株高不況 株高不況

進撃が続く街角景気

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均は先行き12ヶ月28,000程度で推移するだろう。
  • USD/JPYは先行き12ヶ月130程度で推移するだろう。
  • 日銀は現在のYCCを10‐12月期に修正するだろう。
  • FEDはFF金利を5.25%(誘導幅上限)で据え置くだろう。利下げは10-12月期を見込む。
目次

金融市場

  • 前日の米国株は下落。S&P500は▲0.2%、NASDAQは▲0.4%で引け。VIXは17.0へと上昇。
  • 米金利はベア・フラット化。予想インフレ率(10年BEI)は2.190%(+1.4bp)へと上昇。実質金利は1.273%(+6.3bp)へと上昇。長短金利差(2年10年)は▲53.1bpへとマイナス幅拡大。
  • 為替(G10通貨)はUSDが全面高。USD/JPYは135後半へと上昇。コモディティはWTI原油が70.0㌦(▲0.8㌦)へと低下。銅は8253.0㌦(+89.5㌦)へと上昇。金は2019.8㌦(▲0.7㌦)へと低下。

米国 イールドカーブと名目金利・予想インフレ率・実質金利(10年)と米国 長短金利差(2年10年)
米国 イールドカーブと名目金利・予想インフレ率・実質金利(10年)と米国 長短金利差(2年10年)

米国 イールドカーブ
米国 イールドカーブ

米国 イールドカーブ(前日差)
米国 イールドカーブ(前日差)

米国 名目金利・予想インフレ率・実質金利(10年)
米国 名目金利・予想インフレ率・実質金利(10年)

米国 長短金利差(2年10年)
米国 長短金利差(2年10年)

経済指標

  • 5月米ミシガン大学消費者信頼感指数は57.7へと悪化。現況(68.2→64.5)と期待(60.5→53.4)が双方とも低下し、2022年10-12月期平均値の58.8を下回った。予想インフレ率は1年先が+4.5%と高止まり、5-10年先は+3.2%へと水準を切り上げた。確報段階で下方修正される可能性はあるとはいえ、コアインフレ率の高止まりが消費者の中長期的な予想インフレ率の形成に影響を与えている可能性を示唆する。6月FOMCにおける利上げ停止に影響はなくとも、政策金利の引き下げを遅らせる根拠になり得る。

ミシガン大学消費者信頼感指数と予想インフレ率(ミシガン大学調査)
ミシガン大学消費者信頼感指数と予想インフレ率(ミシガン大学調査)

ミシガン大学消費者信頼感指数
ミシガン大学消費者信頼感指数

予想インフレ率(ミシガン大学調査)
予想インフレ率(ミシガン大学調査)

注目点

  • 先週発表された4月の景気ウォッチャー調査は、日本の内需が力強さを増していることを印象付ける結果であった。米国対比で良好な景気の方向感は日本株の相対優位に貢献すると考えられる。

  • 現況判断DIは54.6へと1.3ptの改善を示し、先行き判断DIに至っては55.7へと1.6pt上昇し、双方ともパンデミック発生以降の最高水準に比肩、2019年水準を明確に上回った。生活必需品の値上がりによって家計が圧迫されている反面、コロナ禍において自粛を迫られてきた消費が回復し、景気の肌感覚は大きく改善している。現状判断DIと先行き判断DIが共に3ヶ月連続で50を上回った。

景気ウォッチャー調査
景気ウォッチャー調査

  • 現状判断DIは家計動向関連が54.9へと1.2pt上昇。小売(53.2)が強さを保つ中、飲食(59.9)は活況とも言うべき高水準が続き、サービス(59.1)は異例の水準に到達。住宅(46.1)も小幅ながら持ち直した。政策支援によって光熱費上昇が抑制されていることに加え、訪日外客数の回復や各種イベント再開・制限撤廃もあり、全体として経済活動は回復している。企業関連は53.2へと2.1pt回復し2ヶ月連続で50を超過。製造業(49.6)が小幅に低下した反面、非製造業(56.7)は大幅に改善。雇用関連(55.8)は労働需給の引き締まりを印象付けた。これらは類似指標のサービス業PMIが高水準を維持していることと整合的である。

景気ウォッチャー調査(現状)と日本 PMI
景気ウォッチャー調査(現状)と日本 PMI

景気ウォッチャー調査(現状)
景気ウォッチャー調査(現状)

日本 PMI
日本 PMI

  • 先行き判断DIは家計動向関連が56.4へと2.1pt上昇。小売(55.8)、飲食(59.9)、サービス(58.8)が揃って50を回復した。類似指標の消費者態度指数(消費者に6ヶ月先の消費動向を問う形式)の改善とも整合的で家計マインドの前向きな動きを映じている。企業関連は53.2へと0.3pt上昇。こちらも製造業(52.0)が小幅に低下した反面、非製造業(54.4)が改善。雇用関連は56.8へと1.4pt上昇。国内景気の回復に伴い労働集約的な産業(宿泊、飲食、建設等)を中心に採用意欲が高まっていると思われる。

消費者態度指数
消費者態度指数

  • 景気ウォッチャー調査は速報性に優れていながら、予測精度が高いことが知られておりGDP(具体的には在庫を除いた「最終需要」)との連動性が認められている。また株価についても景気ウォッチャーが改善傾向にある時、日本株が米国株に対して優位となるという一定の関係があり、これで2022年以降の日本株優位を一部説明できる。株価が景気ウォッチャー調査に影響を与えているという逆の因果関係も否定はできないが、2022年以降の日本経済は米国対比で方向感が良いのは事実であり、そうした景気認識に基づいて日本株が選好されている可能性が高いと筆者は考えている。この構図はしばらくの間、続くと判断される。

景気ウォッチャー・日米相対株価
景気ウォッチャー・日米相対株価

藤代 宏一


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。