米国11月小売売上高は堅調な年末商戦を映じて拡大   

  ~小売の拡大基調はペースダウン~

桂畑 誠治

要旨
  • 25年11月分の小売売上高統計は、12月17日の公表予定だったが、政府機関の一部閉鎖(10月1日から11月12日)の影響で発表が遅れ、26年1月14日に公表された。
  • 11月の小売・飲食サービス売上高は、前月比+0.6%(前月同▲0.1%)と堅調だった年末商戦を映じて増加に転じ、市場予想中央値(ブルームバーグ集計)の同+0.5%を上回った(9、10月に合計0.2%下方修正)。前年比では、小売・飲食サービス売上高は、+3.3%(前月同+3.3%)と横ばいとなった。 11月の小売売上は、年末商戦での販促強化のほか、EV向け補助金の終了で落ち込んでいた自動車販売の持ち直し、需要の拡大によるガソリン販売の増加、政府機関の再開の影響を受けた飲食店などの売上拡大によって、押し上げられた。
  • 業態別の前月比の動向をみると、家具が減少に転じたほか、家電、食品・飲料、衣料品、一般小売、無店舗小売が鈍化した。一方、自動車・同部品、建設資材、薬局、ガソリンスタンド、飲食店が増加に転じたうえ、その他小売が加速した。スポーツ用品・本・趣味用品は、前月と同じペースの高い伸びを続けた。 主要13業態のうち、縮小した業態が1業態(前月5業態)に減少、拡大した業態が10業態(前月8業態)と増加し、多くの業態で拡大した。縮小した1業態は、家具。拡大した10業態は、自動車・同部品、建設資材、食品・飲料、薬局、ガソリンスタンド、衣料品、スポーツ用品・本・趣味用品、その他小売、無店舗小売、飲食店。家電、一般小売は横ばいだった。
  • 小売売上統計の他の分類でも、足元での労働市場の軟化傾向や消費者マインドの悪化傾向にもかかわらず、実質所得や資産の増加、セールの前倒しなど企業の販促等を背景に加速した。自動車を除く小売・飲食サービス売上高は、前月比+0.5%(前月同+0.2%)と加速し、市場予想中央値同+0.4%を上回った(9、10月合計0.2%下方修正)。自動車・ガソリンを除く小売・飲食サービス売上高は、同+0.4%(前月同+0.4%)と同率の伸びを維持し、市場予想中央値同+0.3%を上回った(9、10月合計0.2%下方修正)。
  • 一方、GDPの算出に使用されるコントロール・グループ(自動車・ガソリン・建材・飲食店を除く小売・飲食サービス売上高)は、前月比+0.4%(前月同+0.6%)と市場予想中央値と一致したが、9、10月に合計0.3%下方修正されており、7-9月期の個人消費が若干下方修正される見込み。 また、小売売上高の基調を判断するうえで重要なコア小売売上高(自動車・ガソリン・建材を除く小売・飲食サービス売上高)は、同+0.4%(同+0.5%)と小幅鈍化した。9、10月に合計0.2%下方修正された。3ヵ月移動平均・3ヵ月前対比年率で+3.8%(前月+5.3%)と鈍化しており、小売売上の増加基調は勢いを若干弱めた。10、11月平均で、前期比年率+3.4%と7-9月期の前期比年率+6.0%から減速している。10-12月期の小売売上は、実質給与所得や資産の増加、企業の販促等によって支えられたが、関税政策や移民の取り締まり強化等のトランプ政権の政策によって消費者の不安感が高まるなか、EV支援策の終了、政府機関の一部閉鎖の影響を受け、鈍化したと判断される。
  • 10-12月期の実質個人消費は、実質給与所得や資産の増加傾向、企業の販促等によって支えられるものの、政府機関の一部閉鎖によるサービス消費の鈍化、価格上昇、節約志向の強まりを背景に、前期比年率+2.5%(7-9月期同+3.5%)と減速したと予想される。
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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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