米国 労働市場の軟化継続を示す8月CB消費者信頼感

~全体として、個人消費の緩やかな拡大を示唆~

桂畑 誠治

要旨
  • 25年8月のCB消費者信頼感指数は、97.4 (前月98.7:改定前97.2)と市場予想中央値の96.5を上回ったものの、前月比▲1.3ポイント低下した。指数の水準は低く、個人消費の緩やかな拡大を示唆している。現状指数が131.2(前月132.8:改定前131.5)と前月比▲1.6ポイント低下し、期待指数が74.8(前月76.0:改定前74.4)と同▲1.2ポイント低下した。
  • 8月は、主要な経済指標が景気の底堅さを示したこともあり、現在の景気に対する楽観的な見方が強まった。しかし、現状の雇用に対する楽観的な見方が弱まっており、労働市場の軟化が続いていることが示された。高い不確実性のもと企業が採用などに慎重な姿勢を継続した。先行きに関して、7月4日に減税を含むOBBBA「One Big Beautiful Bill Act(1つの大きくて美しい法)」が成立したこと、株式市場が良好さを保っていることで、先行きの景気に対する悲観的な見方が弱まった。一方、先行きの雇用に対して悲観的な見方を強めており、消費者が労働市場の悪化への警戒を強めていることが示された。
  • 現状指数の構成項目では、「景気」がプラス幅を拡大したものの、「雇用」がプラス幅を縮小した。現在の景気に対する判断(「良い」-「悪い」)が+7.8(前月+6.9:改定前+5.8)とプラス幅を拡大し、現在の景気に対する楽観的な見方を強めた。一方、現在の雇用機会に対する判断(「充分」-「困難」)は+9.7(前月+11.0:改定前+11.3)とプラス幅を縮小し、現在の労働市場に対する楽観的な見方が弱まった。
  • 期待指数の構成項目では、「景気」がマイナス幅を縮小したが、「収入」がプラス幅を縮小し、「雇用」がマイナス幅を拡大した。
  • インフレに関しては、8月7日のトランプ相互関税の引き上げに関連する報道の増加もあり、1年先のインフレ見通しが6.2%(前月5.7%)と上昇した。水準は依然高く、インフレへの懸念は強い。
  • 年内のCB消費者信頼感調査では、景気減速や労働市場の軟化が続くもと、現状指数は小幅低下すると見込まれる。一方、先行きは、インフレへの懸念が残存するなか、金利の低下期待の高まりや、景気悪化懸念の弱まりによって、期待指数の若干の上昇が見込まれる。この結果、CB消費者信頼感指数は、概ね横ばい圏で推移するとみられ、個人消費の下支え要因になると予想される。
こちらのレポートについては、PDF形式によるご提供となっております。
右上にある「PDF閲覧のアイコン」をクリックしてご覧下さい。

本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

執筆者の最近のレポート

関連テーマのレポート

関連テーマ