デジタル国家ウクライナ デジタル国家ウクライナ

BOEが追加利下げを決定

~今後も段階的な利下げを継続へ~

田中 理

要旨
  • 8月に利下げを開始したBOEは、9月に利下げを見送った後、11月は25bpの追加利下げを決定。消費者物価の下振れなどを受け、連続利下げに切り替えるとの観測も一部で浮上したが、声明文では今後も段階的な緩和を続けることを示唆した。同時に発表された金融政策レポートでは、10月末に発表された大幅な拡張予算を反映し、景気や物価見通しを上方修正。次回12月の利下げは見送られる可能性が高まった。今後は四半期に1回の金融政策レポートの発表月(2、5、8、11月)に合わせて、25bp刻みの利下げを続けるのが基本シナリオとなろう。

8月に利下げを開始した英イングランド銀行(BOE)は、9月の追加利下げを見送った後、6日に終わった11月の政策委員会(MPC)で、8対1の賛成多数で25bpの追加利下げを決定した。8月の利下げ開始時に据え置きを主張した3委員のうち、グリーン委員とピル委員が利下げ支持に回った一方、マン委員が賃金と価格決定の構造要因が物価の高止まりをもたらす可能性があると指摘し、主流派と異なる据え置きを主張した。ベイリー総裁を含む主流派は、物価・賃金・労働需給などの幅広い指標から判断して、ディスインフレの進展が続いており、今回の会合で政策金利を引き下げることが適切であると判断した。

今後の金融政策スタンスの判断については、「今後明らかとなる証拠に基づき、引き締め的な政策を段階的に緩和するアプローチが望ましい」、「インフレ率が中期的に2%の目標まで持続的に復帰するリスクがさらに解消するまで、十分な期間、引き締め的な政策を継続する必要がある」、「委員会はインフレが持続するリスクを注意深く監視し続け、各会合で金融政策の適切な引き締め度合いを決定する」との従来の方針を維持した。9月の消費者物価の下振れを受け、金融市場参加者の一部で、四半期に1回程度の緩やかな利下げペースから、連続利下げに切り替えるとの観測も浮上していたが、BOEは今後も段階的な緩和を続けることを示唆した。

10月30日に発表された労働党政権誕生後で初となる秋季予算は、大規模な歳出拡大と増税を組み合わせたもので、BOEは8月の金融政策レポート(旧物価レポート)の見通しと比べて、ピーク時の実質GDPの水準を約0.75%、インフレ率を0.5%ポイント弱、押し上げると試算している。また、金融政策レポートの予測の前提となる政策金利の市場想定は、8月時点:四半期に25bp程度のペースで利下げを繰り返し、2027年末に3.5%程度に到達するシナリオから、11月時点:向こう数四半期の利下げペースが30bp超に加速し、2025年末に3.75%程度に到達した後は据え置かれるシナリオに変更されている(図表1)。こうした拡張的な予算と当面の利下げペースの加速を反映した11月の金融政策レポートの消費者物価の見通しは、2025年7~9月期に前年比+2.8%に加速した後、緩やかにピークアウトし、2027年4~6月期に同2%を割り込むが、2%割れの時期が8月時点の2026年4~6月期から後ずれする(図表2)。

物価見通しの上振れと段階的な利下げを示唆する政策指針の文言に鑑みれば、更なる景気や物価の下振れが確認されない限り、次回12月のMPCでの連続利下げは見送られる可能性が高まった。今後は金融政策レポートの発表月である2・5・8・11月のMPCでの25bp刻みの利下げが基本シナリオとなろう。

図表
図表

図表
図表

以上

田中 理


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

田中 理

たなか おさむ

経済調査部 首席エコノミスト(グローバルヘッド)
担当: 海外総括・欧州経済

執筆者の最近のレポート

関連テーマのレポート

関連テーマ