株高不況 株高不況

4月会合の二の舞を避けたい日銀は国債の買入れ減額へ

FRBは余裕の様子見

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均は先行き12ヶ月41,000程度で推移するだろう。

  • USD/JPYは先行き12ヶ月145程度で推移するだろう。

  • 日銀は7月に追加利上げを実施するだろう(政策金利は+0.25%)。

  • FEDは9月に利下げを開始、FF金利は25年末に4.00%(幅上限)への低下を見込む。

目次

金融市場

  • 前日の米国株は上昇。S&P500は+0.3%、NASDAQは+0.9%で引け。VIXは12.9へと上昇。

  • 米金利はカーブ全般で金利低下。予想インフレ率(10年BEI)は2.287%(▲2.1bp)へと低下。
    実質金利は2.119%(▲4.3bp)へと低下。長短金利差(2年10年)は▲43.2bpへとマイナス幅拡大。

  • 為替(G10通貨)はUSDが中位程度。USD/JPYは157前半へと上昇。コモディティはWTI原油が77.9㌦(+0.2㌦)へと上昇。銅は9759.0㌦(▲140.0㌦)へと低下。金は2307.5㌦(▲0.2㌦)へと低下。

米国イールドカーブ
米国イールドカーブ

米国イールドカーブ(前日差)
米国イールドカーブ(前日差)

米国名目金利・予想インフレ率・実質金利(10年)
米国名目金利・予想インフレ率・実質金利(10年)

米国長短金利差(2年10年)
米国長短金利差(2年10年)

注目点

  • 6月12日は5月米CPIが公表される。その数時間後にはFOMCの結果発表があり、ドットチャートをはじめとする経済・物価見通しの更新、そしてパウエル議長の記者会見が注目される。また日本では14日に日銀の金融政策決定会合があり、極めて情報量の多い日程となる。以下で注目点を整理していく。

  • FOMCでは金融政策の現状維持が決定されよう。FF金利(誘導目標レンジ上限)は5.50%で据え置きとなり、毎月のバランスシート削減量(QT)は国債が最大250億ドル、MBSが最大350億ドルで維持される見込み。注目はドットチャート。FOMC参加者が認識するコアインフレ率見通しのリスクが引き続き上振れ方向にある中、3月時点で年内3回の利下げ計画(中央値)が示されていたものが、6月には2回ないしは1回へと下方修正される公算が大きい。現時点におけるFF金利先物が年内1.6回分の利下げを織り込んでいることを踏まえると、2回であれば市場参加者の概ね想定通り、1回であればややタカ派な印象に映るだろう。2025年以降の分布に大きな変化は予想されないが、どちらかというと上振れの可能性が高そうだ。中立金利に関しては2.5%近辺で据え置きとなる見込み。

FOMC参加者が認識するコアインフレ率見通しのリスク
FOMC参加者が認識するコアインフレ率見通しのリスク

  • 5月雇用統計では平均時給が前月比+0.40%へと加速し、インフレ沈静化が一筋縄ではいかぬことが示された。3ヶ月前年率でみれば+3.77%と緩やかな減速傾向にあるとはいえ、労働コストの増加を背景にコアインフレ率が高止まりするとの懸念は根強い。そうした中で発表される5月CPIは前月比+0.1%、前年比+3.4%、コアCPIは前月比+0.3%、前年比+3.5%と緩慢ながらも減速を続ける予想が示されている。ここへ来てCPI家賃の先行指標として有用なケース・シラー住宅価格指数(前年比)が加速傾向にあるなどインフレ鈍化ペースが落ちる兆候も散見されているが、それでも5月の数値が予想通りとなれば、安心感が広がるだろう。

米国平均時給
米国平均時給

ケース・シラー住宅価格指数
ケース・シラー住宅価格指数

  • そして金曜日には日銀の金融政策決定会合の結果が発表される。政策金利は据え置きが予想されている一方、多くの市場関係者が、現在6兆円程度とされている長期国債の買入れについて、その減額方針が示されると予想しており、筆者もそう考えている。QUICK月次調査<債券>によると、6月会合における減額方針の決定を予想する向きは、有効回答数108の内70となっている(7月が19、8月が7、それ以降が12)。もっとも、筆者の知る限りにおいて、具体的な減額幅について共通の見方は存在していない。また、Fedに倣って中長期的なバランスシート計画を示すことも取り沙汰されており予想は幅が広い。大方の予想通り減額方針が示されても、その内容次第では市場の反応が軽微に留まるとは限らない。総裁会見における説明も重要な材料となるだろう。

  • なお、仮に6月会合が完全なる現状維持だった場合、為替市場では円安の進行が予想され、円安急進を招いた4月26日の二の舞を演じてしまう可能性がある。日銀は円安ドリブンな政策態度に距離を置いてきたが、「骨太の方針」で円安対策が大きく取り扱われることもあり、現状維持の選択肢は取りにくいだろう。

藤代 宏一


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