株高不況 株高不況

板挟みのFed インフレと金融不安の間

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均は先行き12ヶ月28,000程度で推移するだろう。
  • USD/JPYは先行き12ヶ月130程度で推移するだろう。
  • 日銀は現在のYCCを年内に修正するだろう(暫定)。
  • FEDはFF金利を5.00%(誘導幅上限)まで引き上げるだろう。
目次

金融市場

  • 前日の米国株は上昇。NYダウは+1.0%、S&P500は+1.3%、NASDAQは+1.6%で引け。VIXは21.4へと低下。
  • 米金利はベア・フラット化。債券市場の予想インフレ率(10年BEI)は2.242%(+8.3bp)へと上昇。実質金利は1.364%(+4.3bp)へと上昇。
  • 為替(G10通貨)はUSDが中位程度。USD/JPYは132後半へと上昇。コモディティはWTI原油が69.3㌦(+1.7㌦)へと上昇。銅は8757.5㌦(+60.0㌦)へと上昇。金は1941.1㌦(▲41.7㌦)へと低下。

図表1
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図表2
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図表3
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図表4
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図表5
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経済指標

  • 2月米中古住宅販売件数は前月比+14.5%、458万件と13ヶ月ぶりに前月比増加となり先行指標の中古住宅販売成約指数と整合的な動きとなった。もっとも、3ヵ月平均でみた水準は400万件前半と低く、前年比では▲22.6%となお大幅なマイナス圏にある。住宅ローン金利が高止まりする中、基調的な回復は期待しにくい。

  • 3月独ZEW景況感調査(期待)は+13.0へと低下。エネルギー逼迫が懸念された冬を乗り越えたことで安心感が広がっていたが、3月は金融システム不安もあってやや慎重化した。

図表6
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図表7
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図表8
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注目点

  • 本日のFOMCでは25bpの利上げが予想される。3月入り後の利上げ予想を時系列で整理すると、2月以降インフレ再加速を示す指標が散見される中、3月8日に実施されたパウエル議長の議会証言はややタカ派的となり、それを受けて一度は50bpの利上げ予想が優勢になった。また10日に発表された2月雇用統計もそれを一定程度支持する結果となり、50bp利上げが現実味を帯びていった。しかしながら、10-12日(金曜から日曜)にかけて米銀の破綻とその処理が伝わると一気に形勢は逆転。50bp利上げの予想は完全に消失し、25bp利上げが支配的となった。この間、欧州でも金融不安が高まったことを受けて利上げ休止を予想する向きは増加しており、FF金利先物は約15%の確率でそれを織り込んでいる。

  • 現在FRBが直面している状況は極めて難しい。「インフレ退治を優先し、利上げを継続すれば金融不安が高まる」、反対に「金融不安に配慮し、利上げを休止すればインフレ退治が疎かになる」という板挟み状態にあり、どちらの選択肢もそれなりの代償を払う必要がある。それでも現時点では財務省による「預金者保護」の姿勢が奏功し金融不安は抑制されており、株式市場でも銀行株が買い戻されるなど落ち着きがみられていることを踏まえると25bpが妥当な選択肢だろう。

  • (3月FOMCで25bpの利上げがあること前提にすれば)今回FRBは「継続的な利上げが適切になると予想する(ongoing increases in the target range will be appropriate)」という政策金利の指針を見直すことで、政策態度を調整するとみられる。FRBの期待どおりに金融不安が落ち着いた時に備え、利上げ方針そのものを撤回することには距離を置くとみられるが、その一方で利上げ終了が近いことを仄めかす文言を挿入するとみられる。また四半期に一度更新される政策金利見通し(ドットチャート)は2023年末の中央値が5.25%(誘導目標レンジ上限)になる可能性が最も高いと判断する。金融不安に配慮する参加者が増加するなら5.00%(≒追加の25bp利上げを以って利上げ終了)、インフレ退治の姿勢を優先する参加者が多いままなら5.50%となるが、正直なところそれは蓋を開けてみなければ分からない。

藤代 宏一


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