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2026.03.03
米国経済
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米国:拡大基調も強まるインフレ圧力(26年2月ISM製造業)
~緊迫する米・イラン情勢によるコスト増リスク~
桂畑 誠治
- 要旨
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26年2月のISM製造業景気指数(季節調整値)は、52.4(前月52.6)と前月比で0.2ポイントの低下にとどまった。市場予想中央値の51.5(筆者予想51.8)を大幅に上回り、拡大・縮小の分岐点である50を2カ月連続で上回った。これにより、米製造業部門が拡大を維持していることが示された。トランプ政権の関税政策による不確実性やコスト増が引き続き抑制要因となっているものの、堅調な国内需要を背景とした在庫補充や、関税による価格上昇を見越した発注の増加が指数を下支えした。
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調査コメントをみると、製造業各社は、関税政策による鉄鋼・アルミ等の原材料高騰に苦慮しており、調達先の国内回帰や地域分散によるコスト抑制を急いでいる。景況感は二極化の様相を呈し、データセンターやヘルスケア関連が堅調な一方で、輸送機器等は需要減と収益悪化に直面している。多くの企業が受注残を抱えて回復の機会を窺っているほか、長年の課題であった人手不足については、一部で改善の兆しを見せる企業も現れた。
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2月の総合景気指数を項目別にみると、雇用や在庫の減少幅が縮小したこと、およびサプライヤーの納入遅延が強まったことが指数を押し上げた。一方で、新規受注と生産の拡大ペースは鈍化し、全体を押し下げる要因となった。また、仕入価格指数は高水準に達しており、製造業におけるコスト増圧力が急激に強まったことが浮き彫りとなっている。
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2月に拡大した業種は、全18業種のうち、印刷・関連サポート活動、繊維、一次金属、非鉄、化学製品、一般機械、電気機器・電化製品・電気部品、加工金属、輸送機器、プラスチック・ゴム製品、その他製造業、コンピューター・電子機器の12業種(前月9業種)に増加(下線は拡大・縮小が2カ月以上続いたことを示す)。主要6業種で拡大した業種は、化学製品、一般機械、輸送機器、コンピューター・電子機器の4業種で、前月の5業種から減少した。
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構成項目別の動向では、前月比で在庫、雇用、入荷遅延が上昇した一方、生産、新規受注が低下した。指数水準では、雇用と在庫が50を下回ったものの、新規受注、生産、入荷遅延が50を上回り、全体として拡大を示す水準を維持した。
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新規受注は55.8(前月57.1)と、低下しながらも高い水準を維持しており、需要の堅調さが持続している。拡大した業種数は18業種中12業種(同8業種)に増加し、縮小は2業種(同7業種)に減少。
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生産は、53.5(同55.9)と拡大圏内で低下し、ペースの減速が示された。拡大した業種数が9業種(同11業種)に減少したが、縮小した業種も4業種(同6業種)に減少。新規受注と受注残が拡大水準を維持していることから、生産拡大が持続する可能性は高い。また、在庫は、48.8(前月47.6)と上昇したが縮小圏にとどまり、縮小ペースの鈍化を示した。不確実性の高まりから企業は慎重な姿勢を崩していないが、在庫の減少や顧客側の在庫不足感の強まりを背景に、生産は今後も緩やかな拡大を継続する公算が大きい。
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入荷遅延は、55.1(同54.4)と上昇。港湾での停滞やトラック輸送の制約、悪天候などを背景に、サプライヤーの納入期間が長期化したことが示された。
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雇用は、48.8(同48.1)と上昇したものの、50を下回る水準にとどまり、雇用の減少幅の縮小が続いている。企業は不透明な需要動向を背景に人員削減を優先しており、レイオフや採用凍結を通じた調整が継続されている。
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インフレの動向を示す仕入価格指数は、70.5(前月59.0)と11.5ポイント急騰。22年6月の78.5以来の高水準を記録し、依然としてコスト増圧力が極めて強いことを裏付けた。2月に仕入価格の上昇を報告した業種は、14業種(前月11業種)に及ぶ。商品別では、貨物が下落した一方、アルミニウム、銅、鉄鋼、重要鉱物、真鍮、銅製品、鉄鋼製品、電子部品、貴金属等の価格が上昇した。供給不足品では、電子部品、電気部品、希土類部品、メモリが挙げられた。
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製造業の先行きについては、米国とイランの軍事衝突に伴うエネルギー価格や物流コストの上昇、および不確実性の高まりが足かせとなり、一時的な指数の低下が予想される。もっとも、両国の軍事力・国力の差が顕著であるうえ、国際情勢を鑑みればイランを軍事面で支援できる国がかなり限られることから、軍事衝突が長期化する可能性は低いだろう。その後は、①半導体、医薬品、重要鉱物等への分野別関税によるインフレ波及が限定的となる可能性が高いこと、②減税や資産価格の上昇を背景に国内需要が堅調を維持すること、③在庫の低い水準が生産を誘発すること等に支えられ、製造業景気指数は26年を通じて基本的に拡大の勢いを保つ公算が大きい。
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本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 桂畑 誠治
かつらはた せいじ
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経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済
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