米国10月住宅着工件数は集合住宅主導で下振れ

~住宅建設は、コスト増、高い金利、悪天候を背景に停滞~

桂畑 誠治

要旨
  • 25年10月の住宅着工件数(季節調整済み、年率換算)は、124.6万戸、前月比▲4.6%(前月130.6万戸、同+1.2%)と、市場予想中央値(ブルームバーグ集計)の133.0万戸(前月比+1.8%)への増加に反して、減少した。 着工の基調を示す「一戸建て住宅着工件数」が87.4万戸、前月比+5.4%(前月82.9万戸、同▲4.6%)と増加に転じた一方、「集合住宅の着工件数」は、37.2万戸、同▲22.0%(前月47.7万戸、同+13.0%)と大幅に減少した。一戸建ては、在庫の増加、販売の伸び悩み、資材コスト上昇、人手不足等を背景に、停滞を続けていると判断される。集合住宅は、月次での変動が大きいが、底堅く推移していると考えられる。地域別では、最大市場の南部、中西部が増加したが、豪雨や山火事等の影響で西部が大幅に減少した。
  • 10月の住宅建設許可件数(季節調整済み、年率換算、改定)は、141.1万戸、前月比▲0.3%(前月141.5戸、同+6.4%)と減少した。一戸建て住宅が87.8万戸、同▲0.2%と減少したうえ、集合住宅が53.3万戸、同▲0.4%と減少した。建設業者が需要の先行きに慎重な見方を強めており、許可件数は一戸建て主導で徐々に水準を切り下げている。
  • 住宅建設は、不確実性の高まりや高い実質金利を背景に停滞していた。金利高止まりや価格上昇等による販売鈍化によって在庫が増加したほか、建設業者がトランプ政権の関税賦課や不法移民取り締まり強化を受けた更なるコスト増や需要鈍化への懸念を強め、新規の住宅着工に慎重になっている。
  • 25年の住宅販売は、高いモーゲージ金利が抑制要因となったものの、実質所得の拡大、企業の販促等によって、小幅増加したと見込まれる。このような中、トランプ関税への懸念、不法移民の取り締まり強化等を受け、建設業者の先行きに対する見方が悲観的になっていたため、一戸建て住宅着工件数は停滞を続けたと見込まれる。
  • 25年の住宅販売は前年比+0.2%(24年同▲0.3%)と小幅増加したとみられるものの、在庫の高止まりによって、住宅着工は、同▲0.4%(24年▲3.5%、23年▲8.4%)と減少幅の縮小にとどまったと予想される。
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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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