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2025.05.07
米国経済
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米国 トランプ関税でコスト急増を懸念(4月ISM非製造業)
~市場予想に反して改善し非製造業部門の底堅さを示す~
桂畑 誠治
- 要旨
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- 25年4月のISM非製造業景気指数(総合、季節調整値)は、51.6(前月50.8)と市場予想中央値の50.2(筆者予想52.2)への低下に反して、前月比0.8%ポイント上昇した。トランプ2.0のもとで、非製造業部門は緩やかな減速基調を維持していることを示した。トランプ2.0での混乱を招く政策運営を受け企業が慎重になり活動指数が低下したものの、新規受注、雇用、入荷遅延が上昇し、全体を押し上げた。また、拡大した業種数は11業種(前月10業種)に増加した。 発表元によると、関税に関する企業の回答で不確実性や将来不安よりも、実際の価格への影響を懸念していることが指摘されており、企業は関税賦課によるコストの大幅な増加への警戒を強めている。一方、引き続き連邦政府機関の予算削減は事業の足かせ要因だが、全体的な業績は改善⽅向にあると報告されており、民間需要が堅調さを維持していることが示唆された。
- 非製造業総合指数の構成項目では、活動指数が53.7(前月55.9、前月比▲2.2%ポイント)と低下した一方、雇用が49.0(前月46.2、前月比+2.8%ポイント)、新規受注が52.3(前月50.4、前月比+1.9%ポイント)、入荷遅延が51.3(前月50.6、前月比+0.7%ポイント)と上昇した。
- 活動指数は、比較的高い水準を維持しているが低下した。拡大した業種が18業種中10業種(前月12業種)と減少した一方、縮小した業種が4業種(同3業種)に増加した。需要がまだ堅調なものの、関税引き上げに備える動きが弱まり、低下したと考えられる。企業のコメントでは、トランプ2.0の政策を受けて、国内外で企業行動がより慎重になっていると報告された。
- 一方、雇用指数は縮小を示す水準にとどまったが、上昇した。雇用の拡大した業種数が18業種中8業種(同4業種)と増加し、雇用の縮小した業種数が8業種(同10業種)に減少した。企業からは、多くの欠員補充によって緩やかに増加した一方、政府補助金の不確実性により採用を凍結したこと等が報告された。
- また、新規受注は上昇し拡大を示す水準を維持した。拡大した業種が18業種中8業種(前月9業種)に減少し、縮小した業種が5業種(同4業種)と増加した。企業から回答で「米国での調達・製造の拡大を望む企業が増加している」と、アメリカファースト政策の効果が顕在化し始めていることが示された。一方、「すべての新規購入・買収に新たな承認プロセスが必要となったため、事業が大幅に減速している」などトランプ関税による不確実性の高まりが、事業活動の停滞に繋がっていることが指摘された。さらに、入荷遅延は、需要に生産が追い付かない他、商品の在庫切れや代替品の調達等によって上昇したことが指摘された。
- インフレ関係では、仕入価格指数が65.1(前月60.9)と上昇、18業種中17業種(前月14業種)で上昇しており、インフレ圧力の強まりが示された。芸術・娯楽・レクリエーションのみ低下した。ガソリン、ディーゼル燃料、チーズが下落した一方、労働コストの継続的な上昇のほか、鉄鋼製品、アルミニウム製品、銅製品、空調機器、鉄鋼、牛肉、コンピューター・同周辺機器、卵等が上昇した。また、供給不足の分野として、卵、電気部品が挙げられた。
- 4月に拡大した業種数は、18業種中11業種(前月10業種)と増加した。拡大した業種は、強い順に、宿泊・飲食サービス、卸売業、鉱業、不動産・賃貸・リース業、小売業、芸術・娯楽・レクリエーション、医療・社会支援、運輸・倉庫、情報産業、教育サービス、公益と続いた(下線は拡大・縮小が2カ月以上続いたことを示す)。一方、縮小した業種は、農林水産業、専門・科学・技術サービス、金融・保険、企業向けサービス、公的部門、建設業の6業種(前月7業種)に減少した。なお、その他サービスは変わらずとなった。
- 米国経済全体の景気動向を示す「ISM総合景気指数(非製造業景気指数と製造業景気指数の合成)」は、4月に51.3(前月50.6)と上昇、拡大ペースの加速が示された。ただし、四半期では、4月の製造業が48.7と1-3月期の50.1から低下したうえ、非製造業が51.6と1-3月期の52.4から低下した。この結果、ISM総合景気指数は、4月に51.3と1-3月期の52.1から低下しており、4-6月期の米経済が減速傾向を続けていることを示している。
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本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 桂畑 誠治
かつらはた せいじ
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経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済
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