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2024.10.18
世界経済
米中関係
世界経済全般
世界経済の分断はどこまで進んだのか?
~「ヒト」・「モノ」・「カネ」の観点でみる現在地~
星野 卓也 、 阿原 健一郎 、 前田 和馬
- 要旨
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- 世界経済における「分断」がテーマになって久しい。米中対立や各地での紛争などの中で、世界経済の分断はどのように進んできたのか。経済の構成要素である「ヒト」(移民)「モノ」(貿易)「カネ」(投資)の3つの観点でデータ分析によって「現在地」を明らかにする。
- 各種データを確認すると、「ヒト」「モノ」「カネ」いずれにおいても近年の米中分断の影響は色濃い。一方で、世界の永住型移民の明確な回復傾向、米中間の貿易取引、直接投資の減少に対して、グローバルサウス諸国が代替役・補完役として存在感を高めるなど、分断を緩和する動きも生じている。
- 「現在地」における分断の特徴として、サプライチェーンの多角化や冗長化、一部の国や地域での移民受け入れ路線の見直し、特定国・特定産業を念頭に置いた直接投資規制などが挙げられる。今後の焦点は、これらの経済分断が次のステージに移行するか否かである。本格的な自由主義/非自由主義分断、経済のブロック化へ発展すれば経済への影響は遥かに深刻になる。
はじめに
近年、「世界経済の分断」がマクロ経済を考えるうえでも重要なテーマとなっている。米中対立の激化、ロシア・ウクライナ戦争、イスラエル・中東問題をはじめ、様々な地政学リスクが各地で顕在化し、金融市場のみならず世界のサプライチェーンなどにも影響を及ぼすようになった。政治面でも反移民を掲げる右派政党が台頭するようになっている。アメリカでは米国第一主義を掲げるトランプ氏が24年大統領選での再選をめざしているほか、フランス、イタリア、ドイツなどの欧州諸国でも右派政党の躍進が目立つようになっている。
世界情勢の大きな変化の中で、日々のニュースフローにはこうした「世界経済の分断」を意識させる内容が目立つ。しかし、個別の国ごと、産業ごと等の情報は豊富であるが、多くは断片的なものであり世界経済全体を俯瞰した分析は十分に多くはないと思われる。本稿の目的は、世界経済全体をマクロでみたときに、世界経済の分断がどのように進んでいるのか、についてデータを用いた現状分析によって明らかにし、「世界経済分断」の解像度を高めることにある。分析に当たっては、経済の構成要素である「ヒト」「モノ」「カネ」の3つの切り口から現状分析を行う。具体的に、ヒトは「国際移民」、モノは「貿易取引」、カネは「対外直接投資(FDI)」を分析対象とする。
世界経済分断がマクロ経済にもたらす影響
まず、「世界経済の分断」がマクロ経済にどういった影響を及ぼすのかについて、定性的な整理を行う。理論的には、経済圏の分断が深まる場合、生産体制の非効率化を通じて経済成長にマイナスの圧力を及ぼす。また、それに伴う世界経済の供給能力の低下は、需給の逼迫を通じてインフレ率の上昇をもたらすと考えられる。
また、分断は生産資源の余剰国と不足国との間での融通を妨げる。移民規制を敷けば、人手余剰国から人手不足国への移動が生じなくなり、それぞれの国における人手余剰/不足が一層深まることになる。これは、労働需給の緩和/逼迫を通じて、賃金下落/上昇圧力をもたらす。結果として、インフレ率の二極化を生むことになると考えられる。足もとで中国のデフレ懸念が高まっていることもまた、米中分断によって中国の供給過剰に拍車がかかっていることが底流にあると考えられる。

