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- ギリシャが5月に総選挙へ
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- ギリシャの総選挙が5月21日に決まった。最新の世論調査では、現与党の新民主主義(ND)が、債務危機時に債権団と対立した野党・急進左派連合(シリザ)をややリードしているが、単独での政権発足は困難な状況にある。同時に、シリザが第3党の全ギリシャ社会主義運動(PASOK)と連立を組み、政権を再奪還する可能性も後退した。ボーナス議席が再導入される再選挙や再々選挙に決着がずれ込み、NDが単独政権を発足する可能性が高まっている。ここから再選挙までにシリザがNDを逆転しない限り、シリザの政権再奪還は難しい。
ギリシャのミツォタキス首相は28日、議会任期満了に伴う総選挙を5月21日に行うことを発表した。定数300のギリシャ議会は従来、250議席が3%以上の票を獲得した政党に比例配分され、最多票を獲得した政党に50のボーナス議席が割り振られた。だが、2015年に政権を奪取した急進左派連合(シリザ)は、ボーナス議席を廃止し、全議席が比例配分される形に選挙制度を改めた。2019年に政権を奪還したNDは、ボーナス議席を再導入したが、即時効力発生に必要な3分の2以上の賛成票が得られなかったため、新たな選挙制度は次の次の総選挙から適用され、今回はシリザ時代に導入されたボーナス議席なしの選挙制度が適用される。
最新の世論調査によれば、ミツォタキス首相が率いる現与党で中道右派の新民主主義(ND)が30%台半ばでリードを保つが、最大野党で左派のシリザが30%前後の支持で迫っている(図)。世論調査通りの選挙結果となった場合、NDによる単独政権の発足が困難などころか、3番手につける中道左派の全ギリシャ社会主義運動(PASOK)と連立を組んでも、議会の過半数に届かない可能性がある。上位3党以外は極端な政策を主張する政党で、ND・シリザともに連立相手となり得ない。従来、筆者は国家情報局によるPASOK党首に対する盗聴スキャンダルが尾を引き、NDとPASOKの連立協議が暗礁に乗り上げた場合、シリザとPASOKによる連立政権が誕生するリスクを指摘してきた。シリザは2015年に政権を奪取し、トロイカ(EU、IMF、ECBの債権団)と全面衝突した当時の面影はない。既にギリシャは財政支援を脱し、仮に今回シリザが政権を再奪還したとしても、現実的な政策運営を行うことが予想される。それでも、債務危機時にギリシャをユーロ離脱の瀬戸際まで追い込んだシリザが再登板すれば、国際社会や金融市場に懐疑的な見方が広がった可能性がある。だが、最近の世論調査でPASOKの支持が落ちてきたため、シリザとPASOKの2党では政権発足に必要な議会の過半数に届きそうにない。
そこで5月21日の総選挙後の新たな政治展開として、7月初旬に再選挙が行われる可能性が高まっている。前述の通り、次の次の総選挙ではボーナス議席付きの選挙制度が再導入される。ただ、2月末に発生した列車衝突事故で鉄道インフラの脆弱さが露呈し、政権に対する批判が広がっている。NDとシリザの支持率の差が一段と縮まれば、再選挙でも決着がつかず、9月に再々選挙が行われる可能性も現地メディアでは取り沙汰されている。ここからシリザがNDを逆転しない限り、シリザの政権奪取の可能性は遠退いた。

田中 理
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