- 要旨
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日経平均株価は先行き12ヶ月57,000円程度で推移するだろう
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USD/JPYは先行き12ヶ月155円程度で推移するだろう
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日銀は利上げを続け、政策金利は26年7月に1.0%、27年7月に1.5%超となろう
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FEDはFF金利を26年9月に3.5%まで引き下げた後、様子見に転じるだろう
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日本の10年金利は2.5%を視野に入れる水準まで上昇している。4月15日は2.423%となり、1990年代後半と同程度の水準に回帰した。上昇の基本的要因は日銀の利上げ観測であろう。その点、4月の金融政策決定会合(27-28日)まで約2週間となった現時点において、利上げを示唆する情報発信がほとんど出ていない状況を踏まえると、4月の利上げの可能性は低下したと判断される。逆に、利上げを見送るとの観測報道がほとんど出ていないことには不気味さを禁じ得ないが、4月13日に植田総裁(氷見野副総裁による代読)は「中東情勢がなお不透明な状況にあることを踏まえ、その帰趨や、それが経済・物価・金融情勢に及ぼす影響を注視しつつ」と発言していたことを踏まえれば、中東情勢に関連する「霧」が晴れるまで判断を先送りするのではないか。
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もっとも、長期金利の決定に際して、次回の利上げ時期はさほど大きな問題ではないだろう。4月の利上げ確率が先週から大幅低下(6割超→3割未満)したのをよそに、むしろ7月までの利上げ確率は上昇傾向にあり、4月15日時点で104.7%となっている。端的に言えば、春か夏かの違いである。この間、12月までの累積利上げ確率は199%(1.99回分)にまで上昇しており、「半年に一度」の利上げ予想が市場参加者の共通認識になりつつあることが見て取れる。

- ターミナルレートの代理指標として2年先1年金利に目を向けると、直近は1.99%とほぼ2%に到達している。3月入り後、イラン情勢の悪化に伴う原油高などの混乱を受けて、一度は利上げの織り込み度合いが剝がれる場面もみられたが、原油高による実体経済への甚大な影響が避けられるとの見方が広がるもとで、市場参加者は利上げをより高い確度で織り込むようになった。

- 日銀の利上げ観測が高まる背景には、賃金と物価の上昇があり、これは日本経済の正常化と捉えることができる。その点、昨年のサンプル・バイアスが剥落したとみられる2月の毎月勤労統計、そして2026年春闘の途中集計はどちらもインフレが持続的なものであるとの見方を後押しする結果であった。2月毎月勤労統計では、サンプル要因による下押しが疑われていた卸売業・小売業の数値が急進して2024年の基調に戻ったことで、全体の数値は春闘賃上げ率などと比べて違和感のない伸び率となった。春闘賃上げ率については、連合による3回目集計時点(4月1日公表)において、ベア相当部分は3.58%となっている。連合による集計には含まれない、公的部門や非市場性部門の賃上げ動向を加味する必要はあるにせよ、3%半ばの賃上げ基調は2%の消費者物価上昇率に対して、概ね整合的といえる。こうしたデータは日銀の利上げを正当化する。

- この間、債券市場の予想インフレ率は高まっている。10年予想インフレ率(BEI)は「手前側」の期間における原油高を映じたとみられるほか、上述のような賃金上昇が継続するとの予想が組み込まれているとみられる。日銀短観を確認しても、企業の価格設定行動は積極化しており、たとえば1年後の販売価格見通しは日本の全般的な物価上昇率を明確に上向っている。このことは企業の競争軸として「低価格」の重要性が低下していることを物語っている。
- 長期金利が年初来で約36bp上昇したことは、財政懸念で説明されることも多い。もっとも、この間に2年先1年金利が29bp上昇したことを踏まえると、長期金利上昇の大部分は日銀の利上げ観測で説明できるようにも思える。長期金利の上昇速度は確かに早いが、日本売りの文脈には違和感を禁じ得ない。
藤代 宏一
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