株高不況 株高不況

日本株 半導体サイクルに底打ちの兆し(25年6月鉱工業生産)

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均株価は先行き12ヶ月42,000円程度で推移するだろう。
  • USD/JPYは先行き12ヶ月150円程度で推移するだろう。
  • 日銀は利上げを続け、2026年前半に政策金利は1.0%に到達しよう。
  • FEDはFF金利を25年末までに4.0%まで引き下げ、その後は様子見に転じるだろう。
目次

金融市場

  • 前営業日の米国市場は、S&P500が▲0.4%、NASDAQが▲0.0%で引け。VIXは16.7へと上昇。

  • 米金利カーブはベア・フラット化。予想インフレ率(10年BEI)は2.393%(▲2.2bp)へと低下。
    実質金利は1.979%(+2.5bp)へと上昇。長短金利差(2年10年)は+41.5bpへとプラス幅縮小。

  • 為替(G10通貨)はJPYが最弱。USD/JPYは150後半へと上昇。コモディティはWTI原油が69.3㌦(▲0.7㌦)へと低下。銅は9611.0㌦(▲87.5㌦)へと低下。金は3293.2㌦(▲2.6㌦)へと低下。

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注目点

  • 7月31日に経済産業省が公表した日本の2025年6月鉱工業生産は前月比+1.7%と2ヶ月連続プラスとなり、減産を見込んでいた市場予想(同▲0.8%)に反して増産。経産省経済解析室の予測値(同▲1.9%)に対しても上振れた。増産となったのは輸送機械工業(除.自動車工業)、電子部品・デバイス工業、汎用・業務用機械工業など8業種。品目別では航空機系部品、半導体が全体を押し上げた。減産となったのは化学工業(除く無機・有機化学工業)、プラスチック製品工業など7業種であった。

  • 7月初旬に実施された生産予測調査に基づけば、製造工業の生産計画は7月が前月比+1.8%、8月も同+0.8%と2ヶ月連続の増産を見込む。経産省経済解析室が生産予測指数の上振れバイアスを補正した7月の予測値は同▲1.0%の減産見込みとなっているが、7月下旬以降、通商政策の不透明感は後退しており、慎重な計画が見直される可能性もある。

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  • 鉱工業生産全体の方向感を決める自動車工業の生産は前月比+0.1%と僅かながら2ヶ月連続の増産。4月にトランプ関税(対自動車)が発動されて以降、日系メーカーは輸出価格の引き下げによって現地の販売価格を据え置くことで輸出数量の減少回避に努めており、米国向け需要に大きな変化はないと推察される。もっとも、輸送機械工業の生産計画は7月に同▲5.5%の減産となった後、8月も同▲0.8%と減産が見込まれている。自動車関税が25%から15%に引き下げられたことが当面の生産計画にどう影響するかは判然としないが、やや長い目で見た場合、米国の新車市場にかかる下押し圧力は和らいだと想定される。新車販売に目を向けると、米国は6月に年換算1534万台と低調に推移している。駆け込み需要の反動(含む在庫切れ)によるところが大きく、基調的な需要低下によるものではないと推察されるが、ローン金利の高止まり等を踏まえると、早期の回復には疑問符が付く。他方、国内では認証問題に起因する供給制約が緩和し、新車販売台数が持ち直し傾向を強めている。筆者が試算した季節調整済み年換算値では480万台程度まで水準を切り上げている。

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  • 自動車と並ぶ重要産業である半導体関連については、電子部品・デバイス工業が前月比+2.9%と2ヶ月ぶりの増産となったものの、3ヶ月平均値でみれば同▲2.7%と弱さが残存している(※5月の生産は速報段階で前月比▲3.0%だったものが確報で同▲14.8%へと大幅に修正された)。大幅な変動を主導したのは集積回路(IC)であり、5月に同▲30.4%となった後、6月は同+11.9となった。なお、2024年12月に稼働したと伝わっているTSMC熊本工場の生産分が反映されているのか否かを含め経済産業省からの情報発信はない。他方、生産用機械に分類される半導体製造装置は同+7.2%と3ヶ月ぶりの増産となり、関連指標の機械受注統計(機種別集計)における電子計算機等の受注額と整合的な動きとなった。半導体製造装置の引き合いがなお堅調であることがわかる。

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  • 株式市場と関連の深い電子部品・デバイス工業の生産に注目すると、上述のとおり5月の生産は前月比+2.9%となった。生産計画は7月に前月比+12.3%となった後、8月は同+1.1%と強気な数値が見込まれている。次に出荷と在庫に注目すると、6月は在庫が前年比▲4.2%とマイナス幅拡大となるなか、出荷が同+0.8%がプラス圏に浮上したため、出荷・在庫バランス(両者の前年比差分から算出)は+5.0ptへとプラス幅がやや拡大し、3ヶ月平均では+6.6ptとなった。基調反転の兆候が観察された。

  • ここで長期的に電子部品・デバイス工業の出荷・在庫バランスと、日経平均株価が連動性を有してきたことを再確認したい。株価指数において半導体を直接手掛ける企業の存在感は必ずしも大きくはないが、半導体製造装置や化学品など「広義半導体」で見ればその存在感は大きく、結果的に日本株全体のうねりを作り出す構図があると筆者は理解している。

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  • 先行きの出荷・在庫バランスを見極めるために在庫循環図の位置取りを確認すると、直近12ヶ月は、右下領域(在庫減・出荷増)から左下領域(在庫減・出荷減)へと逆走した後、大きくみれば北上している。過去の経験則に従えば、今後は東方に進路をとった後、徐々に右上領域(在庫増・出荷増)に向けて北上すると予想される。AI向け半導体以外のPC、スマホ、自動車向け需要がどれだけ復調するかが重要になってくる。その点、コロナ期にあたる2020-21年に販売されたPCが徐々に買い替えサイクルに突入することは頭の片隅に入れておく必要があろう。

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藤代 宏一


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