貿易統計(2024年5月)

~自動車輸出の持ち直しは鈍い~

大柴 千智

要旨
  • 5月の貿易統計(季節調整値)は、輸出金額が前月比+1.2%、輸入金額が同+1.5%となり、貿易収支は▲6,182億円の赤字となった。輸出、輸入ともに資源高や円安等に起因した物価上昇を反映して価格ベースが押し上げている。そうした中、物価変動を除いた実質(数量)ベースでの輸出では弱い動きが継続していることで、貿易収支は赤字基調が続いている。
  • 物価変動の影響を除いた実質輸出をみると、前月比▲2.4%となった(実質化と季節調整は筆者)。主力である輸送用機器は、一部自動車メーカーの生産停止の影響を受けて1-3月期に前期比▲9.3%と大きく落ち込んだ。その後、足元における4-5月平均は1-3月期対比で+2.5%に留まっており、期待されていた反発は鈍い。当初の想定よりも自動車生産の正常化に時間を要していることもあるが、欧州向け輸出が明確に減少基調にあることなど、海外景気の減速を反映した需要縮小の影響もあるだろう。
  • 先行きについて、自動車認証不正問題の長期化に加えて、もともと減産前から海外での積み上がり需要の一巡によって自動車輸出の減速感が強まっていたことから、自動車輸出は4-6月期も力強さは期待できない。足元での世界的なハイテク需要の回復は、電気機器(電子部品や通信機器など)等の輸出増に繋がることが期待できるが、明確な動きはまだみられない。総じて、実質輸出は1-3月期からの反発は限定的に留まり、弱い動きが続きそうだ。

図表を含めた詳細は、右上のPDFからご覧ください。

大柴 千智


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大柴 千智

おおしば ちさと

経済調査部 副主任エコノミスト(~25年3月)
担当: 日本経済短期予測

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