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2024.08.02
ライフデザイン
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人生設計
親との会話が少ない遠居の既婚男性
~限られた機会を意識したコミュニケーションを~
北村 安樹子
1.母親との会話が少ない既婚の息子
成人した子と親の「会話」というと、どのようなコミュニケーションを思い浮かべるだろうか。国立社会保障・人口問題研究所が実施した調査によると、母親と成人した子の会話の頻度は、同居、近居(1時間未満)、遠居(1時間以上)のいずれの場合も、娘より息子で少ない(図表1)。
特に少ないのは遠居する既婚の息子で、「月に1~2回」(43.2%)が最も多いものの、「年に数回」(39.1%)と「ほとんどしない」(5.5%)を合わせると4割以上を占める。年に数回以下というと、ふだんは各々の生活に忙しく、用事のあるとき以外にはほとんど会話らしい会話はしないというケースが多いのだろう。

2.母親が既婚の息子や孫に使ったお金は、娘と同程度
他方、過去1年間に既婚女性が子や孫のために使ったお金をみると、近居・遠居では既婚の息子・娘いずれに対しても8割超の母親が経済的な支援を行い、半数近くが年間6万円以上、3割前後は年間12万円以上を使っている(図表2)。
つまり、近居・遠居の既婚子に関しては、息子と娘で経済的な支援の実態に大きな差がない一方、会話の頻度は、特に遠居の息子でかなり少ないことがわかる。個人差はあるものの、現状では娘の場合、結婚後も近居・遠居にかかわらず、経済的支援とともに、会話を通じて母親との情報・精神面のつながりが保たれやすいのに対し、息子の場合、遠居していると、親が経済的支援を行っても、会話の機会にはつながりにくいようだ。

3.直接話す機会が少ない人は、限られた機会を意識した「会話」を
図表1の設問は「会話」の頻度であるため、回答結果にメールやSNS等のやりとりが含まれない可能性がある。しかし、スマートフォンをはじめとする多様なデジタルツールの広がりによって、対面や電話で言葉を交わすだけが「会話」ではないと思う人も多いだろう。メッセージや写真・動画のやりとりが、リアルタイムで話すのと変わらない感覚で行われる場面も増えているからだ。
また、それらのデジタルコミュニケーションや電話を含む「会話」の頻度は、多ければ多いほどよいとは限らない。働き盛りの子世代だけでなく、いまや60~70代の親世代にも働き続ける人が増えている。「便りのないのはよい便り」と考えて、仕事や健康づくりなど、各々の生活を大切にする親子も多いからだ。
ただ、親子といっても、別々の暮らしが長くなれば、互いにどのような日常を送っているのかわからず、それぞれの生活の変化にも気づきにくい。子の立場から考えれば、限られた会話の機会から親の日常を知ることで、加齢に伴う親の小さな変化や困りごとに気づき、ともに対処を考えていける場合もある。デジタルツールもうまく活用しながら、自分たちに合った親子の「会話」の形を模索し築いていくことが、互いの安心感を高め、親に見守りや介護が必要になった場合のより良いケアにつながることもあるのではないか。
北村 安樹子
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。