“投資詐欺広告”
“投資詐欺広告”

・工作機械受注が教えてくれる景況感(2024 年4月) ・中小企業調査から透けてみえるディスインフレ(米CPI 前哨戦)

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均は先行き12ヶ月41,000程度で推移するだろう。
  • USD/JPYは先行き12ヶ月145程度で推移するだろう。
  • 日銀は、10月に追加利上げを実施するだろう。
  • FEDは9月に利下げを開始、FF金利は年末に5.25%(幅上限)への低下を見込む。
目次

金融市場

  • 前日の米国株は上昇。S&P500は+0.5%、NASDAQは+0.8%で引け。VIXは13.4へと低下。
  • 米金利はカーブ全般で金利低下。予想インフレ率(10年BEI)は2.334%(▲0.9bp)へと低下。 実質金利は2.111%(▲3.9bp)へと低下。長短金利差(2年10年)は▲37.7bpへとマイナス幅縮小。
  • 為替(G10通貨)はJPYが最弱。USD/JPYは156半ばへと上昇。コモディティはWTI原油が78.0㌦(▲1.1㌦)へと低下。銅は10114.0㌦(▲71.5㌦)へと低下。金は2359.9㌦(+16.9㌦)へと上昇。

米国 イールドカーブ、名目金利・予想インフレ率・実質金利(10年)、長短金利差(2年10年)
米国 イールドカーブ、名目金利・予想インフレ率・実質金利(10年)、長短金利差(2年10年)

(%) 米国 イールドカーブ
(%) 米国 イールドカーブ

(bp) 米国 イールドカーブ(前日差)
(bp) 米国 イールドカーブ(前日差)

米国 名目金利・予想インフレ率・実質金利(10年)
米国 名目金利・予想インフレ率・実質金利(10年)

米国 長短金利差(2年10年)
米国 長短金利差(2年10年)

経済指標

  • 4月米PPIは前月比+0.5%、前年比+2.2%と市場予想(前月比+0.3%、前年比+2.2%)よりもやや強めの結果となった。3月分が前月比+0.3%から▲0.1%へと大幅に下方修正されているため評価は難しいが、それでも瞬間風速が強いことに変わりはない。コアPPIも前月比+0.4%、前年比+2.4%と市場予想(前月比+0.2%、前年比+2.3%)を上回った。

米国 PPI
米国 PPI

  • 4月NFIB中小企業調査によると景況感指数は89.7へと小幅ながら改善し、過去2ヶ月の低下を取り戻した。一部で意識されているスタグフレーション懸念を和らげる結果であった。賃金インフレの帰趨を見極める上で筆者が重視している人件費計画は+21と3月から不変、雇用計画は+12と1pt上昇した。もっとも、3ヶ月平均でみれば双方とも明確な低下基調にあり、労働コストの増加圧力が弱まっている可能性を示唆した。人件費計画は雇用統計で示される平均時給と一定の連動性を有するだけにインフレ沈静化の有力な手掛かりとなる。この間、「労働者不足を指摘する企業の割合」が大きくみれば低下基調にある下で、「販売価格の引き上げを計画する企業の割合」も足もとで急低下している。今回の結果は概してインフレ沈静化を示す結果であった。

NFIB中小企業楽観指数、NFIB中小企業調査
NFIB中小企業楽観指数、NFIB中小企業調査

NFIB中小企業楽観指数
NFIB中小企業楽観指数

NFIB中小企業調査
NFIB中小企業調査

米国 労働者不足を指摘する企業の割合、米国 販売価格引き上げを計画する企業の割合
米国 労働者不足を指摘する企業の割合、米国 販売価格引き上げを計画する企業の割合

米国 労働者不足を指摘する企業の割合
米国 労働者不足を指摘する企業の割合

米国 販売価格引き上げを計画する企業の割合
米国 販売価格引き上げを計画する企業の割合

米国 平均時給・中小企業の人件費計画
米国 平均時給・中小企業の人件費計画

注目点

  • 5月14日に発表された4月の工作機械受注統計(日本工作機械工業会)は、単月では期待外れであったものの、大きくみれば生産・投資活動の拡大に期待を繋げる動きとなっている。4月の受注額(原数値)は1172億円、前年比伸び率は▲11.6%へとマイナス幅が拡大。筆者作成の季節調整値でみても4月は前月比▲7.8%と弱く、3ヶ月平均値でも▲1.8%と下を向いた。単月の内訳は「国内向け」の季節調整済み前月比が▲14.8%、前年比が▲12.9%と弱さが残存。「外需」は前月比で▲3.9%、前年比では▲11.0%と持ち直しの動きが一服した。4月の弱さは3月の反動もありそうだが、やや期待外れであった。

工作機械受注、工作機械受注(内訳)
工作機械受注、工作機械受注(内訳)

工作機械受注
工作機械受注

工作機械受注(内訳)
工作機械受注(内訳)

  • 日本の工作機械受注は、そのサイクルがグローバル製造業PMIやアナリストの業績予想(TOPIX予想EPS)と連動性を有する。グローバル製造業PMIは4月に50.3へと0.3pt低下したものの、4ヶ月連続で50を上回った。地域別では日本が自動車生産の回復によって50に近付いた他、米国が4ヶ月連続で50超を維持し、中国も6ヶ月連続で50超を維持した。ユーロ圏の弱さは続いたものの、IT関連財の生産集積地である韓国が50近傍を維持し、台湾は約2年ぶりに50を回復したことで、世界全体として生産活動は上向いている。先行きは世界的なIT関連財の在庫調整進展と堅調な自動車販売によって、グローバル製造業PMIの改善傾向が続く可能性は高いと判断される。こうした下で日本企業の業績予想(TOPIX予想EPS)は資本効率の改善や円安にも支えられ、上向きの曲線を描いている。今後、IT関連財の回復期待がより明確化してくればその傾きは急になると予想される。

工作機械受注・グローバル製造業PMI、工作機械受注・予想EPS
工作機械受注・グローバル製造業PMI、工作機械受注・予想EPS

工作機械受注・グローバル製造業PMI
工作機械受注・グローバル製造業PMI

工作機械受注・予想EPS
工作機械受注・予想EPS

  • 工作機械受注サイクルの位置取りを確認するために縦軸に受注額の水準(36ヶ月平均値からの乖離)、横軸に方向感(6ヶ月前比)をとった循環図をみると、最新値は左下局面(低水準・伸び率マイナス)に逆走したものの、大きくみれば右下局面(低水準・伸び率プラス)に進路をとっている。これは受注高が(直近ピーク比では)低水準で推移しているものの、底打ち感を強めていることを意味する。単月で逆走したとはいえ、過去の経験則に従うなら今後は右方向へ推移した後、徐々に上向きの進路をとると思われる。自動車販売の回復およびそれに伴う設備投資誘発が予想される中、IT関連財の在庫調整が進展するにしたがって半導体向け投資の拡大が期待される。今後、米中経済が急失速しない限り「左下」方向へ逆走する展開は想像しにくい。株価は資本効率の改善期待や円安など非循環的要因を追い風に上昇したこともあって、既に製造業サイクルの好転を先取りしている感はあるが、工作機械受注を見る限りにおいて梯子を外されるリスクは和らいでいる。

工作機械受注、工作機械受注・TOPIX機械
工作機械受注、工作機械受注・TOPIX機械

工作機械受注
工作機械受注

工作機械受注・TOPIX機械
工作機械受注・TOPIX機械

藤代 宏一


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。