株高不況 株高不況

減税競争に距離を置くなら金利・為替は安定化

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均株価は先行き12ヶ月54,000円程度で推移するだろう(修正検討中)

  • USD/JPYは先行き12ヶ月155円程度で推移するだろう

  • 日銀は利上げを続け、政策金利は26年7月に1.0%、27年7月に1.5%超となろう

  • FEDはFF金利を26年6月に3.5%まで引き下げた後、様子見に転じるだろう

目次

金融市場

  • 前営業日の米国市場は、S&P500が+2.0%、NASDAQが+2.2%で引け。VIXは17.8へと低下。

  • 米金利はカーブ全般で金利低下。予想インフレ率(10年BEI)は2.329%(+2.4bp)へと上昇。
    実質金利は1.878%(+0.6bp)へと上昇。長短金利差(2年10年)は+70.4bpへとプラス幅縮小。

  • 為替(G10通貨)はJPYが最弱。USD/JPYは157前半で推移。WTI原油は63.6㌦(+0.3㌦)へ上昇。銅は12994.0㌦(+91.0㌦)へ上昇。金は4951.2㌦(+89.8㌦)へ上昇。

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注目点・経済指標

  • 解散が決まった直後には想定されていなかった自民党の圧勝が現実になった。選挙戦序盤では、高市首相の人気にもかかわらず、政党支持率が一向に回復しないため、与党系の苦戦を予想する向きもあったが、蓋を開けてみれば自民党単独で定数の3分の2にあたる310議席を超えて316議席を確保した。単独の政党としては戦後最多の議席数であるという(日経新聞)。日本維新の会は36議席獲得となり、与党系無所属の2議席を含めて与党系で354議席の獲得となった。

  • 今回の選挙結果について筆者は株高、為替安定、金利安定要因になったとみる(株価予想値は近日中に上方修正予定)。強固な政権基盤を築くことは、政策遂行能力の向上を通じて株式市場に安心感をもたらすだろう。防衛関係費の増大など高市首相のこだわりが強い分野において、政策不透明感は後退した。その他では「年収の壁」対策に関する期待も繋がれた。所得税の基礎控除の更なる引き上げに加え、住民税や社会保障制度に跨った横断的な改正が期待される。

  • 金利と為替は安定化が予想される。与党系の大勝は、盤石な政権基盤を後ろ盾に高市政権が財政規律を緩めるとの懸念から金利上昇と円安の併存を予想する向きもあるが、野党陣営の掲げるポピュリズム的な政策に同調しないで済むことの安心感は大きい。事実、今回の選挙でも消費税減税は「争点潰し」であるとの見方が多かった。再来年夏の参院選挙に向けて、野党の攻勢をかわすために「人気政策」を推し進める可能性は残存するものの、金融市場を揺るがすような極端な財政拡張路線に走る展開は想像しにくくなった。

  • 事実、首相は食料品にかかる8%の消費税を2年間ゼロとする消費税減税案(累積減税規模約10兆円)について、慎重化しているようにみえる。日経新聞によれば、公示日の1月27日から2月4日までの遊説において、消費税減税に触れることは一切なかったという。首相は2026年度中の実施に意欲を示してきたものの、昨日時点でも「国民会議で議論し検討を加速する」に留めており、自民党内の財政規律派に配慮している様子が窺える。今後、国民会議での意見集約が難航すれば消費税減税案が棚上げとなり、代替案として従来からの延長線上の措置、すなわち定額減税、・給付金などが俎上に上る可能性があろう。消費税減税の終了時期が参院選挙にぶつかることも、与党内(特に自民党)の意見を慎重な方向に傾けよう。

  • 高市政権発足後の金利上昇については、財政拡張で説明されることが多い。もっとも、この間に債券市場で観察される予想インフレ率(10年BEI)が一時2%近傍まで水準を切り上げたことを踏まえれば、必ずしも財政要因で金利上昇の多くを説明することはできないだろう。むろん、予想インフレ率の高まりを、拡張的財政政策によるインフレ加速懸念と切り離して説明することはできないが、本質的には賃金と物価の相互刺激的上昇が4年目に突入したことで、「インフレは一時的」との見方がすっかり鳴りを潜めたことが大きいだろう。市場関係者の予想インフレ率をQUICK月次調査<債券>で確認すると、今後10年間のCPI予想は中央値が2004年の調査開始以来で初めて2%に到達した。

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  • 予想物価上昇率が高まる背景としては、賃金上昇の持続性があろう。2026年春闘における賃上げ率は2025年対比で幾分鈍化するとはいえ、2024年と同等の上昇率が見込まれ、毎月勤労統計における一般労働者の所定内給与は2026年度に2%台半ば程度の推移が期待できる。実質賃金はプラス転化が見込まれ、そうした下で2%の物価上昇率が実現していく公算は大きくなっている。金利上昇のか背景には、日銀のいうところの基調的物価上昇率の高まりがあると考えられ、必ずしも財政要因で強く効いているとは言えない。

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藤代 宏一


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