インドは中国を超えるのか インドは中国を超えるのか

トルコ中銀は将来的な利下げに含みも、外部環境に縛られる展開続く

~インフレは一段の鈍化が見込まれるも、米トランプ次期政権や中東情勢など不確定要因は山積~

西濵 徹

要旨
  • トルコ中銀は21日の定例会合で政策金利を8会合連続で50%に据え置いた。ここ数年のトルコではインフレが高止まりしてきたが、昨年以降は経済チームが財政、金融政策の両面で引き締め姿勢を堅持する正統的な運営が採られてきた。結果、足下のインフレは鈍化しており、実質金利もプラスに転じるなど引き締め効果が現れている。ただし、通貨リラ相場は中東情勢を巡る不透明感や米ドル高の再燃も重なり最安値を更新する展開が続いている。中銀は今月初めのインフレ報告でインフレ見通しを上方修正するなど、インフレ抑制に手間取っている様子がうかがえる。その上で、先行きも引き締め姿勢を堅持するとしつつ、将来的な利下げの可能性を維持している可能性がある。なお、年明け直後には一段のインフレ鈍化が見込まれるなど利下げ余地が生じる可能性がある一方、米トランプ次期政権の政策動向が米ドル相場を左右する懸念もくすぶるなか、金融政策は引き続き外部環境に縛られる展開が続くことは避けられないと予想される。

トルコ中銀は、21日に開催した定例の金融政策委員会において政策金利(1週間物レポ金利)を8会合連続で50.0%に据え置く決定を行った。ここ数年のトルコでは、エルドアン大統領が主張する「高金利がインフレを招く」という因果が倒錯した理論の下、中銀はインフレが常態化しているにも拘らず低金利政策を迫られる展開が続いてきた。さらに、コロナ禍一巡による経済活動の正常化や商品高の動きに加え、国際金融市場における米ドル高を受けた通貨リラ安に伴う輸入インフレも重なり、インフレが昂進して中銀目標(5%)から大きく乖離する展開が続いてきた。なお、昨年の大統領選と総選挙の後に実施された内閣改造により誕生した経済チームの下では、一転して正統的な政策運営を志向する政策運営が採られており、昨年後半以降に再び加速したインフレは足下で頭打ちに転じている。結果、直近10月のインフレ率は前年同月比+48.58%と14ヶ月ぶりの伸びに鈍化しており、実質金利(政策金利-インフレ率)もプラスに転じるなど、引き締め政策の効果は着実に顕在化していると捉えられる。しかし、足下のインフレの鈍化ペースは想定よりも緩やかなものに留まるなか、今月初めに中銀が四半期ごとに公表するインフレ報告では、先行きのインフレ見通しについて今年末時点は+44%、来年末時点も+21%と前回時点(それぞれ+38%、+14%)から上方修正するなど、インフレ抑制に苦戦していることは間違いない。さらに、中銀や政府は共同歩調を取る形で積極的な引き締めに動いているにも拘らず、足下のリラ相場は米大統領選でのトランプ氏の勝利を受けて米ドル高圧力が強まっていることに加え、中東情勢を巡る不透明感が払しょくできない展開が続いていることも重なり、最安値を更新する展開をみせるなど輸入インフレ圧力が掛かりやすい状況が続いている。こうしたことから、中銀は引き締め姿勢を維持する決定を行うとともに、会合後に公表した声明文では足下の物価動向について「国内需要の鈍化を受けてディスインフレ基調が続いている」としつつ、「インフレ期待と価格設定行動は改善しているが、ディスインフレプロセスへのリスクは依然くすぶっている」との認識を示している。その上で、政策運営を巡って「金融引き締めに向けた断固とした姿勢が内需の減速、リラ相場の上昇、インフレ期待の改善を通じてインフレ基調の改善を促し、ディスインフレプロセスが進む」との従来からの考えを示しつつ、「月次のインフレ基調が大幅、且つ持続的に低下してインフレ期待が予測範囲に収束されるまで維持する」との考えをみせている。また、インフレが大幅、且つ持続的に悪化すると見込まれる場合には「政策手段を効果的に用いる」と9月以降に用いている考えをあらためて示しており、将来的な利下げの可能性を維持している可能性がある。ただし、直近のインフレ見通しの実現には当面の物価がほぼ横這いで推移する必要があるなか、足下では食料品など生活必需品を中心にインフレ圧力が強まるとともに、リラ安による輸入インフレの懸念もくすぶるなか、そのハードルは極めて高いのが実情である。他方、先行きも足下のペースでの緩やかな物価上昇が続けば、インフレ率は年明け以降に一段と鈍化するとともに、利下げ余地が生まれることが見込まれることを勘案すれば、金融政策の転換点を迎える可能性は見込まれる。とはいえ、米国のトランプ次期政権の政策運営を巡る不透明感が米ドル相場を揺さぶることが予想されるなか、金融政策の手足は引き続き外部環境に縛られる展開となることは避けられないであろう。

図表
図表

図表
図表

以 上

西濵 徹


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

西濵 徹

にしはま とおる

経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析

執筆者の最近のレポート

関連テーマのレポート

関連テーマ