実際に、東西冷戦期のインフレ率にも①全体平均の上昇、②高インフレ国、低インフレ国の二極化の傾向がみられた。資料2は1980年以降の世界のインフレ率と各年・各国のインフレ率について上下10%を除去したうえで最大・最小値をバンドで示したものである。1989年の東西冷戦終結後のグローバル化の過程で世界インフレ率は切り下がっており、伸び率を低下させていることがわかる。また、冷戦終結直後を除けば、1990年代以降、最大値と最小値の幅が収縮してきたことがわかる。自由貿易、グローバル化の過程でヒト・モノ・カネの世界の需給マッチングがスムーズに進むようになり、インフレ率の安定化につながってきたとの解釈が可能だろう。世界経済の分断が深刻化するようであれば、余剰国/不足国の調整が進まなくなり、真逆のメカニズムが働くと考えられる。

ヒトの分断:国際移民の動向
世界的な極右政党の台頭の背景として、各国における「反移民感情」の高まりがよく指摘される。これは裏返せば、各国社会における軋轢が目立つほど移民の存在感が増しているといえる。実際、OECD諸国における移民受入数は、2020年に世界的な新型コロナウィルス感染拡大を背景に大きく減少したものの、直近2022年の新規移民(永住型)は614万人と長期的な拡大トレンドに回帰した。また、農業等の季節労働者やワーキングホリデーを対象とした一時滞在労働者も明確に回復するなど、ヒトの移動は総じてコロナからの正常化の動きを示している。この間、移民による母国への送金拡大を背景に、個人による国際送金額は2000年以降の上昇傾向を保っている。
移民の中期的な拡大トレンドの背景にあるのは、地域間における労働需給の不均衡だ。先進国においては飲食・宿泊業や建設業などの労働者が構造的に不足する一方、発展途上国における賃金水準は相対的に低いため、これらの国の人々は先進国で移民労働者として働く方が経済的恩恵を受けられる。新型コロナウィルス感染拡大による国際移動への制限、及び接客業の労働需要の急減は一時的に移民を大きく減少させたものの、パンデミック収束後においては再び労働需給の不均衡がヒトの移動を活発化させていると考えられる。

もちろん、こうした移民の拡大トレンドは先進国間で多少の差異がある。例えば、移民大国である米国ではトランプ前政権がイスラム圏諸国を中心に移民ビザを制限したため、2016年をピークに合法移民の流入は緩やかに減少、その後のバイデン政権下においてもその回復は緩慢に留まっている(不法移民の流入に関しては後述)。一方、EUでは中東や北アフリカからの難民受け入れを背景に、コロナ以前は移民流入の拡大が続いていた。
また、米中対立を筆頭に、一部の国・地域間の移民動向は政治対立の影響を受けている。5年毎の出身地域別の移民純増数をみると、米国では2015→20年にかけてのアジア移民が-2万人(2010→15年:+247万人)と減少に転じる一方、豪州ではアジア移民が+63万人(+62万人)と増加ペースを維持している。実際、地域別の中国人移民数をみると、米国滞在者は2015→20年で-49万人(+75万人)と米中対立を背景に流出超過へと転じた一方、オセアニア地域では+20万人(+15万人)と増加幅を拡大するなど、米中対立の激化が中国人の移住先に影響している様子が見て取れる。

