控えめに言ってタカ派だったFOMC

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均は先行き12ヶ月30,000程度で推移するだろう。
  • USD/JPYは先行き12ヶ月113程度で推移するだろう。
  • 日銀は、現在のYCCを長期にわたって維持するだろう。
  • FEDは、2022年央に資産購入を終了、23年前半に利上げを開始するだろう。
目次

金融市場

  • 前日の米国株は上昇。NYダウは+1.5%、S&P500は+1.2%、NASDAQは+1.0%で引け。VIXは18.60へと上昇。恒大不安はやや後退。
  • 米金利カーブは急激なベア・スティープ化。10年は7月13日以来となる1.4%台を回復。OIS金利は2年先、3年先が双方とも急上昇。実質金利は▲0.898%(+8.0bp)へと上昇。
  • 為替(G10通貨)はJPYが最弱。USD/JPYは110前半へと上伸。コモディティはWTI原油が73.3㌦(+1.1㌦)へと上昇。銅は9273.5㌦(▲12.5㌦)へと低下。金は1747.7㌦(▲29.0㌦)へと低下。

米国 イールドカーブと米国 OIS金利と米国 実質金利(10年)
米国 イールドカーブと米国 OIS金利と米国 実質金利(10年)

米国 イールドカーブ
米国 イールドカーブ

米国 イールドカーブ
米国 イールドカーブ

米国 OIS金利
米国 OIS金利

米国 実質金利(10年)
米国 実質金利(10年)

経済指標

  • 9月米製造業PMIは60.5へと小幅低下。生産(56.7→55.2)、新規受注(61.6→60.8)が小幅低下した反面、雇用(52.7→53.5)は小幅上昇。財需要は依然旺盛も、半導体不足がボトルネックとなり生産活動の増勢はやや鈍化している。サービス業PMIは54.4へと低下。経済活動の急激な再開が一服する下、一部地域における変異株の感染拡大が影響したとみられる。なお、サービス業における販売価格上昇はこのところ落ち着きがみられる。

米国 PMIと米国 PMI販売価格
米国 PMIと米国 PMI販売価格

米国 PMI
米国 PMI

米国 PMI販売価格
米国 PMI販売価格

注目ポイント

  • 9月FOMCでは、大方の予想通り11月FOMCにおけるテーパリング開始の決定が強く示唆された。声明文には、経済がテーパリング開始の条件に向けて進展しているとの評価があり、資産購入減額が「間もなく(soon)」正当化されると記載された。10月8日発表の雇用統計が目を疑うような弱い結果とならない限り、テーパリング開始は既定路線だろう。またパウエル議長は記者会見で「資産購入は2022年央までに完了させることが適切になる」とした。仮に11月に減額が始まり、2022年6月に資産購入終了となれば、毎月の資産購入額は現在の1200億ドルから毎月150億ドル減額(150億ドル×8ヶ月)される計算となる。資産購入の終了時期にやや具体的な言及があったことについては「踏み込んだ」印象を受けたが、テーパリング全般については想定どおりの内容であった。

  • 他方、筆者にとってやや意外感があったのは2022年のドットチャート中央値が上方シフトし、0.5回分の利上げが示唆されたこと。9名の参加者がFF金利据え置き計画を維持する反面、9名の参加者が利上げ計画を示した。6月対比で2名の参加者が利上げ派に転向した形だ。2022年央の資産購入終了を前提とし、その後の数ヶ月で利上げに着手する算段だろう。インフレ率の高止まりを警戒する参加者が増加した可能性が高い。

  • その後のドットチャート中央値は2023年に3回、2024年も3回となり、2022年から累積6.5回分(1.625%)の利上げが示唆された。利上げの「天井」として意識されている中立金利は2.5%で不変であった。

  • なおパウエル議長は、ドットチャートは単なる予想に過ぎないと常々強調するが、現実のドットチャートの分布は、タカ派は利上げ、ハト派は金利据え置き(利下げ)といった具合に自身の政策スタンスを示す傾向にある。したがって、その中央値が「中立的な予想」を意味しているとは言えない。利上げ「計画」や「支持」と表現した方が適当と考えられる。

FOMC参加者金利見通し(ドットチャート)
FOMC参加者金利見通し(ドットチャート)

  • 先行きの注目は、やはりインフレ率であろう。FOMC参加者の見通しに対するリスクは大きく上方に偏っており、DIは2007年の資源高局面を上回っている。各参加者がインフレ率の上振れリスクを織り込んだ上で将来の政策金利(ドットチャート)を示しているのか否かは不明だが、それでもインフレ率が高止まりすれば、利上げの蓋然性は高まるだろう。中古車や宿泊設備など特定品目によって引き起こされた現在のインフレが落ち着いたとしても、住宅価格高騰に伴う(帰属)家賃の上昇は持続性を伴う可能性があり、またやや長い目でみると労働コストと物価が相互刺激的に上昇する可能性もある。

FOMC参加者が認識するコアインフレ率見通しのリスク
FOMC参加者が認識するコアインフレ率見通しのリスク

藤代 宏一

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