- 要旨
-
-
日経平均株価は先行き12ヶ月42,000程度で推移するだろう。
-
USD/JPYは先行き12ヶ月150程度で推移するだろう。
-
日銀は12月に政策金利を0.50%に引き上げ、25年末までに1.0%への到達を見込む。
-
FEDは9月に利下げを開始、FF金利は25年末に4.00%(幅上限)への低下を見込む。
-
金融市場
-
前日の米国株は下落。S&P500は▲2.1%、NASDAQは▲3.3%で引け。VIXは20.7へと上昇。
-
米金利はカーブ全般で金利低下。予想インフレ率(10年BEI)は2.113%(▲3.9bp)へと低下。
実質金利は1.717%(▲3.4bp)へと低下。長短金利差(2年10年)は▲3.4bpへとマイナス幅拡大。 -
為替(G10通貨)はJPYが最強。USD/JPYは145半ばへと低下。コモディティはWTI原油が70.3㌦(▲3.2㌦)へと低下。銅は8954.5㌦(▲228.5㌦)へと低下。金は2499.7㌦(▲4.8㌦)へと低下。
注目点
- 8月初旬に米国の景気後退懸念を喚起したISM製造業景況指数は、8月に47.2と緩慢ながらも改善(7月:46.8)。もっとも、市場予想の47.5には届いておらず物足りない結果であった。ヘッドラインを構成する5つの項目に目を向けると、生産(45.9→44.8)と新規受注(47.4→44.6)が共に低下、雇用(43.4→46.0)は改善したものの、サプライヤー納期(52.6→50.5)は短縮化し、在庫(44.5→50.3)は積み上がった。50を下回る生産と新規受注、50を上回る在庫という組み合わせは需要の弱さを浮き彫りにしており、米景気の減速を意識せざるを得ない。それに加えて、向こう3ヶ月程度の先行きを読む上で有用な新規受注・在庫バランスが38.7へと急落し、20ヶ月ぶりの低水準に落ち込んだことも重要。筆者は7月の46.8というヘッドラインは何らかの特殊要因で弱さが誇張されていたと判断していたが、新規受注・在庫バランスの悪化を伴い、2ヶ月連続で弱さが示されたことに鑑みれば、一過性のものではなかったと読み替えるのが妥当に思える。
- 製造業の苦境を映じたのはISM製造業景況指数だけではなく、類似指標の製造業PMI(S&P Global)も同様であった。ヘッドラインは47.9となり、過去2ヶ月で大幅に水準を切り下げ、しかも新規受注・在庫バランスの急低下を伴った。サービス業PMIが55.2と強さを維持していることに鑑みると、必ずしも内需の弱さが背景にある訳ではなさそうだが、大統領選を控えた不透明感などから生産・投資活動が抑制されている可能性が指摘できる。また既往のドル高も影響したとみられる。

- 製造業サーベイは長期的にみて株価との連動性が強い。S&P500(前年比)とISM製造業景況指数を同じグラフに描いてみると、直近1年程度は明らかな違和感が認められている。ISM製造業が絶対的に「正しい」という前提を置くならば、現在のS&P500は(かなりひいき目にみても)前年比伸び率がゼロ近傍、すなわち4300~4500程度の水準にあるはずであり、25%程度の下落余地がある。現在の株価はM7と呼ばれる時価総額の大きい非製造業によって牽引されていることを踏まえ、時価総額の大きい銘柄の影響を受けない「均等ウェイトS&P500」と比較しても、やはり違和感は残存する。いずれにせよ現在の株価は、製造業サーベイと整合しない水準にあり、不気味な印象を禁じ得ない。
- もっとも、製造業サーベイの弱さにもかかわらず、実際の生産高は落ち込んでおらず、両者に乖離が生じていることは認識しておく必要があるだろう。製造業生産高は3ヶ月前比年率で+1.6%と増産基調を強めており、製造業サーベイが示すような悲壮感は感じられない。この点を重視すれば、製造業サーベイの弱さが誇張されていることになり、だとすれば向こう数ヶ月で製造業サーベイが回復し、株価との乖離も縮小に向かう可能性がある。

藤代 宏一
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。












