武器になる経済指標 武器になる経済指標

日米中銀ともに9月は動かない?

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均株価は先行き12ヶ月72,000円程度で推移するだろう
  • USD/JPYは先行き12ヶ月155円程度で推移するだろう
  • 日銀は政策金利を10月に1.25%とした後、27年末までに2.0%とするだろう。
  • FEDはFF金利を、年内は3.75%で据え置くだろう。
  • 8月14日に発表された米7月小売売上高は前月比▲0.6%と市場予想(同+0.1%)に反して減少した。自動車を除いても同▲0.3%と弱さは変わらず、そこからガソリンを除いても同▲0.2%と減少した。そしてGDP個人消費の推計に用いられる自動車、ガソリン、建材等を除いたコア小売売上高、いわゆるコントロールグループも同▲0.4%と弱かった。

図表
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  • コントロールグループの弱さの一部は、アマゾンプライムデーが今年は6月に実施されたことから、季節調整が上手く機能せず、6月の強さと7月の弱さが誇張された可能性はある。例年7月に開催される同セールは、今年は6月23~26日に実施された。非店舗型小売業の売上高は6月に同+0.9%の増加となった後、7月は同▲2.2%と弱さがみられた。こうした要因によって全体の数値が攪乱された可能性は否定できないが、電子製品・機器(家電販売店)が同▲0.5%と弱く、スポーツ用品が±0.0%、百貨店が同+0.1%に留まるなど広範に弱さがみられたことから判断すると、7月の弱さは特殊要因だけで説明が付かない。

  • 同日発表されたミシガン大学調査の8月消費者信頼感指数は51.0と弱さがみられた。7月の55.2から4.2ptの低下で市場予想(54.5)も下回った。内訳は、現況指数が51.8へと3.0pt低下し、より重要な期待指数も50.6へと4.8pt悪化した。ガソリン価格の高止まりによって、生活実感が悪化したことがうかがえる。Fedの金融政策を読む上で有用な予想インフレ率は、1年先が4.3%へと小幅ながら上昇した。短期の予想インフレ率はガソリン価格に連動することがよく知られており、今回もそれで説明が付く。一方、5-10年先は3.3%で安定しており、イラン情勢が悪化する前とほとんど変わらない水準を維持している。このことは、原油以外の品目について消費者の予想インフレが概ね正常な領域にアンカーされていることを意味する。こうした中長期的な予想インフレ率の安定と、消費者心理悪化という組み合わせは、現在議論されている利上げが不要であるとの結論に辿り着く材料になり得る。筆者は引き続き年内の利上げが見送られると予想すると同時に、現在の金融市場で織り込まれている利上げ観測が後退する過程で株高、債券高、ドル安(円高)が進行すると予想する。

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  • 日本に目を向けると、9月の金融政策決定会合で利上げが決定されるとの見方がかなり強まってきた。筆者は、日銀短観9月調査の結果を見極めてから利上げの決定に至るとの判断から10月の利上げを予想しているが、この予想の弱点は9月に利上げを見送って10月まで待つことを説明する材料が乏しいことである。

  • その点、本日公表された日本の4-6月期実質GDPは日銀が利上げ判断を10月まで待つ一つの材料になり得る。実質成長率は前期比+0.3%、前期比年率+1.1%と市場予想(前期比+0.5%、前期比年率+2.0%)を下回り、なおかつ内容も悪かった。

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  • 項目別にみるとGDPの5割超を占める個人消費が前期比▲0.0%とマイナスに転じたほか、民間設備投資が同▲1.2%と目立って弱かった。他方、成長を押し上げたのは輸入の減少に伴う純輸出の増加で寄与度は+0.5%、同年率+1.8%であった。この間、民間在庫の寄与度は前期比+0.3%、同年率+1.1%であり、民間在庫変動の影響を除いた最終需要(GDP-民間在庫変動)は前期比横ばいに留まり、そこから純輸出を控除した国内最終需要については年率▲1.8%と大きく落ち込んでいる(公的在庫変動は石油備蓄の取り崩しが主因であることから計算から除外)。設備投資の推計は、1次速報値の段階において一部仮置きの数値が用いられていることから、今後、法人企業統計の公表を踏まえた2次速報値(9月8日)の段階で上方修正される可能性は残るものの、今回の結果は少なくとも利上げを促すものではなかった。

藤代 宏一


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