- 要旨
-
-
日経平均株価は先行き12ヶ月72,000円程度で推移するだろう
-
USD/JPYは先行き12ヶ月155円程度で推移するだろう
-
日銀は政策金利を9月に1.25%とした後、27年末までに2.25%とするだろう
-
FEDはFF金利を、年内は3.75%で据え置くだろう
-
- これまで次回利上げ時期を10月会合と予想してきたが、9月会合に前倒しする。金融市場が9月の利上げをかなり織り込んだ以上、その予想に反する決定は難しいだろう。OIS金利から逆算した9月の利上げ確率は74%と高水準にある。10月までの確率は102%(1.02回分)、12月まで拡張すると157%(1.57回分)に達し、年内2回の利上げが中心的な見方になりつつある。2027年7月時点には累積3.4回分の利上げが見込まれている。この間、市場参加者が予想するターミナルレートの代理指標として一般的によく参照されている2年先1年金利は2.4%程度まで高まっている。

- 日銀を取り巻く環境は政治(含む米財務省)や為替と様々であるが、純粋に予想インフレ率が高まっていることが大きく、これが9月に利上げを決定する理論的な根拠になり得る。たとえば、市場関係者を調査対象とするQUICK月次調査<債券>7月調査によれば、今後10年間の消費者物価上昇率は平均値で+1.87%、中央値と最頻値で+2.0%まで高まっている。原油高に見舞われた3月以降に大きく上昇しているわけではないが、2%予想が定着しているのは事実である。なお、向こう2年程度の物価予想には足もとの原油高など通常は短期的な事象として取り扱われる要因が色濃く加味されている可能性がある。そこで同調査で尋ねている2年間と10年間の中央値を用いて、2年後からの8年間の予想物価上昇率を疑似的に算出してみても、結果は変わらない。基調的な上昇が認められ、これは日銀も警戒しているのではないか。
- そして日銀短観(6月調査、全規模全産業)におけるインフレ関連項目も重く受け止めた可能性がある。企業は1年後の日本の物価上昇率を+2.7%と見込んでいるのに対して、自社製品・サービスの販売価格見通しは+3.7%とかなり強気であった。現在のインフレが始まる以前は「販売価格見通し<物価見通し」の構図にあり、この背景には自社製品・サービス価格を平均よりも低く抑える価格競争力重視の企業戦略があったとみられる。その逆転が意味するところは、企業がかつてと比べて価格競争力を重視していないということであり、これは同時にインフレが加速しやすい環境にあることを意味する。こうした動きについて、日銀は展望レポートなどで、企業間取引における価格転嫁が急速であることに警戒感を示していた。

-
なお金融市場では、タカ派の2名の審議委員が任期満了を迎える2027年7月で潮目が変わるとの見方があるが、筆者はその前提が変化すると考えており、審議委員の構成変化による金融政策への影響は限定的であると判断している。ここでいう前提とは、現政策委員の中で最タカ派とされる高田委員、それに次ぐタカ派とされる田村委員が揃って任期満了を迎え、その後任にリフレ色の強い人物が送り込まれるというものである。現在、リフレ派の委員は浅田統一郎氏と佐藤綾野氏の2名であり、利上げに対する潜在的な反対票は2票しか想定されないが、これが4名に増えるとなれば話は変わってくるとの見立ては多い。
-
一方で筆者は、骨太ショックを経験したことで、2027年7月にハト派・リフレ派が送り込まれる可能性が低下したと考えている。日銀の独立性を脅かしたように見えてしまったことで金利上昇・円安を招いてしまった以上、同じリスクを取ることには慎重になると考えるのが自然であろう。タカ派の代表格である2名の後任にリフレ派を充てる人選は、露骨な日銀支配に映る。仮に高市政権が合計4名のリフレ派委員を送り込むならば、2028年3・4月の総裁・副総裁人事もリフレ寄りの人選となることが強く意識され、金利と為替が不安定化する恐れがある。そうした観点から、2027年の人事は中道かタカ派寄りの人選となろう。
-
これらを踏まえると、9月の利上げ後は3~4ヶ月に一度の利上げが標準的となり、それは少なくとも2027年末までは続くと想定される。ターミナルレートは2.25~2.5%程度とみている。
藤代 宏一
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一ライフ資産運用経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。




