株高不況 株高不況

引き続き逆張りシグナル点灯 電子・部品デバイス工業の出荷・在庫バランスは好機を示唆

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均は先行き12ヶ月28,000程度で推移するだろう。
  • USD/JPYは先行き12ヶ月137程度で推移するだろう。
  • 日銀は現在のYCCを少なくとも2023年4月までは維持するだろう。
  • FEDは年内に125bpの追加利上げを実施。利下げは早くても23年後半以降だろう。
目次

金融市場

  • 前日の米国株は上昇。NYダウは+2.6%、S&P500は+2.5%、NASDAQは+2.9%で引け。VIXは25.8へと低下。
  • 米金利カーブはベア・フラット化。債券市場の予想インフレ率(10年BEI)は2.499%(+5.7bp)へと上昇。実質金利は1.509%(+3.8bp)へと上昇。
  • 為替(G10)はJPYが最弱。USD/JPYは147後半へと上昇。コモディティはWTI原油が87.9㌦(▲1.2㌦)へと低下。銅は7550.0㌦(▲214.5㌦)へと低下。金は1644.8㌦(▲15.9㌦)へと低下。

図表1
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図表2
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図表3
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図表4
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図表5
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経済指標

  • 9月中古住宅販売成約指数は▲10.2%と市場予想(▲4.0%)を大幅に下回り4ヶ月連続で減少。水準はパンデミック発生直後の混乱期すら下回った。前年比では▲31.0%とリーマンショック時にすら経験したことのない減少率に達しており、住宅市場の冷え込みを強く示唆。この指標が実際の販売件数に対して1~2ヶ月の先行性を有することに鑑みれば、当面の中古住宅販売件数は更なる減少が予想される。なお、販売中央価格の前年比は+8.4%へと減速した。

  • Fedが重視する雇用コスト指数(3Q)は前期比+1.3%と市場予想どおりに減速も、前年比では+5.0%と高止まりした。前期比の内訳は諸手当が+1.2%(2Q:+1.8%)へと減速し全体を下押ししたものの、賃金は+1.4%と2Qから0.2%pt加速。賃金の異常値的上昇が終息するまで相応の時間を要すことを示唆した。

図表6
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図表7
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図表8
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注目点

  • 日本の9月鉱工業生産は前月比+▲1.6%と4ヶ月ぶりに減産。4~5月に中国のロックダウン影響により大幅な減産となった後、6月は同ロックダウン解除により増産(前月比+9.2%)。7月は半導体不足の段階的解消に伴う自動車生産の回復を主因に増産(+0.8%)、8月は内需回復とサプライチェーン問題緩和が相まって(自動車以外の)広範な業種が増産(+3.4%)となったが、9月は自動車生産の回復が一服したことで再び減産となった。出荷の8割を占める国内向け需要が回復基調にあるものの、自動車の生産回復が一巡する下で、半導体関連(電子部品・デバイス工業)の伸びが一服し、全体の生産水準は緩慢な回復となっている。

図表9
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  • 10月初旬に実施された生産予測調査に基づけば、製造工業の生産計画は10月が▲0.4%、11月が+0.8%と概ね横ばい。ただし経産省がバイアスを補正した10月の予測値は▲3.7%と大幅減産見込みとなっており、実際は減産で着地する可能性が高い。注目の輸送機械工業は10月に前月比+1.3%、11月に+4.1%と均してみると小幅な増産計画だが、予測修正率(≒計画の下方修正)のマイナスが常態化していることを踏まえると、この計画を下回る蓋然性が高い。電子部品・デバイス工業は10月に+3.7%、11月に▲1.4%と均してみれば増産計画だが、仮にそうなったとしても過去数ヶ月の減産を埋めるには至らない。

  • 株式市場と関連の深い電子部品・デバイス工業の生産に目を向けると、9月の電子部品・デバイスは前月比+0.4%と3ヵ月ぶりに増産となったものの、それまでの大幅減産が響き3ヶ月平均値は明確に下方屈折し、前年比では▲7.9%の減少となっている。この間に在庫は積み上がり、10月は前年比+20.4%と相変わらず過剰感が意識されるレベルにあり、出荷・在庫バランス(両者の前年比差分から算出)は▲15.3%と大幅なマイナス圏で推移している。在庫循環図の位置取りから判断すると在庫の増加は間もなく終わり、向こう数ヶ月で出荷の前年比伸び率がマイナス圏に転じる公算が大きい。本邦企業が国際競争力を有する電子部品産業は構造的な需要増加に直面しているとはいえ、2022年入り後はシリコンサイクルの悪化に巻き込まれ勢いを失っている。

図表10
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図表11
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図表12
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  • ところで筆者は7月鉱工業生産の発表以降、電子部品・デバイス工業の出荷・在庫バランスが大幅なマイナス圏で推移していることに関して「株価の大底を拾うという点で見れば、その時機が近づいているようにも見える」と当レポートでコメントしてきた。この点、9月データは逆張り的な視線でみれば引き続きホットにみえる。もちろん世界経済が高インフレの混乱から抜け出せず、IT関連財の需要が一段と落ち込んでしまえば、出荷・在庫バランスが再び悪化するリスクはあるが、少なくとも現時点において最悪期脱出の兆候が認められている。現在、世界の株式市場はFedの金融引き締めが圧倒的に重要テーマとなっており、本邦電子部品・デバイスの需給動向などは細かいデータの一つに成り下がっているが、それでも長期的に日経平均と出荷・在庫バランスが連動性を有してきた経緯は重要だろう。

図表13
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図表14
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図表15
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藤代 宏一


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。