- 要旨
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- 日経平均は先行き12ヶ月28,000程度で推移するだろう。
- USD/JPYは先行き12ヶ月128程度で推移するだろう。
- 日銀は、現在のYCCを少なくとも2023年4月までは維持するだろう。
- FEDは、2022年は毎FOMCで利上げを実施するだろう。
金融市場
- 前日の米国株は上昇。NYダウは+0.2%、S&P500は+0.4%、NASDAQは+0.3%で引け。VIXは26.7へと低下。
- 米金利はベア・フラット化。FOMC議事要旨を受けて利上げ観測が復活。内容自体は特段タカ派ではなかったが直前までの金利低下が一服した。
- 為替(G10)はUSDが最強。USD/JPYは136近傍まで上昇。EUR/USDはいよいよパリティが視野に。コモディティはWTI原油が98.5㌦(▲1.0㌦)へと低下。金は1736.5㌦(▲27.4㌦)へと低下。
経済指標
- 6月ISM非製造業景況感指数は55.3となり、5月の55.9からは低下したものの市場予想を上回った。内訳は事業活動(54.5→56.1)が改善し、新規受注(57.6→55.6)は高水準を維持。サプライヤー納期(61.3→61.9)は小幅に長期化しヘッドライン押し上げに寄与。雇用(50.2→47.4)は50を割れた。警戒感の強かった事前予想対比では底堅い印象を受けるが、ここへ来て雇用が軟化しつつあることはネガティブ。同日発表のサービス業PMIは52.3と速報値から上方修正されたが、受注残(55.7→48.7)が急低下するなど弱さもみられており、先行き警戒感を強める結果であった。なお、6月雇用統計は27万人の雇用者数増加が見込まれている。

- 5月JOLT求人件数は前月比▲3.7%、1125.4万件であった。復職等により労働参加率が回復傾向にあることで企業の人手不足感が緩和されつつある中、ミスマッチの解消は困難と判断した企業側の「諦め」もあり求人件数はピークアウト感が漂っている。また転職活動の動向を示す自発的離職率の上昇傾向も一服。3月の2.9%から5月は2.7%まで低下した。この指標が平均時給に対して一定の先行性を有することに鑑みれば、賃金のピークアウト感が今後強まる可能性がある。
注目点
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6月14-15日開催のFOMC議事要旨が公表された。「雇用最大化を達成するための最優先課題としてインフレ率の引き下げに取り組むべき」との認識が再確認され、それには「経済成長率の減速という犠牲を払うこともある」との認識が示された。今回の議事要旨で新たに明らかになった論点は少ないが、強いて言えば「信任」に関する記載が目立った。「多くの参加者は、FOMCが政策調整を行うという決意に国民が疑問を持ち始めた場合、高インフレが定着するという大きなリスクがあると判断した」との記載があり、ここからはインフレを放置しない強い決意が感じとれた。こうした認識は実際のインフレ率が落ち着くほか、予想インフレ率も安定するなど、インフレ再燃の可能性が限定的になるまで大きく変化しなさそうである。
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もっとも6月FOMC後に公表された経済指標は明確な減速基調にあるものが増加している。金利に敏感な住宅関連指標の弱さは当然としても、製造業サーベイ(ISM、地区連銀、PMI)や消費者マインド(ミシガン大学、コンファレンス・ボード)の弱さはインフレ退治の代償がいかに大きいかを物語っている。パンデミック発生直後に次ぐ水準へとマイナス幅を拡大するエコノミックサプライズ指数は、景気減速のペースが市場関係者の想定を超えていることを意味する。この間、米国(と欧州)の景気後退が意識されたこともあって国際商品市況は下落傾向にあり、それが債券市場の予想インフレ率(BEI)を下押しする構図にある。WTI原油が100ドルを割れたほか、工業用金属価格指数は銅やアルミニウムなど広範な品目が低下し、下落傾向を強めている。またロシアのウクライナ侵攻によって急騰していた肥料価格や小麦価格はそれ以前の水準に回帰し、食料価格の安定を示唆している。そうした下で予想インフレ率は2022年入り後の上昇を消し、平常時の水準を取り戻した。現在のところ月次指標で消費者段階の予想インフレ率低下は確認できていないため、Fedがインフレ終息を語るには材料不足であるが、直近の変化を踏まえた7月FOMC(26‐27日)では、利上げ幅こそFedが自ら作り出した既定路線に沿って75bpが予想されるものの、景気減速に対する懸念を幾分強めると同時に、インフレの上振れ警戒感を幾分弱めることも考えられ、6月FOMC対比でハト派に傾斜する可能性がある。そうなれば、9月FOMCの利上げ幅を予想するにあたって75bpの選択肢が消えるだろう。
藤代 宏一
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