株高不況 株高不況

関税相場の歩き方 米国株の目安

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均株価は先行き12ヶ月43,000円程度で推移するだろう。(修正検討中)

  • USD/JPYは先行き12ヶ月155円程度で推移するだろう。

  • 日銀は半年に一度の利上げを続け、2026年1月までに政策金利は1.0%に到達しよう。

  • FEDはFF金利を25年末までに4.0%まで引き下げ、その後は様子見に転じるだろう。

目次

金融市場

  • 前営業日の米国市場は、S&P500が+0.8%、NASDAQが+0.6%で引け。VIXは30.9へと低下。

  • 米金利はカーブ全体で金利低下。予想インフレ率(10年BEI)は2.238%(+0.4bp)へと上昇。
    実質金利は2.135%(▲11.9bp)へと低下。長短金利差(2年10年)は+52.5bpへとプラス幅拡大。

  • 為替はUSDが中位程度。USD/JPYは14近傍へと低下。コモディティはWTI原油が61.5㌦(+0.0㌦)へと上昇。銅は9187.0㌦(+32.5㌦)へと上昇。金は3204.8㌦(▲17.4㌦)へと低下。

米国イールドカーブ
米国イールドカーブ

米国イールドカーブ(前日差)
米国イールドカーブ(前日差)

米国名目金利・予想インフレ率・実質金利(10年)
米国名目金利・予想インフレ率・実質金利(10年)

米国長短金利差(2年10年)
米国長短金利差(2年10年)

注目点

  • 関税相場が始まって2週間が経過しようとしている。不確実性がかなり高い状況に大きな変化はみられないものの、これまでの経緯を踏まえると、トランプ大統領といえども金融市場には逆らえず、特に米国債の不安定化やドルの不気味な下落には敏感とみられる。ドル安論者として知られているトランプ大統領が志向しているのは、製造業の国際競争力向上に資する範囲でのドル安であり、基軸通貨としての地位を脅かしかねないドル安とは程度が異なる。もちろん、ドルの信任と表裏一体の関係にある米国債の安定も重要。米国債が安全資産としての性格に疑問を投げかけられれば、「米国離れ」が加速しかねない。米長期金利の急上昇と株価の大幅下落が併存した先週の状況は、トランプ政権に自制を迫った。

ドル指数(DXY)・米長期金利
ドル指数(DXY)・米長期金利

  • 4月14日にはトランプ大統領が自動車部品について関税の例外措置に言及。現在のところ5月3日に発動予定の自動車部品の関税についてトランプ大統領は「米国で製造するとなると、少し時間が必要だ」として何らかの猶予が与えられる可能性を示唆。4月3日に発動済みの輸入完成車に対する25%関税に変更はないようだが、今後、日本が交渉を進めるにあたってこうした動きがあったことは朗報と言える。

  • やや話は脱線するが、4月14日に日本の30年金利は2.83%まで水準を切り上げた。日銀の利上げ観測が残存する下、米長期金利の上昇に引っ張られた面が大きそうだが、日本国内の財政拡張観測も効いているだろう。政府内には、トランプ関税による外需の落ち込みを内需拡大によって相殺しようとする動きがあり、国民一人あたり5万円程度の給付金が議論されている他、一部では消費税率の引き下げにも言及されている。国内外に金利上昇要因が走っている形だが、一つの結論として「無リスク利子率」に位置付けられている米国債が不安定化する状況では、日本の長期金利は上昇し易いということが言える。米国債の不安定化は、日本の政策自由度を低下させる懸念がある。

日本30年金利
日本30年金利

  • さて、ここ数日の株価下落(S&P500の直近値:5405)によって米国株のPERは急速に低下し、少なくとも表面的な割高感は薄れた。もちろん、現時点においてトランプ関税による業績圧迫が利益予想に反映されているとは考えにくい。そこで現在277.04(+12.8%)と予想されている先行き12ヶ月EPSが0%成長となり、実績EPSの245.5から不変となることを想定する(EPSの集計はBloomberg)。その場合、現在のPER(19.5倍)を前提にするとS&P500は4800程度まで下落する。もっとも、トランプ政権の政策態度がやや軟化の兆しをみせていること等を踏まえると、EPS成長率が0%というのは保守的な印象を受ける。したがって4800という数値は下限値の目安となる。現実的な着地としては予想EPSが265程度に落ち着き、(Fedの利下げ観測などから長期金利が低下し)PERがこの間の低下の半分程度を戻す想定が妥当ではないか。その場合、S&P500は265(EPS)×20.5(PER)で5400程度になる。今後、トランプ政権の態度が軟化すれば、現在の5400程度という水準が正当性を増してくるのではないか。

S&P500予想PER・実質金利
S&P500予想PER・実質金利

予想ESP
予想ESP

藤代 宏一


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