株高不況 株高不況

日銀は7月まで待機が基本 ただし5月の連休が崩れる可能性も

藤代 宏一

  • 日銀は全エコノミストの予想通り、金融政策の現状維持を決定した。1月の利上げから僅か6週間しか経過しておらず、政策効果を見極めたいとの判断であろう。2月の講演で利上げに前向きな見解を示した田村委員と高田委員もそれぞれ賛成票を投じ、全員一致の決定となった。

  • 春闘の結果は日銀に利上げを促すものであった。連合の第1回回答集計によると賃上げ率(定期昇給+ベア)は5.46%、ベア相当部分は3.84%とそれぞれ2024年から加速した。もっとも、金融市場参加者が「半年に一度程度の利上げ」を想定しつつある中、今回利上げに踏み切ると「毎回の会合で利上げ」というコンセンサスが出来上がってしまい、過度な引き締め観測を生じさせてしまう恐れがあった。トランプ政権下における米国経済の帰趨が不透明なことに加え、関税の引き上げが日本経済に与える直接的な影響が現時点で判然としないことも利上げ見送りの材料になったとみられる。

  • この1ヶ月ほど、トランプ関税が世界的な景気後退を引き起こすとの懸念が一部で意識されたこともあってか、今回、リスク要因の段落に「各国の通商政策」が加わった。これがトランプ関税を意味していることは明らかである。もっとも、現時点で日本経済に大きな下振れリスクをもたらす事態には発展していない。この文言挿入によって利上げの可能性が低下したとは言い難い。

  • 1月の展望レポートでは、お米と生鮮野菜高騰による間接的影響もあって2025年度の物価見通しを0.5%Ptも引き上げて+2.4%としたばかりだが、おコメの平均価格は、農林水産省の集計によると3月3~9日に5キロあたり4077円と前週比+125円と上昇が続き、前年比では+99.3%へと伸びを高めている。1月の金融政策決定会合以降、備蓄米の放出にもかかわらず落ち着く気配がみられない。このまま大きな変化がなければ、5月1日に発表する展望レポートでは、再び物価見通しが上方修正される可能性がある。

  • その場合、物価は「オントラック」とは言い難くなるため、それに合わせて利上げが決定されても不思議ではない。米価の上昇は1年限りで、政府の対策が所期の効果を発揮すれば来年は値下がりも期待できるため、本来は利上げを講じる必要性に乏しい。しかしながら、消費者の予想インフレ率は上昇しており、それは生活防衛意識を高める結果を招いている。利上げによって(適度な)円高を引き起こせるのであれば、輸入物価の低下を通じて、消費者の負担を和らげることができる。7月の参院選に向けて政治サイドからそうした要請(圧力)があるかもしれない。

藤代 宏一


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