- Market Flash
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2022.09.27
金融市場
マーケット見通し
株価
為替
金利
1,金利差のみで為替を説明することの危うさを浮き彫りにした英国 2,リスク性資産を溶かす温度に達した米金利
藤代 宏一
- 要旨
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- 日経平均は先行き12ヶ月28,000程度で推移するだろう。
- USD/JPYは先行き12ヶ月133程度で推移するだろう。
- 日銀は、現在のYCCを少なくとも2023年4月までは維持するだろう。
- FEDは、年内に125bpの追加利上げを実施。利下げは早くても23年後半以降だうう。
金融市場
- 前日の米国株は下落。NYダウは▲1.1%、S&P500は▲1.0%、NASDAQは▲0.6%で引け。VIXは32.3へと上昇。
- 米金利カーブはベア・フラット化。債券市場の予想インフレ率(10年BEI)は2.30%(▲6.9bp)へと低下。実質金利は1.619%(+30.6bp)へと上昇。
- 為替(G10)はUSDが全面高。USD/JPYは144後半へと上昇。コモディティはWTI原油が76.7㌦(▲2.0㌦)へと低下。銅は7341.5㌦(▲91.5㌦)へと低下。金は1623.6㌦(▲21.7㌦)へと低下。
注目点①
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英国がトリプル安に見舞われた。発端はトラス政権(クワーテング財務相)が公約を大幅に上回る規模の景気刺激策を発表したこと。①2023年春に予定されていた法人税率の引き上げ撤回(19%→25%)、②2022年4月に予定されていた国民保険料の1.25%引き上げ撤回、③2023年4月から所得税の基本税率引き下げ(20%→19%)、④所得税の最高税率(45%)廃止、⑤初回の住宅購入者に対する不動産取得税引き下げである。既発表のエネルギー料金凍結策と合わせると、極めて大きな規模になる。
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金融市場では「景気刺激策→インフレ高進→金融引き締め圧力増大」との連想が生じた。景気刺激策が未曾有のインフレ高進を招くことで、却って英国経済が混乱するとの見方から株式、債券、通貨はトリプル安となった。「拡張的財政政策+金融引き締め」という矛盾を抱えたポリシーミックスが招いた混乱と言えよう。
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このことは、内外金利差のみで為替を説明することの不完全さを浮き彫りにした。現在の日本では、日銀の金融緩和が日米金利差拡大観測を通じて円安を助長しているとの指摘が多くあり、日銀に金融引き締めを求める声も多くある。しかしながら、英国のように内外金利差が縮小しているにもかかわらず通貨安が進行した事実は重要だろう。5月下旬には米国と英国の10年債金利差が1%以上(米国の方が高い)あったのに対して、現在は英国の10年金利が4.2%、米国の10年金利が3.9%と明確に逆転している。5年金利は英国の4.6%に対して米国は4.2%である。最近のポンド安(対ドル)は金利差では説明が全くつかない。
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仮に日銀が円安対策に駆り出され利上げを実施したとしても、それが景気の停滞や経済の混乱に繋がるとの見方が生じてしまえば、円安が止まるとは限らない。筆者は黒田総裁の任期中に金融引き締めが実施される可能性は低いとみているが、もしそうなった場合は安易な円高予想は控えたい。そもそも日銀の利上げが金利差縮小に寄与するのはせいぜい0.50%であり、米国の利上げ幅に対して極めて小幅である。その金融引き締めによって住宅ローン金利が上昇するなどして個人消費が停滞し、日本経済が冷え込むとの見方が生じれば、円高が進むとは考えにくい。

- なお、現在の日本では為替対策を巡って、日銀と政府の方向感が食い違っているとの指摘は多い。しかしながら、それは「円安抑制」を最重要課題とした場合の議論であり、「日本経済の安定成長」を対象にして考えれば、さほど違和感はない。日銀は「急速な円安の悪影響を認めつつも、それ以上に金融緩和で日本の経済活動を支えることが重要」としており、経済活動を鈍化させ得る金融引き締めに距離を置いている。では、金融緩和の結果として生じる円安に対してどう対処するのかという議論になり、そこで政府(財務省)の為替介入が登場するというのは自然な流れであろう。もちろん金融緩和の景気浮揚効果と為替介入による円安抑制効果がどれほどあるかは別問題だが、よく言えば、理想的なポリシーミックスに思える。
注目点②
- 言わずもがな、安全資産の国債利回り上昇はリスク性資産である株式の相対的魅力を減じることで株式の下落圧力となる。典型例としては配当利回りとの格差がある。現在4%に迫る勢いの10年金利は、S&P500の予想配当利回り(1.8%程度)を明確に上回っており、これが株式を保有・取得する誘因を奪っている。2017-18年の金融引き締め局面と比較にならないほどに拡大した利回り格差は、インカムゲインを重視する投資家からみれば株式投資は全く魅力的でない。また実質金利(債券市場ベース)の上昇も株式の打撃となっている。単純にPERの水準に着目すれば、現在の15-16倍という数値はパンデミック発生前と同等ないしはそれ以下であるが、1.5%を超える実質金利を加味すると、バリュエーション調整が完了したとは考えにくい。Fedが強力な金融引き締めを続けると宣言している以上、金利低下を通じた米国株の上昇は期待しにくい。
藤代 宏一
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。