移民の流入トレンドは、地理的要因、周辺国との経済的格差、植民地等の歴史的な繋がりなど、多様な要因に依存している。このため、経済的な分断の加速が必ずしも移民減少に直結するわけではなく、移民政策が政府の意図するような効果を発揮するのかは不透明である。前述したように、欧州における2010年代の移民拡大は、アラブの春を契機とした北アフリカ・中東諸国の情勢不安が大きく影響している。他方、米国のバイデン政権は長らくメキシコ国境沿いからの不法移民流入対策に苦慮している。こうした不法移民問題の構造的な要因は「堅調さを保つ米国経済と、経済的苦境にあるベネズエラ等の中南米諸国」という両地域の経済格差であり、米国による厳しい入国管理のみで移民を大幅に抑制できるとは限らない。すなわち、移民の将来的なトレンドを占ううえでは、反移民感情の高まりを背景とした受入国の政策要因のみならず、移民の出身国(主に開発途上国)における経済状況や社会情勢を考慮する必要がある。
現時点において、移民の根本的な背景にある労働需給の不均衡は解消の見通しが立っていない。先進主要国では今後も高齢化の進展が見込まれ、労働力人口の不足や社会保障の持続性を保つために、移民流入による人口成長の必然性は強い。世界的な分断の流れの中において、主要国における緩和的な移民政策からの転換が目立つ一方、ここからより強硬な移民抑制策を推し進める場合、人手不足などの経済的な課題がより鮮明となるだろう。他方、移民を供給する国・地域を巡っては、世界経済がインドなどに牽引され堅調な拡大を続けると予想される一方、各国の成長は必ずしも均質ではなく、経済水準が相対的に低い国の人々が先進国に移住する意向は引き続き強いとみられる。
とはいえ、移民受入による社会的な摩擦が強まり続ける場合、より強硬な移民抑制策が採用されるリスクはある。例えば、欧州では移民の失業率が社会統合が進まないために高止まりしており、移民労働力の必要性よりも、移民による治安悪化や財政負担への懸念が強まりやすい可能性がある。移民に不寛容な社会風土、及びより強硬な移民抑制策の相乗作用は、開発途上国から先進国に移住するメリットを大きく低下させるかもしれない。また、一部の反移民感情の高まりは、正確な情報や適切なデータ分析よりも、移民への先入観や経済的な格差への不満などに基づいている可能性がある。このため、複数の国が反移民政策を採用することを契機に、移民抑制に向けた世界的な政策トレンドが形成されるリスクがある。

モノの分断:貿易の動向
次にモノ、貿易の分断の現況をいくつかのデータをみながら確認していきたい。資料6は2000年以降の世界の輸入量(貿易量)の推移である。この間の貿易動向は大きく3つのフェーズに分けることができよう。第一に、中国のWTO加盟に端を発するグローバル化局面、第二に世界金融危機(GFC)後のスロートレード局面だ。GFC後に貿易量の伸びは緩やかなものとなっているが、このスロートレード化の背景として、①バランスシート悪化による世界経済の需要鈍化、②中国での内製化の進展などの需要構造変化が要因として挙げられる。第三に2017年のトランプ氏の大統領就任後の米中対立期である。当時のトランプ大統領は国内産業の保護や雇用拡大を優先し、中国を中心に外国製品に対する関税を引き上げる「米国第一主義」の施策を取った。現在のバイデン大統領はそうしたスタンスをやや緩めたものの、対中関税などの枠組みは継続している。
この間の貿易量の動きはコロナ禍もあって趨勢を見定めづらいが、コロナからの回復の後にはサプライチェーンの修復が進む中で、概ねスロートレード期のトレンドに回帰しているように映る。また、資料7はアメリカの対中貿易赤字を示している。2023年の対中貿易赤字は14年ぶりの小ささとなっており、米中間貿易の縮小がみられている。米中対立の影響は貿易にも着実に表れるようになっている。

経済大国である米中の貿易が鈍る一方で、存在感を高めているのがグローバルサウス諸国だ。資料7では、IMFの「Direction of Trade Statistics」を用い、主要国・地域に関して輸出元・輸出先ごとの貿易動向(各年の世界貿易額に占める各国・地域間貿易の割合)を確認した。先にも見たように中国からアメリカの輸出は低下傾向にある。一方で、グローバルサウスからアメリカ、グローバルサウスから中国、中国からグローバルサウス、が世界貿易の中でもシェアを高めていることがわかる(特に東南アジアのシェア拡大が牽引)。

