- 要旨
-
- 日経平均株価は先行き12ヶ月42,000円程度で推移するだろう。
- USD/JPYは先行き12ヶ月150円程度で推移するだろう。
- 日銀は利上げを続け、2026年前半に政策金利は1.0%に到達しよう。
- FEDはFF金利を25年末までに4.0%まで引き下げ、その後は様子見に転じるだろう。
金融市場
-
前営業日の米国市場は、S&P500が▲0.1%、NASDAQが+0.0%で引け。VIXは16.8へと低下。
-
米金利はカーブ手前が金利低下。予想インフレ率(10年BEI)は2.363%(+0.1bp)へと上昇。
実質金利は2.022%(+1.9bp)へと上昇。長短金利差(2年10年)は+50.5bpへとプラス幅拡大。 -
為替(G10通貨)はJPYが最弱。USD/JPYは146後半へと上昇。コモディティはWTI原油が68.3㌦(+0.4㌦)へと上昇。銅は9790.5㌦(▲39.0㌦)へと低下。金は3316.9㌦(▲25.9㌦)へと低下。
経済指標
- NY連銀が調査した6月の予想インフレ率は1年先が+3.02%へと0.18%pt低下、3年先が+3.0%と5年先は+2.61%とそれぞれ5月から不変であった。1年先予想インフレ率は米政府による関税引き上げ方針を受けて急上昇した後、対中関税の引き下げ等を受け、その全てを消した。3年先、5年先も均してみれば低下傾向にある。これは債券価格から計測された中長期の予想インフレ率、たとえば5年先5年BEI、10年BEIが安定していることと整合的。これら予想インフレ率の安定は、Fedが抱くインフレ懸念を和らげることを通じて利下げの道を拓く。7月FOMCは、景気が底堅さを維持していることから金利据え置きとなろうが、9月FOMCでは高確率で利下げが予想される。

注目点
- 7月8日に発表された景気ウォッチャー調査(内閣府、調査期間は6月25~30日)は、お米価格が高止まりし、米国の通商政策に対する不透明感が残存する中にもかかわらず、改善の兆しをみせた。現状判断DIは45.0へと0.6pt上昇。2023年5月に付けた54.2から2025年4月の42.6に至るまでの基調的下落を経て、2ヶ月連続で持ち直した。この動きは消費者態度指数(内閣府)の底打ちとも整合的で、消費者心理の最悪期脱出を窺せる。

- それでも現状判断DIは36ヶ月平均値である49.1からの下方乖離が、1標準偏差を超えた領域にある。賃上げが進む一方、お米と野菜価格の高騰によって生活費負担が増加し、家計の生活防衛意識が高まったところに、米国の通商政策の不透明感が加わっており、街角景気はまだ「冬」が続いている。ただし、ここへ来てお米価格が低下基調にあることなどから、街角景気の方向感が良くなっているのは事実であり、現状判断DIは家計動向関連(44.1→44.4)、企業動向関連(44.2→46.1)において改善が確認された。家計動向関連では小売(42.8→44.3)、飲食(39.8→42.5)、サービス(47.6→45.6)といった個人消費動向に強く関連する項目が上向いた。

-
先行き判断DIは45.9へと1.1pt上昇。企業動向関連(45.6→45.5)の改善が足踏みしたのをよそに、家計動向関連(44.4→45.8)と雇用(45.7→47.0)がそれぞれ1ptを超える上昇を示した。日米の通商交渉が長期化していることから企業部門の改善は遅々としているが、3年連続の賃上げが実現する下、労働需要の更なる増加が予想されており、街角景気の見通しは少しずつ上向いている。
-
現状判断の理由に目を向けると、「3か月前と比べると、気温が上がり、特に今年は梅雨らしい梅雨ではなく、夜は気温が高い日も多いため、夜間の売上、来客数が伸びている。物価上昇もあり、前年と比べるとやや下がってはいるものの、3か月前よりは良くなっている」(東京都、コンビニ経営者)といった具合に、天候要因の追い風を受けたとの指摘が複数あった。景気の見極めにあたって、天候要因による押し上げはやや割り引いて評価する必要がある。
-
「単価の動き」に関連する声は、依然として「売上は前年比では7~8%プラスで推移しているが、来客数はほぼ変わっていない。売上増加は商品の値上げによるもので、景気は変わっていない」(東海、コンビニ店長)といった具合に「単価上昇・数量横ばい・金額増加」、すなわち実質値は横ばい、名目値は増加という構成を指摘する声が複数あった。ただ、一方で「最近、マンション価格が高騰しており、なかなか手に入れるのが難しいため、身近なところで住宅地を探し、早めに住宅を建てようという動きが出てきている。そういった意味で非常に前向きの様子が見受けられる」(東京都、設計事務所経営者)といったように、インフレが買い控えではなく、前倒し購入の誘因になっていることを示唆する声もあった。住宅など値上り期待/懸念が強いものに対して、インフレが需要を喚起する方向に作用していることを示唆する。
-
最後に景気ウォッチャー調査と株価の関係に目を向けると、直近2ヶ月の景気ウォッチャーDIの改善は、株価上昇を示唆するものであったと解釈することができる。過去、街角と株式市場に流れる空気が一致してきた経緯を踏まえると、景気ウォッチャーの回答者に含まれる小売店、飲食店の従事者やタクシー運転手等が肌で感じる景況感を軽視すべきではないだろう。

藤代 宏一
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。






