- 要旨
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- 日経平均は先行き12ヶ月28,000程度で推移するだろう。
- USD/JPYは先行き12ヶ月130程度で推移するだろう。
- 日銀は現在のYCCを年央に終了するだろう。
- FEDは3月まで利上げを続けた後、年後半に利下げを開始するだろう。
金融市場
- 前日の米国株は上昇。NYダウは+1.1%、S&P500は+1.1%、NASDAQは+1.5%で引け。VIXは20.3へと低下。
- 米金利はツイスト・フラット化。債券市場の予想インフレ率(10年BEI)は2.315%(▲2.1bp)へと低下。実質金利は1.383%(▲1.5bp)へと低下。
- 為替(G10)はJPYが最弱。USD/JPYは132半ばまで上昇。コモディティはWTI原油が80.1㌦(+0.4㌦)へと上昇。銅は8938.0㌦(+80.5㌦)へと上昇。金は1851.9㌦(▲10.9㌦)へと低下。
注目点①
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本日発表の1月米CPIはインフレの粘り強さを印象付ける結果になるだろう。エコノミスト予想によれば総合CPIは前月比+0.5%と再加速(12月は+0.1%)が見込まれている。ただしここで注意が必要なのは、エコノミスト予想に上振れリスクがあること。クリーブランド連銀が算出する「Inflation Nowcasting」によれば1月CPIは前月比+0.7%とエコノミスト予想を明確に上回る数値となっている。前年比伸び率はエコノミスト予想が+6.2%であるのに対してクリーブランド連銀算出値は+6.5%と大きな乖離が生じている。
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コアCPIも同様にクリーブランド連銀算出値がエコノミスト予想を上回っている。エコノミスト予想が前月比+0.4%、前年比+5.5%であるのに対して、クリーブランド連銀算出値は前月比+0.5%、前年比+5.6%となっている。クリーブランド連銀算出値が正しければ、Fedの利上げ終了が5月以降にずれ込む可能性が高まる。政策金利の最終到達点(ターミナルレート、FF金利誘導目標レンジ上限)は5.25%ないしは5.50%となろう。また当然のことながら年内の利下げ確率は低下する。

- パウエル議長は「財」がディスインフレの初期局面にあるとの認識を示している。しかしながら、財物価の先行指標として①中古車、②ガソリン価格、③食料品の関連指標に目を向けると何れも反発の気配がある。中古車についてはマンハイム中古車価格指数が2ヶ月連続で上昇し3ヶ月前比年率では+12.7%へと加速している。新車販売の抑制が続くなか、中古車の需給がひっ迫している様子が窺える。ガソリン価格については原油の国際市況下げ止まりとドル高一服によって底打ち気配が強まっている。それに呼応する形でミシガン大学調査の1年先予想インフレ率は反転上昇しており、消費者の体感物価を押し上げている。また食料品については肥料価格の下落をよそに小麦価格の低下が一服している。加工や輸送にかかる人件費の高止まりを踏まえると今後の鈍化ペースは緩慢になると予想される。
注目点②
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政府は植田和男元日銀審議委員を指名する人事を固めた。かなりのサプライズ人事であったが、学者で金融政策に精通している同氏の政策スタンスには安心感がありそうで、幅広い意味で好感される。また金融政策の実務に精通している内田真一日銀理事、金融システムに詳しい氷見野良三前金融庁長官を副総裁とする人事案についても「強力な布陣」と評価する声が多く、筆者も同感である。なお、植田氏は2022年7月の日経新聞への寄稿で「多くの人の予想を超えて長期化した異例の金融緩和枠組みの今後については、どこかで真剣な検討が必要だろう」としつつも、2月10日は「金融政策は景気と物価の現状と見通しにもとづいて運営しなければいけない。そうした観点から現在の日本銀行の政策は適切であると思う。現状では金融緩和の継続が必要であると考えている」として「現実路線」の考えを示した。
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筆者は日銀の金融政策について雨宮氏、中曽氏の総裁就任を前提に「現在のYCCを年央に終了」との予想を示してきた(10年金利コントロールの終了)。2022年後半以降のインフレに直面して植田氏の見解がどう変化したかは判然としない部分があり、所信表明や初回の金融政策決定会合まで不透明感は残存するが、それでも賃金上昇を伴った物価上昇が実現している状況に鑑みれば、植田氏がYCCの終了に着手する可能性は高いだろう。12月の毎月勤労統計によれば、一人あたりの基本給に相当する概念である所定内給与は既に前年比+1.8%と1995年以来の高い伸びとなっており、また最近の賃上げ報道から判断するとそうした傾向が持続する可能性は高い。短期金利の引き上げには不十分かもしれないが、長期金利コントロールの終了には十分な伸びであると判断している。

藤代 宏一
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