- HOME
- レポート一覧
- 経済分析レポート(Trends)
- ECBのタカ派姿勢に変化
- 要旨
-
- ECBは2会合連続で75bpの大幅利上げを行い、今後も追加利上げの可能性を示唆しているが、金融緩和の縮小で大幅な進展があったと述べ、利上げの最終到達点に近づいていることを示唆。12月の理事会では利上げ幅を50bpに縮小すると予想する。今回の理事会では量的引き締め(QT)を議論しなかったが、12月の理事会での何らかの決定を示唆。来年前半のQT開始が視野に入る。
ECBはインフレ率の大幅且つ持続的な上振れを警戒し、27日の理事会で2会合連続での75bpの大幅利上げを決定。預金ファシリティ金利(下限の政策金利)を1.5%に、主要リファイナンス金利(中心レート)を2.0%に、限界貸出ファシリティ金利(上限の政策金利)を2.25%に引き上げた。「政策金利の決定は今後のデータ次第で、理事会毎に判断する」との方針は前回同様だが、「金融緩和の縮小で大幅な進展があった」と述べ、今後の政策金利の方針を、前回の「今後数回の理事会で政策金利を一段と引き上げる」→今回の「今後も政策金利を一段と引き上げる」に修正した(「今後数回の理事会で」を削除)。政策金利の決定に当たっては、物価見通し、これまでに取られた措置、金融政策が波及するまでのラグを考慮すると説明。ECBは中立金利以上に政策金利を引き上げる可能性を排除していないが、利上げの最終到達点に近づいていることを示唆した。
景気が大幅に減速したとして、先行きの景気は9月のスタッフ見通し対比で明らかに下振れするリスクがあると指摘した一方、物価の上昇圧力が高まっている/広がっていることから、物価の上振れリスクを引き続き警戒。12月の理事会と同時に公表される新たなスタッフ見通しでは、予測期間が2025年まで延長される。新たな見通しの発表時に、改めて景気・物価を取り巻く環境を精査するとしている。タカ派姿勢の後退から、12月の理事会では利上げ幅を50bpに縮小すると予想する。
フランス中銀総裁が10月18日付の英FT紙で、過去の量的緩和で購入した資産の売却(量的引き締め:QT)を年末までに開始する可能性を指摘。今回の理事会では、QTについての具体的な議論の進展に注目が集まった。「利上げ開始から相当な期間、資産買い入れプログラム(APP)を通じて保有する資産の満期償還分を再投資する」従来方針を維持。ラガルド総裁は今回の理事会でAPPの再投資について議論しなかったことを明かしたが、12月の理事会でバランスシート縮小の基本方針を議論し、何らかの決定をする可能性を示唆した。QT開始は来年以降となりそうだ。
ファンダメンタルズを反映しない金利上昇を抑制するために7月の理事会で創設した伝達保護手段(TPI)についても、今回の理事会では議論しなかったと説明している。他方、条件付き長期リファイナンスオペ第3弾(TLTRO3)の適用金利の基準を変更し、従来の「オペ利用時からの預金ファシリティ金利の平均」→11月からは「11月から満期償還ないし事前償還までの預金ファシリティ金利の平均」に変更した。
田中 理
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

