武器になる経済指標 武器になる経済指標

データセンター投資は製造業に恩恵 8月も米景況感は良好

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均株価は先行き12ヶ月72,000円程度で推移するだろう

  • USD/JPYは先行き12ヶ月155円程度で推移するだろう

  • 日銀は政策金利を9月に1.25%とした後、27年末までに2.25%とするだろう

  • FEDはFF金利を、年内は3.75%で据え置くだろう

  • 9月1~2日にかけて発表された米国の経済指標は何れも底堅い結果であった。Fedの利上げ観測を高めない範囲で、米経済への安心感を強めたことで、リスク性資産全般にポジティブな結果であったと判断される。

  • 8月ISM製造業景況指数は54.6へと7月から1.0pt低下も、50を有意に上回って推移した。ヘッドラインを構成する5つの項目は、生産(58.5→58.3)と新規受注(56.7→53.7)が高水準から低下し、雇用(52.8→51.2)も軟化した。その他ではサプライヤー納期(58.9→59.3)が長期化してヘッドライン押し上げに寄与。一方で在庫(51.2→50.6)は減少方向に動き、ヘッドライン下押しに寄与した。全体的に方向感は下向きであったが、水準は良好な領域にあり、製造業の強さを印象付けるものであった。この間、類似指標の製造業PMIも53.9と良好な水準を維持した。ヘッドラインを構成する5つの項目は、生産(53.9→53.1)と新規受注(54.4→54.3)が僅かに低下した一方、雇用(50.9→52.4)は改善。サプライヤー納期(58.3→58.2※筆者が符号調整)は概ね横ばい、購買品在庫(51.9→51.2)は小幅ながら減少方向に動いた。

図表
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  • ISMやPMIといった製造業の景況感を示す伝統的な指標は、メガテック企業の存在感が増した過去10年で注目度が低下した印象がある。もっとも、S&P500の予想EPSの波形は製造業の景況感と現在も一致しており、依然として価値がある。データセンターの建設が、広範な業種に跨る需要を誘発していると推察される。メガテック企業の投資がソフトウェアからデータセンターという物理的なものに移っていることを踏まえると、製造業の景況感は米経済を読むうえでも、株式市場を予想するうえでも注目する必要があろう。

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  • 次にJOLTS統計に目を向けると、求人件数に持ち直しの動きが認められた。7月は前月比+1.2%、727万件と基調的な底堅さが窺える。かつてのFedが重視していた失業者一人あたりの求人件数は1.05へと小幅に上昇し、労働需給が引き締まる方向にあることが示された。この間、解雇率が低位で安定し、それと整合的に新規失業保険申請件数が低水準で推移していることを踏まえれば、企業は既存の労働力に過剰感を認識していないと判断される。こうした労働市場データを踏まえると、向こう数ヶ月の雇用統計で失業率が上昇して俄かに景気後退が意識されるような局面が到来する可能性は限定的と言える。一方で、労働需給のひっ迫に由来する賃金上昇圧力が強まるとも考えにくく、Fedの利上げ観測を高めることにもならないと考えられる。

図表
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藤代 宏一


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一ライフ資産運用経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。