「互いにありのままでいられる人」は?

~「第 11 回ライフデザインに関する調査」から~

北村 安樹子

目次

1.既存調査からみた、家族であるために重要な関係

国立社会保障・人口問題研究所が行った調査によると、配偶者のいる女性ではその多くが、家族であるためには「困ったときに助け合う」「精神的なきずながある」「互いにありのままでいられる」といった関係が重要であると答えている(注1)。実際、家族にこれらのつながりを感じている人は多いだろう。しかしながら、家族ではない人にこのようなつながりを感じたことや、家族にはこのようなつながりを感じる人がいないという人も、なかにはいるのではないだろうか。

本稿では、当研究所が今年1月に実施した「第11回ライフデザインに関する調査」(注2)から、18~69歳の回答者が家族・親族以外のどのような人にこれらのつながりを感じているのかに注目する。また、配偶者や子どもをもたないライフコースを歩む人や、高齢期の1人暮らしといったライフスタイルが増えるなか、ライフステージによってこれらのつながりの認知状況にどのような違いがみられるのかを考察する。

2.他者とのつながりの保有状況

(1)困ったときに助け合う人

コロナ禍が続くなかで行われたこの調査では、「困ったときに助け合う人」として「家族・親族」をあげた人が全体の84.4%に及んだ。一方で、「学校・学生時代の友人・知人」や「職場や仕事関係の友人・知人」など、「家族・親族以外」をあげた人は36.9%を占めた。このような人が「誰もいない」と答えた人は9.8%であった(図表1)。「困ったときに助け合う人」として「家族・親族」をあげる人は、「家族・親族以外」を大きく上回っている。

「家族・親族以外」の選択肢に注目した場合、男女とも最も多くの人があげたのは「学校・学生時代の友人・知人」となっている。男性では「誰もいない」「職場や仕事関係の友人・知人」が、女性では「職場や仕事関係の友人・知人」「地域や近所の友人・知人」が、それぞれこれに続いている。

ライフステージ別にみると、独身(39歳以下)の人では「家族・親族」をあげた人が72.1%と、他のライフステージに比べ低い一方、「家族・親族以外」をあげる割合は53.3%と、他のライフステージに比べ高い割合を占める。具体的にみると、「家族・親族以外」のうち「学校・学生時代の友人・知人」「恋人」が上位にあげられている。

子どもがいる人の場合、子どもの成長とともに「家族・親族以外」をあげる人の割合はおおむね減少する。また、子どもがいない(40歳以上)の人では、「誰もいない」と答えた人の割合が他のライフステージに比べ高い一方、「家族・親族以外」をあげた人も子どもがいる人と同程度の割合を占める。

図表
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(2)精神的なきずながある人

次に、「精神的なきずながある人」についてみると、「家族・親族」をあげた人はここでも全体の76.6%に及んだ。一方、「学校・学生時代の友人・知人」や「恋人」「職場や仕事関係の友人・知人」など、「家族・親族以外」をあげた人は31.0%を占める(図表2)。このような人が「誰もいない」と答えた人は14.1%となっている。

性別にみると、男性では「家族・親族」に続き「誰もいない」があげられているのに対し、女性では「学校・学生時代の友人・知人」が続いている。個人差はあるものの、現状では男性に比べ女性の方が、「家族・親族以外」のなかでは「学校・学生時代の友人・知人」に精神的なきずなを感じている人が多くなっている。

また、ライフステージ別にみると、独身(39歳以下)の人では「家族・親族」をあげた人が59.1%と、他のライフステージに比べ低い一方、「家族・親族以外」をあげる割合は49.9%と、他のライフステージに比べ高い割合を占める。具体的にみると、「家族・親族以外」のうち「学校・学生時代の友人・知人」や「恋人」をあげた人が多くなっている。夫婦のみ(39歳以下)の人や子どもがいる人では「家族・親族」をあげた人の割合が8割を超え、結婚や子どもをもつことが、家族と精神的なきずながあると感じる人を得ることにつながった人も多いと考えられる。子どもがいない(40歳以上)の人では「誰もいない」と答えた人の割合が他のライフステージに比べ高い一方、「家族・親族以外」に精神的なきずなを感じる人がいると答えた人が、子どものいる人に比べやや高い割合を占める。具体的には、「家族・親族以外」のうち「学校・学生時代の友人・知人」「恋人」のほか、「職場や仕事関係の友人・知人」「趣味・余暇等を通じた友人・知人」などをあげた人が多い。

図表
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(3)互いにありのままでいられる人

では、「互いにありのままでいられる人」についてはどのような結果がみられるのか。

「互いにありのままでいられる人」についても、「家族・親族」をあげた人は回答者の75.1%にのぼった。一方、「学校・学生時代の友人・知人」や「恋人」「職場や仕事関係の友人・知人」など、「家族・親族以外」の人をあげた人は30.6%を占めた(図表3)。「誰もいない」とした人は14.8%となっている。

性別にみると、男性では「家族・親族」に次いで「誰もいない」があげられているのに対し、女性では「学校・学生時代の友人・知人」が続いている。個人差はあるものの、「困ったときに助け合う人」「精神的なきずながある人」と同様に「互いにありのままでいられる人」に関しても、男性に比べ女性の方が現状では「学校・学生時代の友人・知人」をあげる人が多くなっている。

また、ライフステージ別にみると、独身(39歳以下)の人では「家族・親族」をあげる人が他のライフステージに比べ低い一方、「家族・親族以外」の人をあげる人は51.7%と、全ライフステージのなかで最も高い。具体的にみると、「家族・親族以外」のうち「学校・学生時代の友人・知人」「恋人」をあげた人が多くなっている。

