下していくはずだ」と発言した。そのうえで「経済が自身の予想とおおむね一致する形で推移すれば、インフレ率を目標水準に速やかに戻すため、年内にあと1回の利上げを実施することが適切⁠になる可能性がある」と述べた。これは12月FOMCにおける追加利上げを示唆する一方、10月27-28日のFOMCにおける利上げは不要であるとの含意があるように思える。その点において、ややハト派的な印象を受けた。

藤代 宏一


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