こうした動きは米中対立の中で、成長余地の大きいグローバルサウス諸国が輸出国・輸入国としての存在感を高めていることを示唆する。ただし、グローバルサウスの貿易シェア上昇はいわゆる「迂回貿易」によってもたらされている側面もあろう。例えば、中国→米国の貿易が縮小する代わりに、関税回避などのために中国→メキシコ→アメリカなどの流れでモノが動いている。実際にアメリカの輸入先は2023年にメキシコが中国を超えてトップになった。こうした動きは関税措置などによるサプライチェーンの冗長化、非効率化が起きていることを示す一方で、米中間の貿易取引が保護主義政策によって完全に分断されているわけではないということも意味する。いずれにせよ、米中対立の影響が貿易取引に顕れる傍らで、グローバルサウス国が需要・供給先国として、ないしは迂回貿易の拠点として存在感を高め、米中分断の悪影響を緩和しているという絵姿になるのだろう。
次に、近年のグローバルサプライチェーンの変化、特に自由主義国、非自由主義国での経済分断が進んでいるのか、を推し量るため、ADBの公表している国際産業連関表の値をベースに、国の自由度別・製造業サプライチェーンの海外依存度を分析した(資料9、直近は2022年)。ここでは、Freedom Houseが公表している国の自由度の分類に基づき、自由度の高い(Free)、中程度(Partly Free)、低い(Not Free)グループに属する国が、何れのグループのサプライチェーンとの関係を深めているかを確認した。結果をみると、顕著な傾向としてみられるのは、近年「Free」に属する国がほかの「Free」に属する国に対する依存度を高めている点である。自由主義国同士のサプライチェーンを強化する動きだ。その一方で、「Free」に属する国の「Not Free」に属する国に対する依存度も低くなっているわけではなく、方向としては上昇している。これは、「Partly Free」国の「Not Free」国に対する依存度を見ても同様だ。

ここから示唆されるのは、足元のサプライチェーンの再編は、自由主義国と非自由主義国の「分断」というよりは、自由主義国が非自由主義国との関係を従来通り高めつつも、自由主義国同士の関係を深めようとする「多角化」である。この状況は、企業が地政学リスクを考慮しつつも、依然として効率性や経済性を重視してサプライチェーンを構築していることを示している。
カネ:資本フローの動向
最後に、「カネ」の分断の現況をデータから確認していきたい。まず、世界の資本フローの動向を確認すると、グローバル金融危機(GFC)以降、世界の資本フローは縮小しており、足もとでは直接投資を中心に減少が見られる(資料10)。この傾向は、GFC後のリスク回避傾向や規制強化、さらには近年の地政学的緊張の高まりを反映していると考えられる。国・地域別でみると、足もとでは米国への資本流入が世界全体の約48%と大半を占めている。米国への資本集中は、ドルの基軸通貨としての地位や、米国経済の相対的な強さを示唆していると言える。

資本フローの種類ごとに動向を仔細に確認すると、証券投資は、GFC以前からその多くが米国に流入している(資料11)。一部の新興国では金融市場安定化のために資本流入規制を導入しているが、証券投資は直接投資と比べて資本規制が緩く、足もとで分断化の兆候は見られない。証券投資は、金融市場のグローバル化が依然として進行しており、投資家は地政学リスクを考慮しつつも、収益機会を求めて国境を越えた投資を継続しているということだろう。一方、直接投資は、米中の貿易摩擦などの地政学的な緊張の高まりや、それを受けた保護主義的な政策を背景に2016年から減少傾向にある。足もとでは、経済成長が停滞していたユーロ圏を中心に減少が目立つ。もっとも、証券投資のように米国に資本流入が集中しているわけではなく、アジア諸国など、投資先には多様性が見られる(資料12)。

ここで、米国の金融市場の立ち位置を確認してみる。Lane et al.(2007)で提示された金融市場のグローバル化の指標(GDPに対する対外総資産と対外総負債の合計値)を計算してみると(注1)、米国は、証券投資は世界平均を上回るペースでグローバル化が進む一方、直接投資は世界平均を下回って推移している(資料13)。このことから、直接投資は「米国が唯一の市場」というわけでは決してなく、投資先として選択肢に自由度があり、その分、規制の動向次第では、証券投資よりも分断化が進む余地があると言えそうである。