子どもがいる人の場合、「家族・親族以外」に「互いにありのままでいられる人」がいると答えた人は、独身(39歳以下)の人に比べ少ない。また、子どもがいない(40歳以上)の人では、「誰もいない」と答えた人が他のライフステージに比べ高い一方、そのようなつながりを「家族・親族以外の人」に感じている人も約3割を占めて、「誰もいない」を上回っている。具体的にみると、「家族・親族以外」のうち「学校・学生時代の友人・知人」とともに、「恋人」「趣味・余暇等を通じた友人・知人」をあげる人が多くなっている。

図表
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3.家族形成と家族のような他者とのつながり

次にここまでみてきたつながりの保有状況が、「家族・親族(血縁)」と「家族・親族以外(非血縁)」の間でどのように異なるのかにあらためて注目する。

図表1~3で示した各項目への回答結果を、これらの双方に該当者がいる「バランス型」、前者だけに該当者がいる「血縁型」、後者だけに該当者がいる「非血縁型」、「誰もいない」と答えた「非保有型」の4つのタイプに分類したところ、どのつながりに関しても最も多かったのは「血縁型」で、回答者全体の半数超を占めた(図表4)。また、いずれのつながりに関しても、これに次いで多かったのは「バランス型」となっている。

なお、配偶者や子どもなど、家族形成を行ったかどうかでこれらの認知がどのように異なるのかをみたところ、家族を形成した人ではこれらのつながりを家族・親族だけに感じているとした「血縁型」が6~7割弱を占めるのに対し、配偶者や子どもがいない人では、家族・親族以外(非血縁)の人にそれらのつながりを感じている「バランス型」や「非血縁型」が、家族を形成した人以上に多くなっていた(図表5)。

配偶者や子どもがいない人において、家族・親族以外の他者にこれらのつながりを感じる人が多い傾向は、現状では男性に比べ女性でより顕著にみられる。しかしながら、働く女性の増加やワークスタイルの多様化等により、他者との出会いのきっかけや人づきあいに関するライフスタイルの男女差は、今後は小さくなっていくと考えられる。オンライン空間を含めて、これらのつながりを得る機会やその保ち方、それらの感じ方の男女差も、今後は変化していく可能性もあるだろう。

図表
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4.家族形成がもたらすつながりと、家族のような他者とのつながりの存在

本稿では「第11回ライフデザインに関する調査」から、既存調査において、配偶者のいる女性の多くが家族であるために重要であると答えた「困ったときに助け合う」「精神的なきずながある」「互いにありのままでいられる」といったつながりをどのような人に感じているかについてのデータを紹介した。その結果、いずれの関係でも「家族・親族」をあげる人は8割前後に及び、「家族・親族以外」をあげた人の割合を大幅に上回っていた。このような傾向は、性別やライフステージ別にみた場合にも共通していた。配偶者のいる女性の多くが家族であるために重要だと考えている助け合いや情緒的支援が、血縁を中心とするものであることがあらためて確認された。

ただし、配偶者や子どもなど、新たな家族を形成した人には、今回たずねたような「困ったときに助け合う」「精神的なきずながある」「互いにありのままでいられる」といったつながりを感じる人が家族・親族だけという人が多く、血縁を超えた関係性の広さやそれらの多様性が低い可能性も示唆された。また、このなかには、家族・親族にはこれらのつながりを感じる人がいないという人もわずかにみられた。家族を得ることは、互いの支えとなるつながりをもたらすことが多いと考えられるが、家族がいてもそのようなつながりを感じていない人、以前は感じていたが今は感じなくなった人、感じていた家族を失った人等もいることを調査結果は示している。

これに対して、配偶者や子どもがいない人には、そのようなつながりを「家族・親族以外」に感じている人、誰もいないと感じている人が配偶者や子どもをもつ人に比べ多くみられた。家族形成の有無にかかわらず、互いの支えとなるつながりを、煩わしいと感じる場合や、必要ないと感じる人もいるだろう。しかしながら、このような関係にある人が「誰もいない」と答えた人のなかにも、自身の存在や行動が予期せず他者の助けとなっていることや、自分では気づかない形で他者の支援に支えられていることはあるかもしれない。

なお、互いの支えとなるつながりを感じる「家族・親族以外」の人として、「学校・学生時代の友人・知人」や「恋人」が多くあげられている。学縁や恋愛にも、家族のように互いを支える多様なつながりをもたらす機能があると考えられる。

オンライン空間を含めて、コロナ禍で新たに生まれたつながりや、より一層深まったつながりもあるなか、他者とのつながりを感じられず、孤独感を強めている人もいるかもしれない(注3)。感染拡大が終息し、多くの人がもっと自由な形で他者とのつながりを感じられる日常が戻る日が待たれる。

【注釈】
1)国立社会保障・人口問題研究所「第6回全国家庭動向調査報告書」(2020年3月)。
2)全国の18~79歳の男女を対象に2021年1~2月、インターネットにより実施。本稿では18~69歳の男女17,599名について分析。
3)当研究所ホームページには、新型コロナウイルス感染拡大が生活に及ぼした影響に関するレポート・ニュースリリースの一覧ページ「新型コロナ(生活)」がある。

北村 安樹子

北村 安樹子

きたむら あきこ

ライフデザイン研究部 主任研究員
専⾨分野: 家族・ライフコース

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