2026年4-6月期GDP予測(1次速報)

~前期比年率+1.6%と予想。イラン情勢悪化のなかでも景気は崩れず~

新家 義貴

個人消費を牽引役に、イラン情勢悪化の中でも高い成長を予想

8月17日に公表される2026年4-6月期の実質GDP成長率を前期比年率+1.6%(前期比+0.4%)と予測する。3四半期連続のプラス成長になるだろう1

今期の牽引役は個人消費になることが予想される。名目賃金の高い伸びが続くなか、物価上昇率が鈍化したことで実質賃金が前年比で増加に転じ、家計の購買力が徐々に回復している。このことが、足元の個人消費が想定以上に底堅く推移した背景にあるとみられる。自動車やエアコン需要の増加については一時的な面も含まれているため一定程度割り引いて見る必要があるものの、4-6月期の個人消費は総じて持ち直し方向にあった。

4-6月期の景気を巡っては、以前は、イラン情勢の悪化に伴う輸入価格の上昇や供給制約を背景に、マイナス成長に陥るとの見方もあった。しかし、国家備蓄の放出や代替調達の進展によって深刻な供給制約が回避されたことに加え、AI関連需要の強まりなどもあり、景気は想定以上の底堅さを示している。イラン情勢が悪化するなかでも景気回復の流れが崩れず、日本経済が一定の耐久力を保った点は前向きに評価できる。

輸入減少の解釈に注意

4-6月期の外需寄与度は前期比年率+1.5%Ptになると予想している。輸出が小幅に減少する一方、輸入が前期比▲2.5%と大きく減少するとみられるためである。一見、このことが4-6月期の成長率上振れをもたらしたようにも見える。

もっとも、この輸入の下振れは国内需要の減少が主因ではなく、中東からの資源輸入が激減したことによってもたらされた面が大きい。この輸入減による国内供給の不足は原油の国家備蓄の放出によって一部賄われており、それは公的在庫変動の減少としてあらわれる。推計には大きな不確実性があるため幅を持ってみる必要があるが、4-6月期の公的在庫変動の寄与度は前期比▲0.2%Pt(前期比年率▲0.9%Pt)と予想している。

つまり、輸入減少による外需寄与度の押し上げの一定部分は、公的在庫の取り崩しによって相殺される構図である。4-6月期の成長率を評価する際には、外需寄与度の表面的な大きさだけでなく、その背景にある輸入減少と公的在庫の取り崩しを併せてみる必要がある。

需要項目別の動向

個人消費は前期比+0.3%と増加を予想する。名目賃金が高い伸びを続けるなか、物価上昇率が鈍化したことで、実質賃金は前年比でプラスに転じている。物価高によって抑制されてきた家計の購買力が徐々に回復し、そのことが消費の底堅さにつながっているとみられる。

また、26年3月末に自動車税および軽自動車税の環境性能割が廃止されたことで自動車販売が増加した。加えて、27年4月からの省エネ性能の新基準導入を前にした駆け込み需要によりエアコン販売が伸びるなど、耐久財消費が大きく増えたとみられる。

エアコンや自動車販売の増加は持続性に乏しいため、ある程度割り引いて見る必要がある。ただし、耐久財以外のサービス消費なども4-6月期は底堅く推移した模様であり、個人消費全体としては持ち直しの動きが強まったと評価してよいだろう。

設備投資は前期比▲0.4%と、2四半期連続の減少を予想する。イラン情勢の悪化を受けて一時的に調達不安や物流面の混乱が生じたことに加え、先行き不透明感の強まりから、企業が一部の投資を手控えた可能性がある。

もっとも、企業収益は高水準を維持しており、景況感も良好な水準で推移している。人手不足に対応するための省力化投資やデジタル関連投資への需要も引き続き強く、企業の設備投資は引き続き強いままである。設備投資の基調が崩れたと判断する必要はなく、先行きを悲観する必要もないだろう。

輸出は前期比▲0.3%と小幅減を予想する。イラン情勢の悪化に伴う混乱を受け、中東向けの自動車輸出が急減したことなどが押し下げ要因となった。一方、4-6月期には、大口要因によって研究開発サービスの受取が急増し、サービス輸出が大きく押し上げられたとみられる。この増加は一時的な性格が強く、輸出全体の基調を判断する際には割り引いてみる必要がある。財輸出に限れば、前期比▲1.6%の減少が予想される。

輸入は前期比▲2.5%と大幅な減少が予想される。イラン情勢の悪化により中東からの輸入が激減したことが影響している。この結果、外需寄与度は前期比+0.4%Pt(前期比年率+1.5%Pt)と予想される。

ただし、この外需寄与度のプラスは、輸出の増加によるものではなく、資源輸入が困難だったことに伴う輸入の減少によって生じるものである。その裏側では国家備蓄の取り崩しが進み、公的在庫変動は前期比▲0.2%ポイント、前期比年率では▲0.9%ポイントのマイナス寄与になると見込まれる。

図表
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1 7月31日時点で入手可能な経済指標を元に作成している。国際収支や家計調査等、今後公表される経済指標の結果を踏まえて予測値を修正する可能性がある。

新家 義貴


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一ライフ資産運用経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

新家 義貴

しんけ よしき

経済調査部・シニアエグゼクティブエコノミスト
担当: 日本経済短期予測

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