実際に、経済安全保障を背景に、直接投資に関する規制は厳格化される傾向にある。例えば、米国ではCFIUSの権限が強化されているほか、欧州では2024年にFDIスクリーニング規制が改正され、従来は加盟国ごとに任意で導入されていたFDIに係る審査制度が義務化されている。インドでは、従来バングラディシュとパキスタンからの投資は政府認可が必要とされていたが、2020年の法改正で政府認可が必要となる対象国を「インドと陸上の国境で隣接する国」に拡大している(この「国境で隣接する国」には中国も含まれている)。特に、特定の国(中国・ロシア)や特定の産業(半導体、情報通信、専門的・科学的・技術的サービス、エネルギー等)を対象とする規制が強化される傾向にある。これらの規制は、国家安全保障や技術流出の防止を目的としているが、行き過ぎた規制の強化は、同時にグローバルな投資環境に影響を与え、経済の分断化につながっていく可能性がある。
それでは、直接投資の分断化は足もとで進んでいるのだろうか?各国・地域の投資先の推移(資料14)を見ると、米欧間の投資割合は増加ないし高い水準を維持している一方、米国から中国への投資割合は減少傾向にあり、グローバルサウスへの投資割合が増加傾向にあることがわかる。また、中国から米国への投資割合は明確に減少している。このことから、「分断化が進み直接投資がブロック化している」というよりは、「米国の資本の行き先が中国からグローバルサウスの国々へシフトしている」と整理するにとどめるのが妥当であり、分断化の進行は現状では限定的と言える。もっとも、データの制約から、ここで確認できたのはあくまで直接投資全体の動向であり、各産業レベルで見た場合、投資規制の対象になりやすい産業では早期に投資の分断化・ブロック化が進む可能性があること等には留意すべきだろう。

まとめ:世界経済分断の現在地
以上、「ヒト」「モノ」「カネ」の3つの切り口で、世界経済分断の現状について、データをもとにしながら分析した。分析結果のポイントをまとめていくと、第一に、世界の二大経済大国である米中間においては、ヒト・モノ・カネの流れに明確に変化が生じている点だ。トランプ前政権から実施され、バイデン氏に引き継がれた保護主義政策のもとで、米中間の移民や貿易、投資が縮小を続けている。第二にそれを代替する動きとして、貿易や投資先としてのグローバルサウスの存在感が増していることや、中国から豪州や欧州への移民増加などが生じている。米中以外の第三国が存在感を示す動きは関税回避のための迂回貿易など、サプライチェーンの非効率化につながっている一方で、完全な分断を回避する緩衝材の役割も果たしている。その点で、足元の世界経済の分断は米中分断を筆頭にしつつ、その他の第三国が米中の仲介役、ないしは代替役を担うような姿になっている。
今後の焦点は、これらの経済分断が次のステージに移行するか否かであろう。足元の特徴は、米中分断の一方でその他の国がその影響を緩和している点であり、本格的な自由主義/非自由主義分断、経済のブロック化が進むような「深刻な分断」とはまだ距離がある。また、各国の保護主義的な動きも、自国への影響が甚大とならないような「制御」された範囲であることが多い。
しかし、各国のナショナリズムが経済的な影響を度外視するほど強まる場合、世界経済への甚大な影響が現れるリスクがある。例えば、反移民の潮流が一部の国のみでなく世界各国に広がる、サプライチェーンや投資の自由主義国/非自由主義国での分断に発展する、といった事態につながれば、生産資源配分の調整が一層困難になり、世界の経済成長率やインフレ率への影響もより大きくなろう。ここ数年で生じている脱グローバル化の流れも、第三国による影響緩和が働いている点ではまだ一歩目でしかない。この点で、直近に控えるアメリカ大統領選は重要な意味を持とう。各国への関税強化を掲げるトランプ氏が大統領に就任し、保護主義強化の潮流が広がるようであれば、世界経済分断のステージは一段上がる可能性がある。

(注1)Lane, P. and G-M. Milesi-Ferretti [2007], “The External Wealth of Nations Mark II: Revised and Extended Estimates of Foreign Assets and Liabilities, 1970–2004,” Journal of International Economics 73, 223–250
星野 卓也 、 阿原 健一郎 、 前田 和馬
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘等を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針等と常に整合的であるとは限りません。