マイナス金利俱楽部に留まる意向は変わらず 円安対策は「塩対応」

藤代 宏一

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日銀金融政策決定会合

  • 日銀は大方の予想通り金融政策の現状維持を決定。将来的な利下げに含みを持たせる以下のフォワードガイダンスも維持された。※結果発表は11時43分という早さ。「政策修正の議論すらなかった」とのメッセージに思えて仕方がない。

  • 一方でリスク要因を記載する段落には以下のとおり「為替」の2文字が登場した。為替に関しての注目度が高かったものの、声明文の段階で変化があったのはこの部分のみ。日銀に円安対策を求める声も相応にあったため、完全なゼロ回答にならないよう、声明文に記載したとみられる。「塩対応」といったところか。

  • マスコミ報道を中心に円安批判が強まる中、マイナス金利の「盟友」が脱マイナス金利に舵を切っていたことから、日銀もそれに追随するとの見方が浮上していた。ECBは9月までに中銀預金金利(現在は▲0.5%)をマイナス圏から脱出させる方針を示しており、16日にはスイス中銀が▲0.75%の政策金利を突如として50bp引き上げた。ごく一部の海外投資家は、日銀がそうした時流に乗り、現在+0.25%を上限とするYCC誘導目標レンジを引き上げると予想していたようだ。過度なインフレに直面していない日銀は海外中銀と比べて緩和継続が容易である、このことを再認識させられる結果であった。

  • 一部の海外投資家(ヘッジファンド)は国債先物を売り込んでおり、マスコミ報道では日銀VSヘッジファンドという対立構造で攻防戦が語られていた。もっとも、ヘッジファンドは日銀を屈服させる目的で国債を売っていたのではなく、純粋に政策修正を見込み収益機会を探していたに過ぎず、そうした対立構造の説明には違和感を禁じ得ない。それでも一部投資家の売りを日銀がオペの多様化によって吸収していたのは事実であるから、今回、もし日銀がYCC誘導目標レンジの上限拡大などの政策修正に踏み切っていたならば、「ヘッジファンドに負ける日銀」というレッテルを貼られ、それこそ信任を失ってしまう可能性があった。日銀の立場になって考えてみれば、ヘッジファンドが売りを仕掛けている時こそ政策を維持したいだろう。

  • YCCの修正(長期金利誘導目標の引き上げ、5年金利コントロールへの変更)があるとすれば海外金利上昇が落ち着く局面が有力視される。現在のように金利上昇圧力が生じている状況では、長期金利が急騰し債券市場の混乱を招いてしまう恐れがあり、意図せざる引き締め圧力がしまう。

藤代 宏一

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