株高不況 株高不況

日本株が下げ過ぎの可能性を示唆した景気ウォッチャー

教科書の中だけの話だった「インフレに強い株式」が現実に

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均株価は先行き12ヶ月42,000程度で推移するだろう。
  • USD/JPYは先行き12ヶ月150程度で推移するだろう。
  • 日銀は12月に政策金利を0.50%に引き上げ、25年末までに1.0%への到達を見込む。
  • FEDは9月に利下げを開始、FF金利は25年末に4.00%(幅上限)への低下を見込む。
目次

金融市場

  • 前日の米国株は上昇。S&P500は+1.2%、NASDAQは+1.2%で引け。VIXは19.5へと低下。

  • 米金利はブル・スティープ化。予想インフレ率(10年BEI)は2.044%(+0.9bp)へと上昇。

実質金利は1.656%(▲1.6bp)へと低下。長短金利差(2年10年)は+3.0bpへとプラス幅縮小。

  • 為替(G10通貨)はUSDが堅調。USD/JPYは143前半へと上昇。コモディティはWTI原油が68.7㌦(+1.0㌦)へと上昇。銅は9097.0㌦(+101.0㌦)へと上昇。金は2509.3㌦(+7.8㌦)へと上昇。

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注目点

  • 8月景気ウォッチャー調査は街角景気の改善を示唆。現状判断DIは49.0へと1.5pt上昇、先行き判断DIは50.3となり、共に3月以来の水準を回復した。コメントからも推察できるよう、賃上げが進展し、夏の賞与も堅調な増加を示す下で、6月開始の定額減税の効果が発現した他、電気・ガス代の補助再開によって消費者心理が改善した様子が窺える。8月上旬の株価大幅下落は、その後の戻りが早かったこともあってか影響は限定的であった。調査期間は25日から月末であり、この間の日経平均株価(26~30日)は3.8万円を超えて推移していた。7月25~31日の平均とほとんど変わらない水準であり、新NISAを機に株式投資を始めた人も一定程度安堵していたとみられる。一方で酷暑により外出を控える動きは個人消費の足かせになったとみられる。

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  • 現状判断DIの内訳は家計関連が49.0へと1.8pt上昇。その内訳は小売(46.2→47.7)、飲食(44.5→50.9)、サービス(50.1→51.6)といった消費関連が揃って回復。南海トラフ地震の臨時速報に加え、台風7号の襲来があったものの、好調なインバウンド消費に加え、国内居住者の名目賃金上昇が消費者の財布の紐を緩めた可能性が指摘できる。住宅(45.5→47.3)も堅調だった。日銀の利上げに伴う変動型住宅ローン金利の上昇(見込み)は現時点で限定的と言える。これらの動きは類似指標である消費者態度指数の下げ止まりとも整合的で、消費活動が夏場に息を吹き返したことを示唆する。企業関連は48.4へと0.3pt低下。非製造業(50.1→50.2)は持ち堪えたものの、製造業(46.8→46.1)は投入価格の上昇が重荷となり低下した。雇用関連は49.7へと2.6pt上昇した。

  • 景気ウォッチャー調査は速報性に優れていながら予測精度が高いことが知られており、GDPとの関係が認められている。景気ウォッチャー調査の改善は、GDP個人消費が4-6月に前期比+0.9%と5四半期ぶりに増加した後、7-9月期も回復基調を維持している可能性を示唆している。なお、家計の実質消費支出は289兆円と2019年7-9月期水準の298兆円を大幅に下回っているものの、この間のインフレ率加速によって名目消費支出は320兆円へと2019年7-9月期対比で約20兆円拡大しており、結果としてGDP全体では「名実」の乖離が著しくなっている。教科書的に「株式はインフレに強い」とされながらも、インフレが30年近く発生しなかった日本ではGDPの約6割を占める(名目)消費支出が増えず株価は停滞した。しかしながら、ここ数年の株価は名目GDPの拡大を映じており、ある意味で実体経済の裏付けを伴っている。

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  • また景気ウォッチャー調査は株価との関係も認められており、TOPIX(6ヶ月前比)を同じグラフに描くと一定の連動性が確認できる。直近の景気ウォッチャー調査反転を踏まえると、8月上旬や9月上旬の日本株下落は悲観的過ぎた可能性があり、今後、自民党総裁選の結果次第ではあるが、新政権の打ち出す政策が消費者の期待値を高めるものとなれば、街角景気と共に株式市場の空気も好転が期待される。

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藤代 宏一


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