株高不況 株高不況

まずまずの日銀短観国内良好・欧米減速

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均は先行き12ヶ月28,000程度で推移するだろう。
  • USD/JPYは先行き12ヶ月130程度で推移するだろう。
  • 日銀は現在のYCCを年内に修正するだろう(暫定)。
  • FEDはFF金利を5.25%(誘導幅上限)まで引き上げるだろう。
目次

金融市場

  • 前日の米国株は上昇。NYダウは+1.3%、S&P500は+1.4%、NASDAQは+1.7%で引け。VIXは18.7へと低下。
  • 米金利はカーブ全般で金利低下。予想インフレ率(10年BEI)は2.322%(▲0.9bp)へと低下。実質金利は1.139%(▲7.6bp)へと低下。長短金利差(2年10年)は▲56.2bpへとマイナス幅縮小。
  • 為替(G10通貨)はUSD高傾向。USD/JPYは132後半へと上昇。コモディティはWTI原油が75.7㌦(+1.3㌦)へと上昇。銅は8993.0㌦(▲8.0㌦)へと低下。金は1969.0㌦(▲11.3㌦)へと低下。

図表1
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図表2
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図表3
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図表4
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図表5
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経済指標

  • 2月米PCEデフレーターは前月比+0.3%、前年比+5.0%と市場予想に概ね一致して1月から上昇鈍化(1月:前年比+5.3%)。コアデフレーターは前月比+0.3%、前年比+4.6%となり前年比伸び率は1月から概ね横ばい。エネルギー価格下落を主因に総合インフレ率は鈍化している反面、コアは労働コスト増加を背景に高止まりしている。サービスは前年比+5.7%であった。

図表6
図表6

注目点

  • 日銀短観(3月調査)によると業況判断DIは、大企業製造業が+1と前回調査対比6pt低下した(市場予想+3)。内需回復に伴い国内向け出荷が底堅く推移した他、中国経済の正常化が業況改善に寄与したものの、欧米経済減速に伴う輸出の増勢鈍化が効いたとみられる。反対に大企業非製造業は+20へと前回調査対比1pt改善し市場予想に一致。インバウンド再開を含む行楽需要の持ち直しが効いた。先行き判断DIは大企業製造業が+3と現況対比で小幅改善を見込み、大企業非製造業は+15と現況対比でやや慎重な見通しであった。

図表7
図表7

  • 大企業製造業は自動車(12月調査:▲14→3月調査:▲9)の回復が鈍く、その影響もあって、はん用機械(+31→+16)、鉄鋼(+18→+13)、非鉄金属(+6→▲3)、化学(+8→▲1)、生産用機械(+30→+24)などが低下した。また世界的なIT関連財需要の減少を受けて電気機械(+18→+3)は大幅に低下。他方、造船・重機等(▲12→▲8)はマイナス幅縮小、業務用機械(+30)は高水準を維持した。当面は自動車生産の回復および日本と中国向け出荷が支えとなる一方、欧米経済の弱さが足を引っ張る構図が続きそうだ。

  • 大企業非製造業は対個人サービス(+20→+24)の回復が続いた他、宿泊・飲食サービス(±0→±0)も2回調査連続でマイナス圏脱出。インバウンド再開や全国旅行支援などに支えられ、内需の底堅さが示された。雇用人員判断DI(全規模・全産業)が▲32へと1pt低下したことに鑑みると人手不足は障壁になったとみられるが、それでも客足回復が業況回復に直結した形。この間、不動産(+27→+30)、物品賃貸(+27→+33)、情報サービス(+40→+42)の強さは継続。通信(+14→+14)と対事業所サービス(+35→+30)は低下したが、まずまずの水準を維持。個人消費の回復を受けて小売(+8→+18)は回復、卸売(+27→+27)の強さも続いた。

図表8
図表8

  • TOPIX構成銘柄と属性の近い大企業全産業の業況判断DIは+10と前回調査対比3pt低下。またTOPIXの予想EPSと密接に連動する売上高経常利益率の年度計画も7.90%へと低下し、企業業績の改善一服を示唆した。前回調査対比で円安による嵩上げ効果が剥落した他、欧米諸国の景気減速が重荷になった可能性が濃厚。欧米経済は金融不安が燻ぶる中でインフレ退治という難しい状況にあり、当面は日本企業の業績下押し要因となりそうだが、上述のとおり日本と中国経済の回復が下支えすることで予想EPSは全体として横ばいないしは微増が期待される。また販売価格見通し(≒自社製品・サービスの価格設定スタンス)が物価見通し(≒日本の物価上昇率)を上回っていることから判断すれば、今後も企業はコスト増加を積極的に価格転嫁することで、収益を確保していくと予想される。

図表9
図表9

図表10
図表10

図表11
図表11

図表12
図表12

  • なお日銀短観の調査は、前月からの変化を問うPMI等と異なり比較時点を問わない形式である。企業は回答にあたって自社の収益計画を基準にしていると考えられ、それを満たしていれば「良い」「さほど良くない」「悪い」の3択から「良い」を選択するはずである。したがって業況判断DIの改善は業績上方修正の余地と考えることができる。短観とアナリスト予想の方向感が一致するのはそうした背景があるとみられる。

藤代 宏一


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